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2024年2月|3000円ワインまとめ

わたしがワインと出会い、ワインを好きになり、ワイン業界にまでやってくるきっかけとなったお店が閉店して、ちょうど1年が経ちました。

1年前の今日、わたしは総合病院の心理士として、9時5時でカレンダー通りに勤務し、規則正しく寝起きし、週末のワ活を心の支えにしながら日々を暮らしていました。

3月からワイナリーで働くことは決まっていたものの、いま思えば体力勝負の本当の意味も、業界の裏側のなんたるかも、お金の出入りへのシビアさも、なにもかもが足りていなかった。もちろん、筋肉もなかった

それがたった365回の夜を超えるうち、ワインを造り、ワイン事業で開業し、シューイチでバーを開くようになるんだから人生わからんもんです。まさかあたしが、12本入りの段ボール箱を「軽…」って言いながら持ち上げられるようになるとはねえ…!

でも間違いなく、今わたしが立っているこの場所は、「自分で選んだ場所だ」と胸を張っていえます。

どっちがよかったとか、前のほうがどうだったとか、先の不安だとか、そんなことはいくらでも言えます。今がベストかどうかなんて、そんなことわからない。だいたい、こっから1年後にあたしがどうなってるか皆目検討がつかないんだけど、えーと、人生ってこんなアップダウン激しいもんだっけ………?

でも、とにかくすべての決断に責任を持ってここまで選んできたことは、わたし自身が覚えています。そして、迷ったら「楽しい」ほうを選び続けてきたことも。それだけは確かだし、そんなわたしの365日を、ちょっとだけ誇りに思ったりして。へへ。

ワインの飲み手から、業界人へ。

こうして1年経ってみてわかったのは、わたしの心の立ち位置はいつまで経っても、飲み手である、ということでした。あたしはやっぱり、ワインを飲むのが好き。そして、そのまわりにいる、ひとびとが好きです。

これからもワイン造りにたずさわりながら、ワインを売り、ワインを注ぎ、そして美味しいワインを飲みながら、みんなとああだこうだおしゃべりしたい。

ここが、飲み手の、最前線だ!(強弁)

というわけで、ますたや2.0の新たな珍道中を、引き続き遠くから近くからお楽しみくださいませ🌱

来年の今頃は、ベトナムでワインでも造ってるかもよ〜〜〜?!(そんなますたやは嫌だ!)


見よ、これが日本のオレンジだ!

■ ココ・ファーム・ワイナリー/甲州F.O.S. 2019[¥3300]

かつて特殊学級(現特別支援学級)のお子さんたちへの教育の一環として開かれたココファーム・ワイナリー。みんなで開墾したという急な山の斜面にのびのびとブドウが育つ情景が美しいこちらのワイナリーは、現在も就労支援としての役割を担いつつ、その自然派の造りや質の高さもあわせて評価される日本を代表するワイナリーのひとつ。

そんなココさんの甲州FOSを、昨年現地で飲み「いやこれ美味いなァ!?」と驚いたますたや。その後手に入れる機会があり、晩酌への登場を待ちわびておりました。

さて今夜は、「シュクメルリ風」鶏肉のソテーです。なんのワインを合わせようか…とセラーを覗くと、いるじゃないですか…甲州FOSが…!

シュクメルリといえばジョージア料理、ジョージアといえばオレンジワイン、と、マジカルバナナもびっくりの連想ゲームによるご登壇と相成りました(世代)

外観は濃いオレンジ色、やや澄んではいますがにごりが見えます。香りは金柑のような、小さな柑橘の香り。ここに、ホワイトペッパーのような柔らかなスパイシーさが加わります。人懐っこいんですが、同時に複雑味があり、ひとことでは捉えきれない深みを感じます。

しっかり現れた果実味と、主張しすぎないバランスのよい酸。いやぁ、これはねえ……やっぱり、とても美味しいです。

白ワインの延長線ではなく、はっきりとした「オレンジワイン」としての存在感。一方で、透明感のある飲み心地と余韻のほんのりとした出汁感は、これぞまさしく日本ワイン…!

こんな美味しいオレンジワインが日本で造られていること、なんだか嬉しく思います🍷

わたし自身も日本ワインの現場に飛び込み、もうすぐ1年。いや〜〜〜日本ワイン、やっぱりまだまだ面白いよ、これは…!(ただのファン)

岡山らしい岡山ワインを、地産地消で楽しむ。

■ ふなおワイナリー/マスカット・オブ・アレキサンドリア・スパークリングワイン[¥3500]

この3連休、ちょいとお暇をいただきまして、夫とともに広島の実家に帰って来ております。そんなときに何をするか。なんと……ワ活です!(様式美)

というわけで、初日は倉敷の美観地区から車で15分ほど。船穂町の小高い山の上にあります、ふなおワイナリーさんに訪問しました。お恥ずかしながら、今回の帰省で初めて知ったワイナリー。スタッフさんにうかがうと、なんと20年もの長さで続けられているとのこと!

だいぶ国内のワイナリーには明るいつもりでしたが、こんな地元(備後地方)で長くワインが造られていることさえも知らないなんて、ますたや、まだまだだな…!

現地では8種の試飲とソフトクリームまで堪能し、両親ともども「あ〜、楽しかった🍷」と大満足のプチ・ワ旅。帰宅後、母の作ったおでんとともに、早速いただいてみました。

こちらのワインに使われているマスカット・オブ・アレキサンドリアは、岡山が全国シェアの9割以上を閉める生食用ブドウ。地元のブドウを使って、地元のワインを造る!というのも、コンセプトのひとつになっているようです🍇

香りは華やかなマスカットの香りと、ほんのり白桃のような甘やかさが漂います。飲んでみると、優しいほの甘口。そして、スキッとした泡。これならば、と酸味の苦手な父も、ごくごく飲んでおりました。

母の作るちょっとあまいおでんと、ぴったり寄り添う晩酌。ひさしぶりお腹がパンパンになるまで食べながら、ああそうだ、我が家は食べることも飲むことも好きだったなぁ…!と納得の夜。

この家に育ったから、今のわたしがある。そんなふるさとへの帰省に、お隣岡山でありおなじく備後地方のワインが、楽しく寄り添ってくれたのでした🥂

いくつになっても、娘はむすめ。

■ 葡蔵人〜book road〜/シャルドネ 2023[¥3000]

さてこちらは、東京の都市型ワイナリー、葡蔵人〜book road〜 が造るワインです。・・・・そうです、自分とこのワインだよ!🫶へへへ

実家に帰るときは弊ワイナリーのワインを手土産に持って帰るのですが、今回も例にもれずカワイイカワイイ『うちのコ』と一緒に帰ってまいりました🍷

三次ワイナリーに世羅ワイナリー、ちょっと足を伸ばして島根ワイナリーと、昔から「ワイナリー」が大好きな我が家。ワインに詳しいわけじゃないけど、いつもなんだか身近にある。わたしの『ワイナリー像』の理想はもしかして、自分の家族が原型なのかも。

「これ、わたしがエチケット貼ったんだよ😤」というささやかなドヤに、「えー!すごいじゃん!!」と褒められて、鼻高々の娘👶

ワインの仕込みはもちろんのこと、もはや日常業務となってしまったエチケット貼りの作業ですが、そうだよね、やっぱりワイン造ってるってすごいよね…!と、ほくほくの晩ごはんだったのでした。

ちなみに今年のうちのシャルドネちゃん、酸が柔らかく、その分果実味が主体の印象です。白桃のような柔らかな香りとほんのりとした吟醸香が心地よく、日本の晩酌にナチュラルに寄り添います。酸味があまり得意でない方や、ワインを飲み慣れてないかたにもお勧めのこちら。普段は酸っぱいものが苦手な父も、1杯お付き合いしてくれました🫶

今となっては年に1、2回ほどになった実家への帰省。またはやめに帰って来ないとな〜と、コタツに入ってテレビを見ながら、ようやく「日本の冬」そして「ふるさと」を味わうますたやなのでした🍊

これで自信を持っていえる。あたしはイタリアワインが大好きだ!

■ フレスコバルディ/テッレ・モーレ 2021 [¥3700]

▷ 品種: カベルネ・ソーヴィニヨン、カベルネ・フラン、メルロー、シラー

さて今宵は、イタリアワインをいただきます。こちらはトスカーナで造られるボルドーブレンド。自由をもとめるイタリアワインにしては、ちょっと珍しいブレンドです。

色合いはやや淡く、赤いベリーが熟した香り。
伸びやかな酸味とじゅわっと広がる果実味が、可愛らしくもエレガントなバランスに仕上げます。
少女からオトナへと変わる頃の、ちいさな初恋みたいな甘酸っぱさ。ほんのりとした樽の後押しが、凛とした雰囲気をまとわせています。

一方で、ボルドーブレンドらしいかと言われると、うーん、なんというか、これってつまり…………

ーーーさて、先日。

イタリアンワインマエストロに合格したお友達が、わたしのシューイチワインバーに来てくれました。なぜか私のまわりにはイタリアワイン界隈の友達が少なく、ここぞとばかり楽しくお話を聞いていたのです、が。

ここでますたや、長年疑問に思っていたことを、ついに聞いてみることにしました。あの、たいへん、本当にたいへん、失礼だとは思うんですが………

「イタリアワインって、どの地域のどの品種を飲んでも、なんならブレンドになっても、だいたいおなじ味に感じるんだけど………」

するとマエストロのお友達から、こんな答えが返ってきました。

「イタリアワインは、だいたいおなじ味だよ!!!」

だいたいおなじ味だった!!!!

ほっとするますたや。
なぜって、あたし、このイタリアの軽やかなテイストが、大好きだから……!!

今回のワインもそうですが、イタリアワインには崩れることのない「イタリア」らしさがある、と常々思っていました。安価なものでも安定して美味しいのがイタリアワインのいいところなんですが、一方でどんなワインを飲んでも、「なんか、おんなじ味な気がする……」と感じていたのです。

語弊を恐れずに言うならば、ぜんぶ「サンジョベーゼ味」。でも、それはわたしがイタリアワインの深淵を覗いていないから、分解できてないだけなんでは…と思うと、胸を張って「イタリアワインが好きだ!」とは、言えないな、と思っていたわけです。

ところが。マエストロによると、だいたい同じで合ってる、とのことじゃないですか。実際、赤ワインのテイスティングコメントをする際には、ほとんど必ず『サワーチェリー』が入るんだ、とのこと。

ボルドーブレンドになっても、紛れもない「イタリアの味」を醸し出していた今回のワイン。あたしこれ、大好きだったんですよね…!

イタリアは、やっぱり大好きなイタリアだ!
これからは胸を張って「イタリア味が好きだ」と世界の片隅で叫ぼうと心に誓ったますたや。

ちなみに、マエストロのお友達は、これからさらに上位の資格、日本で4人しか持ってない、「イタリアンワインアンバサダーエキスパート」に向けて勉強をはじめるとのこと。

えーっと、べつに、ワイン業界人でもないのに…?!

あー、ほんとに好きだ。だいすきだ。これこそ「好き」の真骨頂。本人さえもなんだかよくわからないまま、それでも高い山を登り続けていく、そういう大人があたしは大好きだし、わたしもそういう大人でありたいと思った、小さく素敵な夜だったのでした🍷

シューイチワインバー、そんな感じで楽しくワイワイやってます🫶みんな、来てね!

中国ワインの「シャーロンジュウ」、いただきます🐉

■ 寧夏ヤンヤン国際ワイナリー / 蛇龍珠(シャーロンジュウ)2013 [¥3500(税抜)]

絶賛おしごと中の三連休なかび、今夜は餃子でも焼いて中国ワインに行きますか!ということで、千駄木のパンダワインさんから連れ帰った、ヤンヤン国際ワイナリーさんの「シャーロンジュウ」を抜栓しました🍷

シャーロンジュウ…漢字では「蛇龍珠」と書きますが、もちろんブドウの品種です。中国の土着品種かと思いきや、カベルネ・ガーニッシュというヨーロッパ原産の品種なんですって。

カベルネ・ガーニッシュは、カベルネと「なにか」みたいなざっくりした呼び名で、もとは素性もよくわかっていなかったそう。そのうちヨーロッパでは絶滅し、伝来先の中国国内にのみ残った品種として、中国らしい品種となっているそうです。チリのカルメネールみある。

ところでシャーロンジュウ、DNA鑑定の結果、どうやらカベルネ・ソーヴィニヨンとカベルネ・フランのこどもと言われているそうで、あれ?でも、カベルネ・ソーヴィニヨンってそもそもカベルネ・フランのこどもじゃなかった?などと、葡萄界の複雑な家族関係について思いを馳せてみます。みるひとがみると、ずいぶん複雑なジェノグラム(家族図)だな………いや、葡萄の話です。

さて、ワインはブルゴーニュグラスでいただきました。

これは、先日参加したモセルさんの中国ワインセミナーで教えてもらったこと。シャーロンジュウって、香り立つアロマが特徴的な赤ワインなんですって。なんと、その香りの化合物はソーヴィニヨン・ブランやリースリングよりも多い、ということで、あんまり赤には言わないと思うんですが「アロマティックな赤」なんだそう。実際モセルさんのセミナーの際もシャーロンジュウを飲ませていただき、グラスから香りをとった瞬間「わあッ!」って言いました。すぐ驚くますたや。

こちらのシャーロンジュウも、軽やかな外観の液体から花のような綺麗な香りが立ち上ります。
ちょっとドライフルーツみがかった赤い果実と、ほんのりとした酸の雰囲気。飲んでみるとそこに、わずかに漢方のようなスパイスを感じる、おもしろいバランスになっていました。

とはいえVtが2013ということで、10年の熟成でだいぶたおやかに熟れた印象です。夫シェフが作ったやたらに羽々しい餃子や麻婆豆腐、そしてラム肉にもばっちばちに合わせてくれました✌✨すごい、有能だ…!

Vtを考えると、もしかすると翌日以降の方がもっと開いたのかも。でもあたし、美味しいワインってすぐ飲んじゃうんですよね〜…!この、待てばもっと美味しいかもだけど、今だって十分美味しいんだからすぐ飲みたい!の葛藤、まだしばらく「今」が勝ちそうです。

だって、ワイン、美味しいんだもん………(こどもか)

というわけで、おしごとな三連休なかびの、いいエネルギーチャージとなりました🍷さあ、今日も働くぞ〜〜!🔥

2月からスタートしたシューイチワインバーも、おかげさまですごく楽しく営業させてもらってます!

いろんなお友達が来てくださり、一緒にワインを飲んでくれて、わたしのハナキンが急に賑やかになりました。こんな幸せってあっていいんだろうか…🥺

引き続き、四谷三丁目のあやしいビルでみなさまを毎週お待ちしておりますので、いつもましての方も初めましての方もお気軽に扉を開いてください🌱

それではまた、来月!

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■ ますたやとは:
関東在住の30代、3000円ワインの民(たみ)。ワイン好きが高じて、2023年3月から都内のワイナリーで働きはじめました。
2021年J.S.A.認定ワインエキスパート取得/2022年コムラードオブチーズ認定。夫もワインエキスパートを取得し、現在はWSETLevel3を英語で挑戦中。

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