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ブレーキ よし ワルし

25歳未満の人。

一般的にはその年齢までの脳は未発達らしいです。
「未発達というと馬鹿にしているのか?」と思うかもしれません。
そうとも言えません。未発達のいい面は、何も恐れることなく新しい事に挑戦できるという事です。

人の脳は、後ろから前に向かって発達していくそうで、脳の前方部分は判断を担う部分。よい事と悪い事を判断して最適な選択をする機能があるそうです。そこが未発達という事は、若い人は何かをしようと思ったら、いい面ばかり見て、躊躇うことなく行動に移ることができるのです。


傾向としてよくあるのが、周りの反対を押し切って何かを目指すという話です。
若い時期に、何かに憧れる事や、誰か尊敬できる人に出会ったら、全力でその事に注力することもあるでしょう。また、目標とする人と同じ道を、恐れることなく目指すこともあると思います。
ビジネスで成功する若者は、恐れることなく行動できるから、大きな結果を得る事ができるのです。大人が、思いつかない事に価値があるということは案外多いのです。
「子供は天才」というのは、大人の言葉です。この言葉には、「理解できない」というニュアンスが隠れています。やっかみみたいなものですね。子供や若者が大きな成果を出すと、「あの子は天才だから」という言葉で切り捨てるのです。

「天才と凡人の違いは?」という質問を、もしも誰かから尋ねられたら、僕は、「何かを没頭できるかどうか」と答えます。
没頭とは、一つの事に集中できるかどうかという事です。何時間も好きなことを続けて出来ること。そういう時間は密度が濃いので、質の良いものが天才によって生みだされます。芸術、科学という分野で思いつく天才の名前があると思います。偉業と言ってもいい成果は、天才だからなせる業なのかもしれません。
けれども、極端な天才というのは、生き方が超不器用だと思います。例えば、絵を描く極端な天才は、自分の時間と能力を、絵を描く事に捧げる事しかできないのです。だから人とのコミュニケーションに価値を見出さない。描く絵は素晴らしいものかもしれません。けれども、絵ばかり描いて、話をしない人間というのは理解しにくいです。誰かが、その人の描く絵を、多くの人に紹介しなければ評価されません。なので、死んでから称えられる人もいるのです。
極端な天才は必ずしも良いかというとそうでないこともあるのです。凡人には理解できない奇怪な言動をすることもあるでしょう。また、凡人の嫉妬や誹謗中傷という矢の嵐に打たれることもあるのです。

では凡人とは何かというと、常識を知っている人です。極端な凡人像はよくいるのでわかりますよね?
凡人は大多数なので、みんなと同調していれば快適に生活できるのです。「こういうものだ」と定石通りに人生の碁石を打っていれば、それなりに生きられます。スペインの哲学者のオルテガ・イ・ガゼットは大衆というものを規定しました。ここで言うところの凡人ですね。

「大衆とは善い意味でも悪い意味でも、自分自身に特殊な価値を認めようとはせず、自分は「すべての人」と同じであると感じ、そのことに苦痛を覚えるどころか、他の人々と同一であると感ずることに喜びを見出しているすべての人のことである」と。

数十年前のそのスペイン人が今の日本を見たら、「こいつらが大衆だ」としたり顔で言うかもしれません。

凡人であることを受け入れたままでは何も変わりません。かといって極端な天才になる必要はありません。

ダメな凡人というのは、何かを目指すのではなく、万能を望みます。
仕事も、恋愛や家庭といった事も、更には趣味もというように、大事な事をいっぺんにやろうとします。その結果、全て中途半端に終わるのです。
そうではなく、雑念が消えるまで一つの事を集中してやることが大事なのではないでしょうか。

僕はもう若い年齢とは言えなくなりました。
確かに、知らないない場所に行くという事が億劫になることがあります。昔はそうでもなかったと思います。若いという事が羨ましいと思えるほどに年を取ったのかもしれません。40歳まであと数年です。

恐れずに行動ができるという事のいい面ばかりを書いてきましたが、未発達の脳で気を付けないといけない事があります。
よい事と悪い事を判断して最適な選択をする機能というのは、車で言うところのブレーキのようなものです。
猪突猛進というと勇ましく聞こえますが、アクセルを踏み続けていると、誰かを傷つける事があります。
「どんどんエスカレートしてしまった」
「ふざけていたつもり」
「こんなことになるとは思わなかった」
何を思いつきますか?

挙句の果て
「俺だけが悪いわけじゃない」
「みんなやっていた」
「あいつの方がもっとひどい」

そんな事を言うのです。
子供だから法律で罰せられないという事はあるかもしれません。
けれども、極端な天才に苦労があるように、何も恐れないということはいい事ばかりではありません。
時には、若さが危険な時もあるのです。
脳が発達した時に、自分を許せないと思わないように気を付けてください。












一日延ばしは時の盗人、明日は明日…… あっ、ありがとうございます!