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房総の海を見ながら、完全スイッチオフ・ワ活。

なにひとつ予定がない「完全なオフ日」があるとしたら、みなさんは何をしますか?

遊ぶように仕事して、仕事くらい本気で遊ぶことを信条に生きる、わたくしますたや。うっかり本気でやりすぎた結果、どれかにしわ寄せが来ることもしばしば。いつだって、「楽しすぎる」と「疲れすぎる」を行ったり来たりする人生です。人間としての設計ミスじゃん。

ところで、ここのところ激務が続いていた我が夫氏。激務すぎてナパ・ヴァレーに高跳びしたことが功を奏したのか、このたび会社から1週間の暇(いとま)が言い渡されました。

お、やすめるじゃん

というわけで、珍しく夫婦ふたりそろっての「完全オフ日」が決まりました。「実家への帰省のため」とか「結婚式に参列するため」とか、予定があるおやすみ以外で連休が重なるのは、ひさしぶり。いや、なんならワイナリーに転職した今年の3月以降、初めてかもしれません。うひょー

となれば、あとは本気でやすむのみ。仕事からも、遊びからも、SNSからもがっつり離れる2日間。やるとなったら本気でやるのが、ますたやのジャスティス。さて、どんな本気のおやすみになったのでしょうか。


海の見える部屋

行き先に房総半島を選んだのは、「海が見たい」というわたしの一心からでした。

1時間に1本だけ走る電車(2両)
車窓に海を広げながら、電車は進むよどこまでも。

房総半島は、千葉県の観光スポットが点在する素敵半島です。

有名な漁港である銚子をはじめ、タンタンメンが人気の勝浦、ひつじが行進するマザー牧場、県民の修学旅行でおなじみ鴨川シーワルドに、「地獄のぞき」ののこぎり山――

JR内房線と外房線がぐるりと一周するこの半島は、電車でも移動が可能です。昼間からワイン飲みたい勢としては、公共交通機関で移動できるスポットは神なわけ。千葉県だいすき。一生住む。

最寄り駅につきました

今回宿泊したのは、コンドミニアム『グランビュー岩井』さんです。

そびえたつ昭和感
「うちっぽい」キッチンもイイ

余談ですが、ここがですね、びっくりするくらい我が家のニーズにぴったりなお宿でした。

今回のおやすみのテーマのひとつに「料理をすること」があったんです。それでまず探したのは、キッチン付きのお宿。でも、そもそもそんなお部屋はすくないし、あってもリゾートすぎてお値段が高い。あった、と思ったら沖縄だったり、現地まで車で行くしかなかったりと、今回の宿探し、かなり難航しました。なんせ昼からワインが飲みたいので、車を使うのはナシ。(頑固)

くわえて、わたしはどうしても、部屋から海が見たかった。海を見ながら、ワインが飲みたかったんですよ。

さすがにここまで来ると夢物語すぎて、都合がよすぎる自覚はありました。海を見ながらワインが飲める、キッチン付きの駅徒歩圏内のお宿。そんな宿あるわけないわ、と、セルフツッコミを入れつつ、探し続けること数日。

あった

あったわ。まさかの。海を見ながらワインが飲める、キッチン付きの駅徒歩圏内のお宿。千葉県に。それが今回宿泊した、グランビュー岩井さんだったのでした。

ありがとう、岩井さん。泊まる前から好きでした。

道路をカニが横切っていく。海街。
ベランダから海を眺めながら、駆け付け1杯!

【房総半島でやりたいワ活①】夕陽の沈む波打ち際で、ワインを飲む

というわけで、のんびり自宅を出て食材を調達し、お宿にたどりついたのは夕方の5時30分。

ここでどうしてもやりたいことがあったわたしは、オフなのに会議に駆り出されたかわいそうな夫を尻目に、眼下に広がる海へと走りました。

わたしが、どうしてもやりたかったこと。それはーー

暗い細道を抜けると…
海だ〜!

そう、ここで、ワインを飲むことです!

やりたいこと、単純…!

水平線に、乾杯〜!!

海におともしてもらったのは、ガスコーニュの瓶内二次発酵スパークリングワインです。今回はハーフサイズだけど、なんとフルボトルでもギリ¥1000台!いいね!

しゃきっとした酸味と、ブラン・ド・ブランのわりにふくよかな果実味。ちゃんとフランス感があるのに親しみやすい、必要十分な美味しい泡でした。うーん、イイ。イイぞ。俄然イイ…!

そうそう、こんなのでいいいんだよな〜!と、そんなことを思いながら、へっぴり腰で波とたわむれます。波こわい(山育ち)。クレッシェンド&デクレッシェンドを繰り返す波音に、ワインを注ぐ音が重なります。

波の音って、思考をゆるやかにぼうっとさせますよね。すっかり暗くなった海岸で、しばしおひとりワインタイムでした。

よーし、お宿に帰ろう。今度は、お料理だ!

【房総半島でやりたいワ活②】じっくりコトコト煮込んだお肉と、赤ワインで乾杯

今回のおやすみの大きなテーマのひとつが、「料理をする」ことでした。

何を隠そうわたくしますたや、普段あまり料理をしません。

帰宅が21時をすぎることもあり、料理をする世界線はいったんあきらめています。だってさあ(言い訳)、メニュー決めて買い出しして作って食べて洗い物するって、すごい時間かかるんだもん。世の中のご飯作る民、全員神なんかな?

でもべつに、料理すること自体は嫌いじゃないんですよ。言い訳だけど。時間がありあまっていたコロナ禍には、各国の料理にワインを合わせるのがむしろ趣味でした。今や懐かしい「給付金」で買ったのはオーブンレンジ。ローストビーフ、焼きたかったんだよね。まあ、今ではただの電子レンジと化してますが…

話がそれました。そういうわけで、前後の時間配分を考えなくていい完全・オフ日には、料理に好きなだけ時間を割こう!となりました。ちなみにこれ、夫氏への誕生日プレゼントである「ちょっといいワイン」を持て余してたことも理由のひとつ。レストランに持ち込むほどの格ではないし、かといっていつもの惣菜では物足りないしという、そんなワインに「時間をかけた手料理」がぴったりだったんです。

なお、宿についてすぐに会議に駆り出された夫は、わたしが海から引き上げてきても会議継続中。かわいそうに。海にも行けず、温泉にも行けず、仕事にも、急な呼び出しにも負けぬ丈夫な心をもち…(ますたや著『社畜ニモマケズ』より)

食材は自分ちの近所で購入。足りない分は、ちかくのスーパーで調達しました。徒歩圏内にスーパーまであるなんて、便利すぎるよコンドミニアム岩井さん…!(好き)
みんな大好き志麻さんレシピ。お肉に小麦粉をまぶして焼く、みたいなひと手間がかけられるのが、おやすみ料理の醍醐味。
もちろん、料理酒を飲むことも忘れずに。

というわけで、お肉をコトコト煮込むこと30分。あいまにサラダを作ったり、チーズを切ったりしているうちに、1時間半が経過しておりました。いや〜、気持ちいいな料理に集中するのって…!

できあがりを見計らったように会議から解放された夫も、いい香りに釣られてふらふらキッチンにやってきました。仕事が終わったらご飯ができてるなんて、いいご身分だな!最高のおやすみじゃん!

できた~!つやっつや~!
豚肉とプラムの赤ワイン煮込みは、プラムのほんのりとした甘みと豚バラ肉の甘みがぎゅっと凝縮。
朝5時から塩漬けにして、宿について塩抜きしておいたサーモンマリネ。ディルとケーパーを乗せるだけで「ホンモノ」っぽくて心おどる…!

さて、それではメインのワインで乾杯〜!

ワインは、フランソワ・フュエのモレ・サン・ドニです。はやめに抜栓しておきましたが、それでも注ぎたてはバシバシの自然派系。梅しそ系のベリーの香りが、どことなく和風な雰囲気を感じさせます。

飲み始めはちょっとうつむき加減でシャイな印象でした。でも、次第に開いてくるとじゅわじゅわとしたうまみとチャーミングな甘やかさが、舌に優しく広がっていきます。なんだ、地味に見せかけて愛らしいワインだな。

なんたって、ほんのりスパイスのきいた赤ワインソースにこのワインがベストマッチで、アタシやるやん…!と自画自賛の食卓。ええやん、アタシやるやん!(2回め)

肉をコトコト煮込むと、美味い。これ、人生の教訓に加えといてください。(有史以前の人類も知ってる事実)

【房総半島でやりたいワ活③】ベランピングで、即席スモークタイム

「スモークやりたい!」

これは、夫からの提案でした。天才かよ…!

しかし、思いついたのが前日という、これまたいつもの過密スケジュール。ますたや家、これ、どうにかしたほうがいいよほんと(反省してない)

さすがのAmazon先生もギリギリすぎて使えず、仕方なくみずからの足で探しまわりました。意外とないのな、簡易スモークキット。ドンキホーテの棚、東急ハンズの隅、そんなとこにいるはずもないのに…

結局、簡易スモークキットを見つけることができないまま、房総半島に降り立った我々。それでも諦めきれないわたしたちは、最後の最後、旅先の店ホームセンター・コメリに駆け込んだのでした。

あった。

あったわ。なんでもあるな、この漁師町。静かな町なのに都会っ子フレンドリー。ちなみにお宿のそばにはコンビニも100均もあります。海辺の田舎町なのに便利ってどうよ。もうここに住む説まである。(ない)

というわけで、即席スモークキット、セッツ!

ズクダンズンブングン、と踊りながら食材をセット。出てくるネタが古い(36歳の限界)
このような形で、じわじわと燻し続けること90分…
軽めに燻しあがりました!

燻しを待つあいだは、ベランダに椅子を出してまったり。本を読んだり、うとうとしたり…遠くの波音が耳に心地よく、涼しい風がさわさわと吹き抜けていきます。なんかあれだね、焚き火ってたぶん、こんな感じなんだろうね。いいな、ちょっとハマりそう。

もちろん!待ちきれないから、ビールだって飲んじゃう。本日何度目かの、乾杯〜!

ワ活といいつつ、スモークにはビール!

ただ「待つ」ことが許された、贅沢な時間でした。

【房総半島でやりたいワ活④】ワイン片手に、朝の海散歩

カーテンからこぼれる光で、はやく目がさめた朝。

ぐうすか眠りこける夫はおいて、海までお散歩です。窓から見えていた防波堤の先まで行ってみたい。

朝の海へと続く道
あれが窓から見えてた防波堤かな
終わりがあるものは美しい

めったにこんなロケーションもないので、持ってきたワインと本を取り出します。

砂浜で拾った貝殻と、積ん読になってた往年の名著、その隣に(かつて料理酒だった)コノスルをセッティング。

おー、これはあれだな、映えるヤツだな…!

しかしよく考えれば朝の海で、おもむろにワインとグラスを取り出す女はシンプルにヤバいやつ。しかも飲んでるからね、ほんとうに。ちかくにいた釣り人が歩いてきたので会釈しましたが、なんとなく視線をそらされた気がします。わかる。わたしでもそうする

そんなヤバいわたしのことを、海猫がかまってくれました。君もヒマなの?奇遇だね。わたしもだよ。

ワインでも飲むかい?(ダメ)

海猫がひざでぴーぴー寝始めたので、わたしも一緒にうつらうつら…そして気づくとわたしの黒いワンピースは、毛だらけになっていたのでした。おまえ白猫だったなそういえば…!

魔女のキキってたぶん、ジジの毛で毛だらけなんだなぁきっと…そんなことを思いながら海をあとにします。黒猫だから目立たないだけだなあれは…

立ち上がったら定位置にもどった。かまってくれてありがとね。

そしてやすみは終わりゆく

さあ、途中下車でもしながら、ゆっくり帰りましょう。帰る場所があるから、旅はたのしい。終わりがあるから、はじまりがある。

食べてから撮る(あるある)

完全スイッチオフして気づいたことは、実は毎日のなかに、大切な瞬間がたくさん転がってるということでした。

家族とのなにげない会話、まわりの音を聴くこと、ただ静かに考え続けること。

ついSNSに手が伸びたり、今ここにいないダレかとのやりとりに気を取られたりしているうちに、見落としてる、ささやかな時間。

小さくて大切なものは、きちんと自覚的に大切にしないと、いつのまにか掌からこぼれ落ちてしまうんだな。そんなあたりまえのことに気づいた、小さなおやすみでした。本気でやすんでよかった…!

さあ、充電完了。また、「楽しすぎる」に全振りする覚悟ができました。ええ加減にせえ

というわけで、秋冬のますたやとも、引き続きワインでたくさん遊んでください!乾杯!🥂

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■ ますたやとは:
関東在住の30代、3000円ワインの民(たみ)。ワイン好きが高じて、2023年3月から都内のワイナリーで働きはじめました。
2021年J.S.A.認定ワインエキスパート取得/2022年コムラードオブチーズ認定。夫もワインエキスパートを取得し、現在はWSETLevel3を英語で挑戦中。

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