【滝と小島の踊り食い】感想


滝と小島の踊り食い第0回

"資本主義とプール"という題名がまずピンとこない。

一体どんな話なのかと、期待と疑問の心で聞いてみる。

一通り聞いて私が率直に感じたことは、

「いや、普通に生活していて、そんな思考になることってある?」

ということである。


滝さんは温水プールで監視員のバイトをしていて、そこで子ども達が遊ぶイベントが開催された時の事を話している。

その中の遊びのひとつ、水中に浮かぶボールを的に当てるゲームをする子供達と、その親達の関わり方から、滝さんはそれは資本主義の成り立ちと一緒だと思ったと言う。

子供達が的にボールを当てる中、親は自分の子供がボールを取りやすいよう、水中に浮かぶボールを囲い始め、そこから取れるようにしたと。それを見た他の親も、自分の子供のためと思い、真似をして囲い、自由なボールがどんどん無くなっていったと。そしてそれは、愛、子供のために良かれと思って始まったことだと。

私のこんな説明を読むよりも先に、実際にラジオを聞いてみた方が100倍面白いんだけど。

その場の状況をリスナーにも想像しやすくしてくれる滝さんの話し方のおかげで、
へえー、確かに。資本主義と同じことかもと、すんなり体に入ってきそうになったが、
自然とその出来事と資本主義が繋がる人など、あまりいないのではないだろうか。
大体の人は、その光景を見た時、「この親達、自分の子が可愛いんだな」「親が一緒に来てない子達、ボール取りづらくて可哀想だな」など、何でも良いが、その"出来事の感想"で終わるのではないかと思う。その場の状況を、へー、と流すのではなく、疑問を感じたら、そのままにしないでその違和感の原因を探っている。

滝さんは普段から、ひとつの出来事に対して解釈し、考え、他の出来事と連動させる人なのだろう。
それは、生きていく上でとても大切な事で、賢い事だと思う。

それに対して、小島さんはどんな反応をするのかというと、親がボールを囲ったことによって起きる周りの反応はどうなのか、投げたボールはその先どこにいくのか、一旦所有権が無くなったボールはどうなるのか、などの質問をし、話を広げていく。

小島さんも小島さんで、許容力、柔軟性の高い人だなと感じた。反応が早い。この話を聞いてすぐに質問が出てくるのが面白いなと思った。ラジオだからというわけでもなさそうで、自然だった。この話題って、数人に話したら半分の人は、そうなんだ、なるほど、で終わってしまう話でもあると思う。小島さんも、へー、で終わらせない人なのかな。日々、身の回りの人や、起きる出来事に対して疑問や考えを持っていないとできることではないと思う。

滝さんは、その出来事に対し、親が子供にしがみついているように見える、囲っている親は優越感に浸っているように見えたなど、マイナスな印象を受けているようだった。たしかに親バカだし、私は負けず嫌いな子供だったから、親にそんなことをされたら腹が立って仕方がないと思う。「わたし1人でもボール取れるし!!いいからお父さんは見といて!!」と。
時代のせいにしたい訳ではないけれど、そういう子供ってだんだん少なくなっているんじゃないかな。親に助けてもらえる分量が多すぎる気がするし、それが当たり前になっているのではないかと思う。負けを知らない。そもそも、周りの子供の事を考えないで、自分の子供が楽しければ良いと思っている親がほとんどというのが信じられないけど。でも、自分よりも年上の親達がそういう行動をとってしまっているんだから、自分が親になった時もそうしちゃうのかな、なんて思ったり。

そして2人の会話中に、「東京って感じがする」という言葉があった。
それは東京に住んでいる東京の人じゃない人から出る言葉そのもので笑ってしまった。
私もそうだが、上京してから、生活している上で"東京っぽいな"と感じる事は度々ある。お店に入った時の店員のマニュアル的対応、高圧的な態度、満員電車に乗り込む時のとりあえず自分だけ乗れたらいいや感、道を歩く時に人を避けない、など言い出したらキリがないが、そう思うと、自分勝手だったり、人のことを考えない行動を目の当たりにしたときに、"東京っぽい"と感じている。そもそも東京には良い印象を持たずに上京したんだろう。それでも東京に住んでいるのは何でか、少しそんな東京に期待しているからなのかな。知らんけど。

そして話は、資本主義以外の経済はないのか、全員が楽しめるようにするにはどうすれば良いか、という話に進んでいく。

自分のボールを持ってくる、滑り台などの他のエリアを充実させる、あらかじめボールを何個と決めて分け与える、などの意見が出ていた。

自分のボールを持ってきても後から何か問題が出てくる気がする、無くしたとか、他の子に取られたとか。他のエリアを充実させるにしても、人気なところに人が集まるだろうからすぐ結果出すのは難しそうだな、
あらかじめ分け与える説が1番みんな平等かな、と思ったけど、絶対ルール守らない奴が出てくるよね〜、、
難しいな、親がそのゾーンに入れないようにするのはダメなのかな、周りで見学させとく。子供達同士でもし喧嘩とかになってもそれはそれで経験にすればいいし。

とか色々、私も一緒になって考えちゃいましたけど、「プールの一場面から、派生させて考えすぎじゃない??」
と思って、一旦考えるのをやめた(笑)
プール側がそれで良いと思っているならそれで良いし、裏でボールをかき集めている子も、親に与えてもらっている子も、みんな楽しいと思っているならそれでいいじゃん。

区切ったことによって資本主義的な世界が見えて、成り立ちを感じたという滝さんの話は、たしかに理解できた。けど、その出来事からそこに繋がる思考は理解できない(笑)頭の中どうなってるんだろう。その話に興味を持って会話できている小島さんもそう。2人の頭の中を覗いてみたい。自分の普段考えてることって本当にちっぽけだなぁと思った。

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