茶室談義
茶室というと、茶道を習っている人でもあんまりよく知らないという人が多い。たった数畳の小さな空間だが、ここにはとてもたくさんの仕掛けが作られている。
日本の国宝茶室というのは3つ、そのうちのひとつが「密庵」だ。京都にある大徳寺竜光院というところにあるが、このお寺は慶長11年に黒田長政が建立したものだ。龍光院の開祖「江月宗玩」(こうげつそうがん)という安土桃山時代の僧が、小堀遠州らと親しかったため、江月宗玩の在世中から草庵や茶室が作られ、小堀遠州が茶室を営んでいたとも言われている。特徴は密庵の墨跡をかけるために作られた4尺幅の床の間。僕は5年ほど前にこの茶室に入ることができたが、ここは最も入ることが最も難しい茶室と言われているのだ。
他の二つは特別公開などの時に拝観することができる、でもこの茶室だけはそう言う機会がほとんどない。僕は裏千家淡交会のお役をしているときに見学をさせていただいたが、それが最初で最後の機会だ。
ほかには、千利休が作ったとされる「待庵」と織田有楽斎が作ったとされる「如庵」があってこの3つで国宝とされている。
それでは、茶室を呼ぶときにどんなふうに呼べば良いのかについて考えていきたい。
皆さんが一番よく目にするのは8畳の茶室だろう。茶室を呼ぶときはまずその畳の広さを初めにいうのが特徴だ。この部屋は8枚の畳で構成されているから8畳という具合。4枚と半分の畳で構成されている部屋なら4畳半となる。半分の畳は半畳と呼ぶが、実は3/4の畳というものも使う。この畳のことを大目畳と言う。普通の暮らしの中では目にすることがない畳だが、茶室の場合は残りの1/4の部分に板を敷き込んで使ったりするちょっと変わった畳である。
茶室の畳は京間畳と言って、955ミリ✖️1910ミリある。ちなみに江戸間という僕たちが慣れ親しんだ畳は870ミリかける1740ミリなので結構違う。長手方向では17センチも変わるのだ。茶道のお点前をするときにはこの広さがとても重要で、特に僕のようにちょっと体が大きいと京間じゃないととても窮屈に感じてしまうのである。
続いて、炉の位置。茶室は炉の位置によって呼び名が変わる。客座が亭主の右側にくる炉の切り方を本勝手、左側なら逆勝手と言う。ちなみに点前座から見てお客様側を客付け、そして水屋側を勝手付けと呼ぶ。おしまいのときに勝手付けに一手でなどというのはこの方向のことだ。さらに、炉の切られる位置によっても呼び方が変わる。広間ぎりというのは畳の角を切る方法を指す。大目切りは、大目畳がある場合の切り方で、炉は大目畳の外側に切り、壁面から炉縁までは1尺5寸。そして最後が向こう切りだ。手前畳の前方壁面に沿って客付きに切った炉のことを言う。6尺の丸畳に切る場合と、向こう板を設けて大目畳としこれに炉を切る場合とがある。壁の隅に切った場合は隅炉だ。
そして最後は床の位置だ。床の間が亭主の前方にあれば上座床、亭主の後方にあれば下座床となる。写真のさいたま市の茶室の8畳の部屋の場合は、点前座から見て斜め後ろになるので下座床と言える。
このように畳の広さ、炉の切り方、そして床の間の位置がわかるとその茶室のことを呼ぶことができるようになる。この部屋の場合は8畳、本勝手、下座床という具合である。
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