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エッセイ 部活とカーストセンサー

今日は朝から健康診断をして、低血圧ですねえと言われ、自身の健康を心配し、昼からはパソコンで作業をこなしつつ、夕方からはスーパーのフードコートで本を読んでいた。

180円のポテトをぽりぽり食べながら、フードコートで勉強する高校生を懐かしい目で眺めていた。

本当は勉強目的でフードコートを利用してはいけないのだが、そこは多目に見てもらえる風潮が全体としてやんわりあるので、誰も注意しない。

そんな中、サッカー部だが、バスケ部だが知らないが、見るからにボールを扱っていて日焼けしてそうなイケイケ男子高校生が、知り合いだと思われる女子高生に声をかけていた。

「よお!写真部!」

その女子高生は写真部だったのだろう。すると、彼女はイケてる男子高校生に向かってシャッターを押した。

「微笑ましいノォ」
と、陳列している安肉を国産か外国産なのか見極めるような目つきで、私はその光景を見ていた。
そして失礼を承知で次のようなことを思う。
「でも写真部って何とも言えんよな…」

そう思うのは、私自身も高校時代は何とも言えないアウトドア部に入っていたからである。

そこに所属していた私は当時、周りの運動部の輩から、「運動部の皮を被ったカメレオン」と揶揄され、心底肩身の狭い思いをしてきたのだ。やがて、そんな鬱屈した感情は、サッカー部やらバスケ部やらテニス部やら見るからに「イケてそうな奴ら」への嫉妬心に転換していったのである。

さらにその醜い嫉妬心には、部活ごとの「イケてる度」を測るカーストセンサーなるものが完備していた。例えば、「ボールを扱って日焼けしているスポーツに入っている部活」はカースト最上位と感知するように。ちなみに、我がアウトドア部はそのセンサー曰く、中の下あたりだそう。

「誠に悲しきことなり」
私は自身の不甲斐なさに辟易しつつも、
「写真部には負けん!」
とカースト底辺にならないよう、1人で醜い争いを繰り広げていた。ここら辺に高校時代の私の人間的限界がある。

流石に大学に入ってからは、そのような序列がクソの役にも立たないことに気づき、そのセンサーなるものは勝手に壊れていった。壊れてくれて本当に良かったと思う。

しかし、今日見た光景は高校時代の自分が見たら意外なものだと思うはず。

「なぬ!イケてる奴らと写真部が渡り歩いているだと!」

そして、決まってこう言うだろう。
「フッ。写真部も力を付けたもんだな。まぁせいぜい足掻きたまえ」と。

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