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ピノノワール味のピノノワール〈南ア/ピノノワール〉

わたしが最初に覚えた赤ワインの味は「シラーズ」でした。

濃い紫色に、コショウの香り、ぎゅうっと口内を締めるタンニン。
このあと、「エレガント」なシラーに出会いわたしのワイン観がポジティブに崩れるまでのつかの間のあいだ、シラーズはわたしのなかで「わかる、赤ワイン」の王座に君臨し続けました。

一方、「わかる、赤ワイン」の座からもっとも遠かったのが、なにを隠そうピノノワールでした。つまりピノノワール、「わからない、赤ワイン」。

▶ ピノノワールスキー憧れの(オールモースト)ロマネコンティはこちら。

ピノノワールって、なんていうか、なに味かわからないんですよ

いやなに味ってワイン味だろなに言ってんだ、って感じなんですが、
どうも味の輪郭がつかめないというか、飲んでも飲んでも違う味がするというか、味の振り幅が大きくて結局どういう味なのか全然つかめなかったんです、わたし。
パターン化できないというか、うまく因数分解できないというか。

香りの繊細さも相まって、いまいち特徴的な香りに行き当たらない。
結果的に「そうそう、これこれ!」っていう感覚に、なかなかたどり着くことができませんでした。

美味しくないとは違うんです。間違いなく美味しいピノノワールには出会っていて、実際、美味しいのですが、「うん、きみが美味しいのはわかった、んだけど、こないだ出会ったあの子と全然違うじゃん?(絶望)」みたいなことが、だいたい毎回起こってたんですよ、ピノノワールいったいきみはなに味なんだよ。


そんなわけで、ピノノワールとの蜜月までには、すこし時間がかかりました。

そんなわたしがピノノワールの味が「わかる」ようなるためにおこなったコツは、ただひとつ、コストをかけること。ぐ、ぐぬぅ、身もふたもない…

いろんなピノを飲み、毎回わかったような、わからないような気持ちになりました。それでもまたチャレンジして、「もしや、ピノの神髄って、これか?!」と思えるピノに出会うこともありました。嬉しくなってちょっとお高いピノに手を出して、「またハジメテ味キタ…」と絶望したりもしました。

そんな感じで少しずつ、少しずつ、ピノとの距離を縮めていったのでした。

それといいますのも、だってワイン好きな人たちって、ピノノワール… 好きじゃないですか。
わたしが知らない美味しさがあるのかもしれないと思うと、この道の「先」を知りたくなっちゃったんですよね。

いつの日か「好きなワインは、重い赤全部です!」なますたやから、「好きなワイン?そうね…ピノノワールかしら…」なますたやになりたいと思って、突き進んできたこの道。

なってみてわかったことは、お金がかかる、ということです(絶望)


ということで、なるべく金をかけずに美味しいピノノワールを飲みたい、できればピノノワール味のピノノワールを飲みたい!と願い続けているわたしが、
「これはピノノワール味のピノノワールだ!」と思った3本を、今日はお値段ごとにご紹介したいと思います!🥰


【1000円台】ドメーニレ・サハティーニ ラ・ヴィ ピノ・ノワール

<ワインdata>
国:ルーマニア 種類:赤ワイン 品種:ピノノワール ヴィンテージ:2018 生産者:ドメーニレ・サハティーニ インポーター:アズマ

まずは1000円台のピノノワールから!お買い得!

こちら、ルーマニアのピノノワールです。
スカイツリーからほど近い『半田酒店』さんにておススメいただいて購入しました。

ちなみに半田酒店さん、角打ちでワインの有料試飲ができるようになっておりまして、地下のセラーの混沌具合も大変好ましいので、お近くの方はぜひどうぞ🍷

小さな店舗なのにも関わらず、わたしが大好きなポール・ジャブレ・エネのキュベ違いがいくつも置いてあったりして、なんていうかたぶん、わたしと気が合ってます。(照れる)

こんな感じで、美味しいワインが飲める楽しい酒屋さんです

半田酒店さんによるとこのルーマニアのピノノワールは、「普段は飲食店に卸されていることが多い」とのこと。

レストランが多いようなのですが、なんせレストランのワイン価格はだいたい市場価格の2倍、ホテルなどでは3倍程度の価格で提供されるため、特にグラスワイン用にはなかなかお高いピノノワールは置けないとのこと。

それでも美味しいピノノワールを入れたい!というレストランさんからの要望で、いつも「安くて、美味しいピノノワール」を探すことになるそうなのですが、
このルーマニアのピノノワールは、飲んでもらうとみんな驚いてくれる、とお話されていました。

確かにこちらのピノ、美味しいんですよ。
飲み口は軽やかなのですが、ストロベリーやラズベリーのような赤いフルーツ系のカワイイ香りと、ふわっと香るバニラやペッパーのような香りが、ちょうどよく溶け込んでいる感じ。
酸も程よくあって、どこかというと、なんかちょっとフランスワインみたいな雰囲気があるんです。

しかもこれが全然チャラついてないし、逆に「わたしなんて…」と腰が低すぎることもなくって、きちんと「美味しい」感じが、好感度高いです。

なんというか、1000円台で「フランスのピノノワールみたいな雰囲気」が感じられるピノって、少ないと思うのです。
たとえばフランス産の初めまして1000円台ピノノワールに手を出すならば、こちらのルーマニアワインを飲んでいただき、「この味のすごくすごーく先に、もしかしたらブルゴーニュのピノノワールが存在している…かもしれない」という余韻に浸る、ブルゴーニュ遊びをやってみるのもオツかな、と思います🥰

こちらのワイン、都内のワインショップでもときどき見かけますので、お見かけの際はぜひブルゴーニュ遊びに興じてみてはいかがでしょうか🍷よかったらわたしも混ぜてください🥰


【2000円台】ベティッグ ヴィーノ・デ・プエブロ ピノ・ノワール

<ワインdata>
国:チリ 種類:赤ワイン 品種:ピノノワール ヴィンテージ:2020 生産者:ベティッグ インポーター:ヴァンパッシオン

続きまして2000円台ピノノワールはこちら、チリのピノノワールです。

さてこちらのピノノワール、グラスに鼻を近づけた瞬間、「アッハッハッハ?!うまッ!」って言いました、まだ飲んでないのに。

こちらのワインは、チリの大手ワインメーカー「エラスリス」に20年間年従事し、独立を果たした天才醸造家フランシスコ・ベティッグによって作られたワイン、とのこと。

「あの!エラスリスの!あの!ベティッグが!」といったなかなか華々しい触れ込みに、最初こそ「えー、ホント?」と目を細めていましたが、グラスに注いだ瞬間、爆笑しました。なんっじゃこの、美味しい香りは!

香りはラズベリー、ブルーベリーといったベリー感漂うジューシー&チャーミング系。そこにふんわりとした樽香が柔らかに立ちのぼります。

ひとくち口をつけると、まるでぶどう果実まるかじりみたいなフルーティさ。やや力強いタンニンとしっかりとした酸味は、香りの華やかさをエレガントにまとめあげていました。えぇ… ホント??

時間が経つとレーズンやシナモンといったスパイシーさも見えて来て、最後まで楽しめる、楽しいワイン。

新世界的な葡萄の熟度と樽使いに、旧世界的な繊細さと酸味を加えたお見事なコラボレーションに、ひとくち飲むごと「うまっ(笑)」と笑い続けた、楽しい夜となりました。あー、びっくりした。

ちなみに日本では、2020年の8月から発売されているとのこと。

▶ 輸入前には、我らが田邊公一ソムリエが現地を訪問されたそうです^^

いやあ、2000円台でこんな美味しい飲み物が飲めるなんて、地球に感謝ですよねほんと🌎

ちなみにわたしは、IMADEYAさんの実店舗で購入しました。
エチケットが似ているワンランク上のキュベもありますので、どちらかお見かけの際はぜひ手に取ってみてください、笑いますよ🥰(美味しさに)


【3000円台】ロングリッジ ジャスパー ラーツ キュヴェ・リカ ピノ・ノワール

<ワインdata>
国:南アフリカ 種類:赤ワイン 品種:ピノノワール ヴィンテージ:2018 生産者:ロングリッジ インポーター:株式会社マスダ

<バランス>
酸味:★★★☆☆ タンニン:★★★☆☆ 香り:★★★★☆

さて、もちろんわたくし3000円ワインの民、3000円ワインもご紹介いたしますよ!🍷
今宵の3000円ワインは南アフリカのピノノワール、CUVEE RIKA(キュベ リカ)ちゃんでございます🥰

なんせわたくし3000円ワインの民、実は「3000円(台で買える美味しいピノノワールを探す)ワインの民」を正式名称としておりまして、3000円台で買える美味しいピノノワールを、いつでも探し求めています。

こちらのキュベリカちゃんは、我らの心のオアシス、アフリカーさんで購入させていただきました。
以前より有識者の方々から「美味しい」と聞いていたキュベリカちゃん、否が応でも期待感高まります。

さて、ブルゴーニュグラスに注いでいきます。
いやあピノノワールってねぇ、まずこの、グラスに注いだ色がイイですよねぇ…

うっとり

この淡いルビー色を見ると「さぞ美味しいワインなんでしょう?」と思わず期待が高まり、鼻息が荒くなります。

それでは早速、グラスに鼻を近づけてみま、あ~~~~~~!🥰(確信)

間違いなく美味しい香りに、思わずにこにこ笑顔がこぼれます🥰
はっはー、これはあれだ、間違いなく美味しいピノノワールの香りだ🥰

ひとくちくちに含んで、納得。
「あーー、ハイ、美味い!」と高らかに宣言し、我が家に問答無用の平和が訪れました。


基本構造としては、ジューシーな果実と酸のエレガントバランス、そこに思ったよりもしっかりしたタンニンが重なってきます。

これがどことなく、「力強さ」を感じさせるんですよねぇ。樽からくるスパイシーさ、そしてやや強めのタンニン、これらがどこか実直なまじめさというか、ちょっと影がある感じを醸し出してるんですよ。

ちょっと、ベッカーのシュペートブルグンダーにも似てる雰囲気なんですが、キュベリカちゃんのほうが、ややチャーミングさがまさる感じでした。

決して「力強いワイン」というわけではないのです。どちらかというと、「力強さを秘めた、柔らかなワイン」というのでしょうか。ちょっと、考えさせられる瞬間があるんですよねぇ、なにかを。(なにか)

一見そうは見せないのに、実はポテンシャルとしての強さを持つひとって、素敵じゃないですか。
キュベリカちゃんはそんな、内側に秘めたる高貴さがにじむ、まさに「イイ」ワインでした。いやあ、いい体験しました。ありがとう、地球🌎


以前うかがった『世界を旅するワイン展』の試飲ブースで、「熟成ピノ」と「若飲みピノ」を飲み比べたことがありました。

左から順に熟成を経て行きます

結論、どれも美味しかったんですよね。

でも、あきらかにこれらの「美味しさ」の質は違っていたんです。みんな違って、みんないい。
この「幅」を知っておくことが、美味しいピノノワールと出会っていくための、ヒントになるんじゃないかと思ったりしてます。

「ピノノワール味」がつかみにくいピノノワールの、その幅の広さこそを愛するみなさん、
そんなご自身の心持ちに気づいたならば、みなさんはすでに3000円(台の美味しいピノノワールを探す)ワインの民のお仲間です…!🥰(いつの間に…!)

これからも美味しいピノノワールを見つけましたら、そして、美味しい3000円台のピノノワールを見つけましたら、わたくしますたやまでご一報いただけますよう、何卒よろしくお願い申し上げます🍷


ということで、ここまでお読みいただいてありがとうございました^^
記事がよかったと思ってくださった方、ピノノワールの美味しさに気づいちゃいました!という方、よかったら右下の「❤」ボタンを押して、スキ!してくださると嬉しいです♪
いつも押してくださるみなさん、ありがとうございます嬉しいです✨

それではまた次の #3000円ワイン か、 #ワ活 でお会いしましょう(^○^) 3000円ワインの民、ますたやでした!

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■ ますたやとは:

関東在住の30代、3000円ワインの民(たみ)。ワインは週に約5本(休肝日2日)。夫婦で1本を分けあって飲みます。2021年、夫婦でJ.S.A.認定ワインエキスパート取得。これからもおいしいワイン、いっぱい飲むぞ~!

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