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捨てるにはかなり惜しい国

【4485文字】

ここ30年来

人口減少を嘆く声は益々増すばかりだ
労働力がなければ
経済が今以上発展するのは困難だ
じゃあ明日から
労働力を1.5倍にしますね
という訳にも行かないのが
人口減少の悩ましいところだ
先進国と言われる国々は
多かれ少なかれこの同じ問題を抱えている
とりわけ日本はその出生率から見ても
行く先に希望を感じる要素が
全く見当たらないという状況だ
そりゃそうでしょう
ここ30年間この国の為政者らは
危機感や危惧を感じながらも
手をこまねいてばかりで
結局大きな成果は得られず
不況にあえぐ国民を
ただただ指をくわえて眺めるばかり
もしくは私腹を肥やすのに忙しかった

高齢化社会

だとか
労働人口減少で年金制度が崩壊する
だとかはよく聞くが
では数値的にはどうなのか
同じように人口減少に悩む
先進諸外国と合わせて見てみたい
先ずは各国の現状から

国    総人口   労働人口割合(15歳~64歳)
日本:    1億2350万人 約59%
イタリア:  5890万人   約63%
ドイツ:   8320万人   約64%
ロシア:   1億4410万人 約65%
韓国:    5160万人   約71%
スペイン:  4720万人   約65%

日本の人口は少ないと思っている国民は多い
しかし実は日本の人口は世界第11位である
日本はこんなに狭い領土のくせして
非常に多くの人口を抱えていると言える
日本の45倍で
世界一の領土を持つロシアと
2000万人しか変わらない
そのくせ労働人口割合が少ないのは
このパーセンテージからも読み取れる
しかしイタリア 韓国 スペインの
倍以上の総人口があり
日本の労働人口の実数は7286万人で
上記国々の総人口よりも多い

日本がこれまでで

一番人口が多かったのが
2010年で約1億2805万人
ただこの頃は団塊の世代が
一気に定年を迎えたころでもあり
労働力が急激に減った頃でもある
昭和40~50年代ごろの高度経済成長期が
一番働き手が多く活性していた
なんてイメージがあるが
本当のところは
1998年の平成10年に
労働力人口のピークが記録され
労働人口割合は69%で最高値となっている

この事で言えるのは
労働人口割合ではなく
労働人口実数を見た場合
日本は未だ世界有数の労働力を有している
と言えるのだ
失われた30年というが
労働力のピークが30年前だった訳で
世界のトップからなだらかに降下して
現在に至っているのだが
それは他国と比べればまだまだ
その力は馬鹿に出来ないという事でもある
労働人口割合ばかりに目を奪われ
未だ強大である労働力に気付けていないのだ
これをちゃんと知る国民が少なすぎる
メディアのせいとは言わないが
まずは事実を知り
陰鬱な気分を振り払い
気持ちをポジティブに持つことは
大切なことだと思う
ではどの様な状態が今の日本なのか
少し分かりやすく説明しよう

どんなに

安くて信頼がおける良い商品でも
地球上で売れる最大値は決まっている
わかりやすく例えるならば‥
A B C の
3家族で出来上がっている世界があるとする

家族Aは9人家族で労働力は3人
この家族の労働人口割合は33%
1人の労働力で自分も含め
3人を支えている

家族Bは2人家族で労働力は1人
労働人口割合は50%
1人の労働力で自分も含め
2人を支えている

家族Cは5人家族で労働力は2人
労働人口割合は40%
1人の労働力で自分も含め
2.5人を支えている

世界総人口は16人である
家族人口が一番多いのは
家族Aであり
労働人口割合が一番少ないのも
家族Aである
一方
労働人口割合が多いのは
家族Bである

さて

この3家族はリンゴを生産し
世界に売って生計を立てている
リンゴは作っただけ無限に売れる訳ではない
世界には消費のキャパがある
どうしても売れる上限数は決まって来る
同時にリンゴが生産できる上限数も
各家族同じ技術で大して変わらない

この世界でリンゴの需要が
最大10個まで見込めるとする
1人の労働力は2つのリンゴまで生産できる
その場合各家族の絶対生産量は
家族Aは3労働力で6個
家族Bは1労働力で2個
家族Cは2労働力で4個
世界の最大生産量は12個である

10個すべてが売れたとしても
2個は余ってしまう
なので安売りをしたり
生産量を制限したり
各家族は工夫をして
なんとか全てを売り切りたい
どの家族に一番自由度があるかと言うと
絶対的生産力がある家族Aで
つまり商売の自由度が高くなるのだ
具体的にどういうことかと言うと
6個まとめて他家族より割安で出してもいいし
生産量を4つまでに絞り定価で売ってもいい
その余った労働力を
ミカン生産に切り替えてもいい
しかし家族Bや家族Cはそうはいかない
安売り合戦をしても家族Aにはかなわないし
定価で売り切るには家族Aと協定が必要だ
となれば家族Aの商売の後追いをする他ない
家族BとCは家族Aの様な自由度が持てないのだ

ここで言う

家族Aは日本である
確かに労働人口割合は低いが
商機さえ逸しなければ
他国に先んじて経済の立て直しのチャンスが
他国と比べ大いにあると見込めるのだ
世界には国連加盟国が193あるが
日本は現在未だGDP第4位の経済大国だ
近々インドに続きドイツに抜かれたとしても
まだまだ生産力は決して他国に負けていない
絶対労働力は多くの国を凌駕している
日本人はもっと希望を持っていいのだ
これに早く気付くべきだろう

とは言うものの
人口統計はもっと先の日本を危惧している
現在15歳以下の人口は恐ろしく低い
数十年先の日本の絶対人口が
数千人にまで下がることを示唆している
そうなると家族Aという上記の計算が立たない
この絶対労働者数があるのは
ほんのせいぜあと20年だけなのだ
そう考えておいた方が良いだろう
つまり上記の手段は一過性なのだ
しかし今すぐ始めなくてはいけない事だ
そしてその20年間にも
もっとその先の日本を考え準備する必要がある
つまり人口が7000人程度になった日本をである
ほぼ半分の人口になった日本を想像し
その時いったい何が出来るのか
今から何を準備しておくのかを
本気で考えておかねばならない
なぜならその未来は必ずやって来るのだから

昭和 平成 令和と

これまでは幸福イコール経済成長であった
それを下支えしたのが労働人口だった
それが幸福の根本だと思っていた訳だが
人口減少が確定な今
その考え方をシフトしていかねばならない
しかしよく考えてみてほしい
お金さえあれば本当に幸せなのか
あくせく好きでもない仕事をやって
神経を削ってストレスを抱え
少し余る程度のお金をもらって
それが本当の幸せなのか
考えておくべきは
幸福とは何かという大前提である
今後は必ず人口が減るのだから
何が何でも新たに手を打つのだと
心して臨まなければならない
では何に挑むのかであるが
これまでと同じ手法では労働力のところで
必ず矛盾が生じて来る
なのでこれまでとは全く違う
新たな幸福を考えるという事が
なによりも先行すべき必須項目である
これまでの物質的な充実が
果たして本当の幸福だったのか
という根源的な話を別にしたとしても
これまでのマクロでしか計れない様な
全体主義的な幸福はもう幸福ではなくなった
そう認識できるはずである
根本的な幸福とは何かを考えれば
子供でも答えが出せる
つまりは僕が私が幸せでいられること
これに尽きないだろうか
つまりは個人の幸福を追求し
それを頑強に保持できる世の中であれば
GDPや経済成長率が下がったからと言って
特に一喜一憂するものではない筈ではないか
どんなに他国と比べGDPが低くても
国民一人一人の幸福度が高ければ
それは今後本物の最先進国となるのではないか

いきなり

イメージ論的になってしまったが
実は未来を見据え
こういった方向へ舵を切っている国々が
もう既にあるという事も伝えておきたい
人口が少なくても成功している国の例としては
シンガポール アイスランド エストニア
などが挙げられる
勿論大きな外資税収がある国だからできる
という国もあるが
そこにあぐらをかかず
未来を見据えているという点で
評価し見習うべきだと思う
またフィンランドやスウェーデン
ニュージーランドやカナダ
デンマークなどは
先進的な政治で既に成功している国々だ
国民の幸福度はGDPで計る国と比べ
教育水準や社会保障などの充実で
比較にならないほど高い

いったい

彼らが具体的に何をしているのか
事細かく話してもお国の事情も違い
日本がそのまま取り入れられることではないが
概要だけは以下に列挙しておく
・教育の質(これまでの教育とは違う観点)
・経済活動の多様性
・インフラの整備
・観光資源の活用
・ジェンダーレスやダイバシティの常在化
・再生可能へのエネルギーシフト
・掛け金なき社会福祉の充実
・デジタル化の推進
・スタートアップ支援
となるが
僕はこれに
・透明性と効率性の高い開かれた政治
という項目を是非入れたいと考える
これまでの日本の政策は正しそうであっても
実のところ裏では汚い金が動いていたり
選挙の為の絵に描いた餅を公言したり
余りにもブラックボックスな部分が多すぎた
国民に分かりにくい政治などは不要なのだ
そして国民のためになる政策や立法
せっかく国民の目の前に
美味しそうなニンジンがぶら下がっていても
それが食べにくい仕組みや
ましてや食べてはいけない法律であっては
民主主義さえもただのお飾りになってしまう
なぜ食べれないのかがブラックボックスでは
国民が国民の意思で前を向くことが出来ない
しかしどんな時代になろうとも
政策や政治はやはり無くなることはない
それだけに政治は常に清廉潔白であってほしい

なぜ

この国の政治はダメなのかを
顕著に表している事実がある
例えばもしダメな国があるとして
そこの国民はどん風なイメージがあるだろうか
労働意欲がなく怠惰で薬物に溺れ
窃盗や暴力などの犯罪に走る
そういったイメージがないだろうか
実際歴史的にそうであった国は多くあった
そうなってしまえば確かに国は貧しくなり
いずれ国の体を失い亡国となる
しかし現在の日本の国民を見よ
礼儀正しく品行方正かつ勤勉であり
協調性もある温厚な国民なのである
こんなにバカ正直で
クソ面目な国民が他にあろうか
それにもかかわらず
国が貧しくなりつつあるというのは
弁解のしようもなく
紛れもない政治の失敗
政治家の責任である
いちいち例を上げるまでもない
この国の政治家の悪行が
どれだけ看過されて来たか
それはそのまま今の国の貧しさや
不安や不安定さに直結している
国民の貧しさに直結しているのだ

最近

進歩目覚ましい東南アジア諸国だが
ここのところの円安もあり
物価にそう大差がなくなってきている
その素行が良かったかどうかは別として
一昔前は日本人が海外に観光に行けば
お大臣気分でアレもソレも買って
軽々と大盤振る舞いもできていたが
今はもうそうはいかない
それどころか逆にあちらから日本に観光に来て
日本の物価は安くていい
などと言われる始末である
そんな状況を見ては
日本人のモチベーションは下がる一方だ
しかし実際の彼らの国々をよく観察してみると
裕福になのはほんのごくひと握りであり
国内での貧富の差は激しい
自家用ジェットで世界を飛び回る者が居ると思えば
明日の食事に困っている国民も少なくない
そしてやはり国内のインフラ整備は
まだまだ立ち遅れている国がほとんどで
あっても一部の者だけが占有しているのが
実情である
その点で大きく日本は違う
国の隅々までインフラは整備されており
今や光高速通信が出来ない場所はほぼなく
携帯電話もくまなく通じる
そして何よりその携帯電話を
国民のほぼ全員が所有し
受け取れる情報の偏りもほぼ無い
高速鉄道や高速道路も
国内にくまなく整備されており
治安の良さは世界一である
生活水準は最低保証が約束され
東南アジア諸国とは比べ物にならない
そして何より日本が世界に誇れるのは
医療国民健康保険制度だ
貧しくてもリッチでも平等に
しかも世界最高の医療を安く提供される
これは本当に誇るべき制度であるので
大切に守っていきたい
日本が貧しくなったと思っているのは
実は当の日本人と
一部世界のお金持ちだけであり
しかもそれは大きな見当違いであり
日本という国には過去からの
とても大きな財産が受け継がれている事を
日本国民はもっと知るべしである
以前より貧しくなったと言って
何も心まで貧しくなる必要はない
良いものは良いと感じる事も
大切な事である

一部の

SNSの書き込みの様に
他人がつまづいたのを
鬼の首を取ったが如くわめき散らしたり
反対勢力の話は頭から否定し
ネガティブな事を煽ってばかりでは
良く成るものも良くならない
政治家をののしるだけでは
国は良くならない
彼らは意見を違えどもどちらも
この国がより良くなれば
という思いは一緒であると思う
その点をもっと重視できれば良いのにと
いつも残念に思うのだ
互いにポジティブな可能性について
もっと冷静に国民同士が考え話し合い
実行していければと思う
繰り返すが
旧態依然な政治家を批判していても
この国が良くなることは絶対にない
無言のまま1票にものを言わせたら
国民はもっと明るい未来に向け
前向きな発言と行動を示せば良いと思う
まだまだこの国は
捨てたものではないのだから