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酒屋が教えるワインの教科書 ワインの醸造 3

 ワインの熟成

 ワインの醸造が出来ても生の新酒は香りや味が若々しくて炭酸ガスや澱などがあってワインの特徴が引き出させていません。そこで口当たりや香り、味などのワインの良さを引き出すために熟成が必要になります。また、樽熟成することでいろいろなワインのバリエーションが生まれます。樽熟成の出来がワインの良し悪しに影響してくるため手を抜くことが出来ない作業になります。

 様々な熟成法

 若々しいアロマを残したいワインは気密性の高いタンクで熟成します。ワインが外気に触れることが少ないため、熟成はほとんど進みません。それにたいして、上質の保存向きワインの特質を完全に発揮させるには、木樽で熟成する必要があります。木樽を使うことでたえず通気ができ、一定の温度を保つため熟成が安定し、ワインの性質が変化します。

 新酒に対する熟成期間中の作業

 熟成の間はワインの変質を防がなければいけません。良質な状態を保ち、透明度と安定性を出すにはいくつかの作業を必要とします。

 澱引き(スーティラージュSoutiraage)

 第一番目の作業は澱引きです。マロラティック(乳酸)発酵の終了直後から始めます。発酵が終了したタンクから樽に移し替え、底に沈殿している澱と透明なワインを分離し、空気を通すことで過剰な炭酸ガスを抜きます。次に区画されたぶどうや品種が異なるワインの調合(アサンブラージュ)をします。アサンブラージュされたワインはタンクや樽に移し替えて熟成させます。浮遊していた粒子が時間とともにタンクや樽の底に澱(リーLies)となって沈殿します。しだいにワインが澄んできます。しかし、それでも微小の軽い粒子が浮遊しているので澱下げと言う異なる方法で取り除くことになります。

澱下げ(コラージュCollage)

 コラージュは浮遊している微粒子を凝結させ、沈降させる物質を入れます。沈降させる糊(colle)はゼラチン、カゼイン、卵白などのたんぱく性物質を使用します。微粒子は糊に付着して凝結してタンクや樽の底に沈殿します。それを澱引きをすればさらに澄んだワインになります。その他では常に行われることはないが壜詰めした後に酒石が生じないようにワインを冷却して酒石の結晶を沈殿させる方法もあります。澱引きを行ったり、熟成期間に蒸発すると樽の内のワインが減るので樽が常に満量になるようにワインを補充します。補充することで空気を減らし有害酵母の働きを抑えることが出来ます。熟成期間が最終段階になるとさらにワインを不純物をろ過されて、味や香りを安定させて壜詰めとなります。

ワインの澱引き

 澱引きやろ過をしたワインを取り出した樽は丁寧に洗浄して内側に付着した澱や粒子を取り除きます。樽の管理が悪いとドライで黴臭い味が付く原因となります。

 次回はフランスワインについて。

 

 

マガジンにしました。 酒屋が教えるワインの教科書https://note.com/masutaka_note/m/m49ac080d0803


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