少女漫画と聖書


こんにちは、斗(マス)です。

とある有名な長編少女漫画の完結を読み終えるのも、21回目を迎えた。

毎回同じシーンで胸を踊らせ、涙を流し、目を背け、こんなに繰り返し読んでいるのに何も変わらずに読了している自分にドン引きしたりする。至って私はワンパターンだ。

「尊い」という単語を学び、この感情を言語化できたりだとか、

大好きなキャラクターの名前が人名用漢字ではないことに気づき、法務省にブチ切れたりだとか、

そういった時の流れはあるものの、基本スタンスは全く同じだ。

そんな漫画が、果たして【バイブル】かと言われれば少し首を傾げる。

【バイブル】とは、直訳すれば【聖書】という意味だけれど、愛読書かと言われれば、感情の振り幅で呼吸が乱れるからこそ、ハードルが低い訳でもないし、

座右の書、かと言われれば、私の人生にとってそんなに大層なものでもない。

ふと考えてみた。私の【バイブル】ってなんだろう?

同年代や、そんじょそこらの年上の方よりかは本を読んできた自負はある。

実家の、自室の四面にある本棚は上から下までパンパンだし、人生で1番投資した趣味は読書とも言える。

お年玉やお小遣いを貰って直ぐに全額以上を書店で溶かすような学生時代を10年間送ってきた私の【バイブル】って一体、

小学校3年次から卒業まで、毎日毎日2冊ずつ本を借りていた。1日2冊読み続けては返し新しくまた2冊借りてくる姿に、中学受験に力を入れていた母は初めて私に「本を読むな」と言った。

泣いて喚いて、なんとか食い止められたけれど、通い続けた図書室の、小学校6年生で1番最後に借りた2冊の本は今でも覚えている。

はやみねかおるさん『卒業』

アレックス・ロビラ/フェルナンド・トリアス・デ・ベス・共著 田内志文・訳 『Good Luck』

1冊目は簡単だ。はやみねかおるさんが大好きで、その中でも夢水清志郎が大好きだったからだ。

人が死ぬミステリーを嘔吐くほど読んできた私にとって、【人が死なずに】成立するミステリーとの出会いは、文字通り目からウロコがこぼれ落ちるほど画期的だった。

【卒業】するから『卒業』を読むなんて、あまりに単純だろうか?


2冊目は、何が好きだったかはわからない。読み始めたきっかけだって、持ち物全てがクローバーの柄なのでは、というくらい四つ葉のクローバーが大好きだったからかもしれない。表紙の緑に惹かれたのかもしれない。それほどまでに多分小さなきっかけ。

だけれど、あの本から確実に【何か】を学んだ。言葉に、文字に、文章にするのはなんだか安っぽくなってしまうようで嫌なのだけれど、『運を掴み取るには下準備から』という私の根幹を作り上げた1冊には間違いない。

それから私は、何となく植物や水や太陽にも感情があるように思えるし(アブナイ子ではない)、

どこかでサボっていたら誰かがずっと見てるんじゃないか、なんてかんがえてしまう。

こうしてすっかり真面目な優等生が出来上がったのだ。チャンチャン。

ああ、早く本が読みたいな。貪るように読み狂った小学生時代に戻りたい。タイムマシンでも落ちてこないかな、と自分の運に託してみたりする。




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