ICT教育が進まないわけ(2)

それぞれの教員にはそれぞれバックグラウンドがあります。そしてそのバッググラウンドによってはICT教育には無関心な教員もたくさんいるわけです。

元々スポーツを仕事にしたくて教員になった人が一定数います。そういう教員は部活指導以外の仕事はあまり興味がないので、部活以外で仕事が増えるのは嫌だなあと思っています。もちろん「部活動に熱心=人を育てることに熱心」で、効果がありそうなことには学校のあらゆる教育活動になんでも熱心に取り組む先生方はたくさんいます。

今、学校で主力の40代以上の教員は昭和の教育を受けて育ってきてます。高度経済成長時代の教育モデルです。よき工場労働者となるたの、目上の言うことをよく聞き、スタンドプレーをせず、不合理なルールも厳守して、指示された作業を能率的に確実に行う人材育成です。

そういう教育環境で優等生的な学校生活を送ってきた人が教員には多いのです。未成年の時に警察にお世話になったことがあるタイプの人や教員に反抗ばかりしていたタイプの人は少数派です。

目上から指示されたことを着実にこなすことで評価を受け、今の自分のアイデンティティが形作られてきたと考えるタイプの大人です。自然と自分が生徒として受けてきた教育のコピペ・再生産が仕事のスタイルになっていますので、自分が受けたことがない教育活動に対してはかなり慎重に様子を見る傾向があるようです。

教員採用試験で模擬授業をお願いすると、ベテランと言われる年齢層の方のうち、びっくりするほどたくさんの方が、昭和スタイルの授業を展開され、ほんとに驚くのです。せめて、採用試験ぐらい「よそ行き」の今風な授業やらないのかな?と思うのですが、新任時から教育のアップデートに全く関心がなかったのでしょう。

アクティブラーニング・ICT 教育・働き方改革等すべて拒否し、昭和の価値観が教育の基本となっている教員も多く、そこでICT教育・オンライン授業・反転授業などといっても全く響かないわけです。

コロナ休校によって、教育界でもパラダイムシフトが起こると考えている学校は素早く動きましたし、コロナが落ち着いたら完全に元の世界に戻ると思っている経営陣を抱える学校は「ウチはしっかり課題も出しているし、問題ない。」と特に大きな動きは起こしません。

元の世界に戻ると考えている教員は行事カレンダーと部活の大会を例年並みにどこまで復元できるかが最優先事項であり、産業のあり方すら変えかねない、コロナショックへの対応には無関心なのです。

そういう方々にとっては「オンライン授業なんて暇な人がやればいい。巻き込まないで!」とウチの学校には関係ない話、ととらえている人も多いのです。

しかし、一部市町村でタブレットの配布が始まり、GW明けで学校が再開できないことが決まると、ほとんどすべての学校でICT教育と無縁ではいられなくなるでしょう。



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