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M1 Macの上でIntel版Windowsを動かす

高速で静かなM1 Mac。少しずつネイティブに対応しているアプリも増えてきて、Intel版のMacから移行している人も多いようです。そんな中、Intel版のWindowsが使えないから、と移行を迷っている人もいる様子。

以前、以下のツイートをしました。今回はもう少し詳しく書いてみます。

Macの上でWindowsを動かすとは

これまでのIntel版のMacでは、Boot Campを使えば、macOSとは別の領域にWindowsをインストールすることで、起動時にどちらかを選択して起動できました。ただし、同時に両方を使うことはできません。

そこで、ParallelsやVMware Fusionなどの仮想環境が多く使われていました。この場合は、macOSが起動した状態で、仮想環境を動かし、その上でWindowsを実行します。速度は少し低下しますが、負荷の高い処理でなければ、実用上は問題ないレベルでWindowsを動かすことができます。

ただし、これらはいずれもMacのCPUがIntelであることが前提でした。2020年にAppleが発表したM1 Macでは、CPUのアーキテクチャが変わったため、上記の方法が使えなくなったのです。

Parallelsを使えばArm版のWindowsが動くようになっていますが、Windows Insider Programに登録する必要があります。今後、エミュレータのようにIntel版のWindowsをM1 Macで動かす方法が登場するかもしれませんが、時間がかかりそうです。

リモートデスクトップという選択肢

上記の代替案をして登場するのが、冒頭の私のツイートにもあるように、リモートデスクトップを使う方法です。リモートデスクトップとは、離れた場所で動いているデスクトップ環境にネットワーク経由で接続して使う方法です。

つまり、どこかにWindowsが動いている環境があれば、そこにリモートデスクトップで接続することで、手元のMacの中で動いているように見せかけられます。M1 Macに対応したリモートデスクトップアプリとして、Microsoft社が提供している「Microsoft Remote Desktop」があります。無料で使えるアプリで、ユニバーサルアプリなので、M1 Macでもキビキビ動きます。

ここで、Windowsをどこで動かすか、という問題があります。冒頭のツイートで書いたのは「Windows Virtual Desktop(現在はAzure Virtual Desktop)」を使う方法です。Microsoft社が提供するクラウドサービスであるAzureでは、リモートデスクトップのサービスも提供しています。

これを使えば、クラウド上にあるWindowsに接続して使用できます。さらに、先日には「Windows 365 Cloud PC」も発表されました。

この記事を書いている段階では料金など詳しいことは発表されていませんが、手軽にWindowsを使えるようになるかもしれません。

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2021/08/03追記
Microsoft社より金額が発表されました。
Windows 365 Businessの場合、「1 vCPU、2 GB RAM、64 GB ストレージ」の構成で月額3,260円(1ユーザー)から、という設定になっています。
(Windows ハイブリッド特典で月額2,720円〜)
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手元のWindowsパソコンを使う

クラウド上のWindowsを使えば手軽に使える一方で、基本的には従量課金になります。つまり、使えば使うほど費用がかかります。月に数時間の利用であれば数百円で利用できても、毎日使うような場合は高額になる可能性もあります。

また、ネットワークの通信量が気になる人もいるでしょう。ネットワークの速度が遅い場合は、レスポンスが遅くなる可能性もあります。そもそもインターネットにつながっていない場合は使えません。

そこで、手元にあるWindowsパソコンを使う方法が考えられます。自宅にWindowsパソコンがあれば、そこにネットワーク経由で接続すれば良いのです。あとは上記と同じくリモートデスクトップで使用できます。

手元にあるパソコンなので、どれだけ使っても費用は変わりません。インターネットにつながっている必要もありません。問題は、これでは持ち歩きできないと感じることでしょう。

せっかく軽量なMacBookなのに、Windowsのノートパソコンをもう一台持ち歩く、となると大変です。Windowsがデスクトップパソコンであれば、持ち運ぶことは現実的ではないでしょう。

超小型PCという選択肢

そこで登場するのが、超小型PCという選択肢です。少し前にスティックPCが話題になりましたが、現在は超小型のPCが登場しています。

性能をあまり気にしなければ、USBメモリのような形をしたスティックPCでも、負荷が高い処理をしなければ実用上は問題ないものです。

私の場合は、写真のような小型PCを使っています。ファンレスなので音は無音ですし、サイズはMacBookのトラックパッドくらいの大きさで、重さも200gくらいです。これならMacBookの上に載せて使えますし、リモートデスクトップで使うのでキーボードもマウスも不要です(初期設定に使うのみ)。

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有線LANのポートがある機種なので、LANケーブルでMacBookのUSB-Cの変換アダプタと接続し、MacBookのインターネット共有によりWi-Fi経由でインターネットに接続することもできます。

この記事のタイトルのように、「M1 Macの上でIntel版Windowsを動かす」ことができているのです(物理的に「上」で動かす)。

一つの選択肢として試してみるのもよいのではないでしょうか?

#夏の自由研究

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