自分のやりたいことを仕事として家業で実現できる理由
はじめに
私が家業を継いだ理由として、1つ大きな理由があります。
それは以前の記事でも書かせていただきましたが「胸に抱き続けてきたやりたいことが家業でないと実現できない」と気が付いたからです。
【国籍・年齢・性別・レッテル・肩書など何にも捉われず、誰もが対等に交流できる、誰もが対等に出会える場や空間を創ろう人となりたい】という大きな夢を叶えるには、就職では実現できないと答えを出しました。
そこで起業か家業かの二択を考えた時に、お寺という存在から秘めた可能性を感じたのです。
ということで、今回の記事は「なぜ自分のやりたいことが家業で実現できるのか」を詳しく解説したいと思います。
現代社会におけるお寺の課題
現代に通ずるお寺の抱える一番の大きな問題は「お寺離れ」だと思います。何をもって「お寺離れ」と言うのか明確な定義は存在していませんが、純粋に、お寺に関心のない人が増えていることを指していると思います。
お寺離れには二種類あります。
まずは「お寺の利用者」が挙げられます。お寺の利用者とは、檀家さん・観光客・参拝客、などお寺に訪れるすべての人を指しています。このようなお寺と接点を持つ人がすべての層において減少している気がしています。
日常生活またはお盆やお彼岸などの行事などで、お墓参りに出向く人はどの世代が多く感じますか?御朱印で全国を周っている人はどの世代の人が多いイメージがありますか?
実際の数値は統計されていないので分かりませんが、ご年配層をイメージされると思います。若年層は圧倒的にお寺のつながりが少ない気がしますよね。誰もがそう感じるように、特にお寺と若者は接点がありません。
お寺離れしているもう一種の人たちは「継承者」です。
お寺を継ぐ人・継ぎたい人が圧倒的に少なくなっている現状です。
ニュースにもよく報道されているように、空き寺が急増しているのは単純に、住職(継承者)がいないからです。
実は、利用者と運営者の両者ともが離れてしまっているのには共通した原因があります。
日本社会の少子高齢化です。
「墓じまい」が分かりやすい例でしょう。
一昔前までは三角形だった人口ピラミッドの形が、現代では逆三角形に近づいています。世間でも問題視されているように、高齢者が増え子供が少なくなると、社会保障負担としては一人の若者がたくさんのお年寄りを支えなければならなくなります。
墓じまいも同等に、一人あたりの相続しなければいけないお墓の数が増えています。そして、社会保障負担を背負いきれないと若者が声を上げているように、存続しなければいけないお墓も守り切れないという声があちこちであります。
継承することができなくなってしまえば、墓じまいするほかない。墓じまいしたくてしているのではなく、しなくてはならないという現実です。
墓じまいが増えれば、お寺の利用者(関係人口)が減り、お寺の運営側も収入が減少し生活していけません。
よって、お墓のスタイルも「永代供養や樹木葬」などと次第に変化してきたように、お寺側も変化に柔軟でなければお寺を継承することは難しくなってきます。
少子高齢化こそ、根源と言えます。
しかし、社会全体の問題である少子高齢化を解決することは難しく、そもそも解決すること自体が正しいわけでもありません。重要なことは現代も機能しているお寺が、時代の変化をいち早く理解し柔軟な対応を取ることです。
この先の時代においてお寺を存続するには、時代の変化を受け入れ対応できる(ブランディング)力を備えていなければ、生き残っていけません。
変化に柔軟なお寺
おもしろいことに取り組んでいるお寺は少なからず存在しています。
昔からのお寺の存在意義や伝統と社会問題や時代の変化を上手く融合し、経営しているお寺を3つご紹介します。
「東京都の都心カフェ:光明寺」
東京都港区に所在する光明寺は「神谷町オープンテラス」を開いています。二階本堂に面した半屋外のテラス席は、お昼時になるとすぐに満室になるほどの賑わいがあり、ビジネスパーソンの憩いの場として機能しています。利用者の多くの目的としては、お昼休憩をオフィスから離れて開放的な気分で食事をしたいということだそうです。カフェなどの食事提供は一切行っていないにも関わらず、人々のニーズとマッチするため利用者はこよなく快適に過ごすことができています。人々のリフレッシュタイムを確保しきれていないという社会的課題を改善する取り組みです。
「お寺が主催の婚活:龍雲寺」
静岡県浜松市に所在する龍雲寺は「寺コン」を最初に始めた寺院です。近年は、生涯未婚率の割合が上昇していますが、未婚者の結婚しない理由を年代別でみると若者世代の20代30代は「結婚したいけれど出会いがない」という回答が大半であることが分かりました。だからこそ、昔はお寺が縁談話を取り扱っていた時代があったように、現代も人と人とのご縁を結ぶ場として復活させたそうです。昔のお寺の役割を、現代に合わせて再開している「寺コン」が人気を集めています。現在では活動が広がり、1千を超える数のお寺が参加して、名古屋・東京・大分などに広まっています。参加者の多くは「お寺なら安心・信頼できる」と高評価を付けています。実際の数としての実績としても、成婚は現代までにおよそ360組になります。出会いに困っている人たちの社会的課題を改善する取り組みです。
「フードバンク:源清寺」
群馬県館林市に所在する源清寺は「フードバンク」を行っています。フードバンクとは、賞味期限切れが近づいていたり廃番になったりした食品や菓子を企業から寄付してもらい、食料の必要な貧困家庭や福祉施設などに配る活動です。行政や施設からの信頼が企業からの寄付につながり、現在では百社以上が協力しているそうです。配送用の2トントラックは毎日のように稼働し、配送に尽力している様子が伺えます。世界的にも話題となったフードバンクを、信頼のある寺院が手掛けることで、寄付側からも受け取り側からも安心して取引することができています。食料機会ロスと地域社会の貧困問題を同時に改善する取り組みです。
このように、目的に応じて人が集まる空間としてお寺を機能させることが可能なんですね。お寺で何か新しいことを始めるときに人が集まりやすい理由として「圧倒的信頼感」があると思います。宗教勧誘チックなイベントや企画でない限り、日本人はどこか安心感を抱く気がします。
お寺の可能性
「お寺離れ」が大きな問題として指摘されている世の中を「お寺ブーム」に変えるには、まずは、現代もなお機能しているお寺が何らかの工夫を施していくべきだと思います。
その何らかの工夫とは、上の例にもあるようにカフェテリアや婚活やフードバンクなどなんでもかけ合わせることが可能です。お寺は、ジャンルを問わずにかけ算できます。
そう、お寺ビジネスのメリットは、様々なモノ・コトをお寺をかけ合わせることが可能なところです。
共通した問題を抱え、まだまだ注目が薄い分野であるお寺は、アイディアが出尽くしてない現状があります。
「ピンチはチャンス」という言葉にぴったりなビジネスこそ「お寺ビジネス」でしょう。
そこで【誰もが対等に交流できる・誰もが対等に出会える場や空間を創ろう人となりたい】という私の夢も、アイディア次第で実現できる分野だと気が付きました。
自分のやりたいとしていることを実現できる手段が、たまたま家業だったことにすぎませんが、これは自身の天職になるんじゃないかと感じました。
この気づきこそが、自分のやりたいことを仕事として家業で実現できると思える理由です。
ブルーオーシャンが眠っている
お寺は、日本文化を形で残す極めて重要な宝そのものであるのにも関わらず、世間にはあまり注目されていない分野であるし、来世における継承者も少ない現状があります。
しかし、お寺ビジネスのおもしろさをまだ世間が明確に見出していないからこそ、これから注目されるに違いないと確信しています。
お寺ビジネスは、たくさんの可能性しかありません。
お寺×○○を、お寺×○○×○○を、たくさんやっていきたいと思います。
みんながまだ注目してないからチャンスなんだよね。
みんながお寺の秘める可能性に気が付いていないからいいんだよね。
むしろダサいと思われているぐらいだからいいんだよね。
いろんなことを考えてます。おもしろいあれこれ、新しいあれこれ。既にアイディアで頭の中はいっぱい。毎日アイディアが降り注いでくるから、ペンとノートが手放せない。そんなワクワクする毎日を送っています。
今は読者さんの期待値をガンガン上げていますが、ほんとに期待してほしいからビックマウスになっています。
肝心な事業計画もなかなかおもしろいと思うから、わざと勿体ぶって小出しでちょっとずつ紹介していきたいと思います(笑)
これまでは、最初の原点になる部分だからガッチガチにまとめてきましたが、これからはもっとラフにタイムリーに楽しく書いていきます!^^
いつも読んで頂きありがとうございます!次回のnoteもお楽しみに!