言葉などなくとも良い。なんとなくその火を眺めているだけで、自然と心が通じるものだ

午前中、埼玉県春日部市にて新築住宅を検討中のIさん打ち合わせ。奥様のおばあさまがお住まいだった土地に立つ古家を解体して、建て直すという計画である。敷地は2mほどの崖に面していて、とても見晴らしが良い。隣の敷地の借景も良いという。なんだか楽しみな土地である。まずは敷地の調査から行うこととしよう。

建築の設計の初期の段階を基本設計という。基本設計の段階では法律関係や敷地形状、インフラ関係や道路状況などを調べたり、隣地の建物の状況や周辺の景色、樹木の有無など暮らしの中の環境に影響する物を見るようにしている。敷地の中に立ち、そこでの暮らしを思い浮かべると自然と壁が立ち上がってくる。そこに屋根をかけ、ふと視線が向く先の景色を切り取るとなんとなく家の形が思い浮かべられる。視線の向かう先には家の重心が置かれる。家の重心にはできれば薪ストーブがあると良い。家の中心にある火は家族をつなげる要素となる。言葉などなくとも良い。なんとなくその火を眺めているだけで、自然と心が通じるものだ。家はそういう場所であって欲しいと思うのである。

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