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捨てられない理由「まだ使えるのにもったいない」と考える

ものが少ない時代に生まれ育った方は、「まだ使えるのにもったいない」、この意識が強いと思います。

「ものを大切にしなさい」と、節制節約の精神が根づいているのですね。

これは意外と根が深くてですね、親子代々遺伝する傾向もあります。

「先生、捨てられない。どうしよう。助けて!」

と65歳になるA子さんから、切羽詰まった相談をされたことがあります。

詳しく話を聞いてみると、A子さんのお母さんは、戦後のものが少ない貧しい時代を生きた人で、「もったいない、まだ使える」が口癖。
とにかくなんでもとっておく主義の人だったそうです。

あるとき、故障して使わなくなって5年ほど経っているストーブを、こっそり、A子さんが捨てたそうですが、次の日には、元の場所に戻っていたそうです。

夜、お母さんがゴミ置場から引きずって、持ってきたのです。

そのくらいものに執着した母親が他界して、子たちに残したのは、”ゴミ屋敷”という遺産でした。

A子さんは2人の兄弟とともに、ガラクタの処分をしたそうですが、お金と時間と労力、そして、何よりも精神的な負担で、当時は、お母さんを恨んだといいます。

そして自分は、絶対に母親のように子どもたちに迷惑をかけないで旅立つと、強く誓ったそうです。

それから数十年経って、A子さんは、愕然とします。

お母さんのようにならないと誓ったのに、母親と同じ年代になってみると、同じように、ものであふれかえった部屋になっていたそうです。

捨てようと思っても、もったいない気持ちが強くて捨てられないといいます。

その後、A子さんは、そうじ力の実戦で捨てられる人に変わり、若返り現象を起こしたひとりとなりますが、捨てられない母親の姿を見て、ご自身も大変苦労して、そうならないように決意していたにもかかわらず、「まだ使える、もったいない」の精神を受け継いでしまっていたのですね。

「もったいない」は、ものを大切にする、最後まで使いきる、倹約の精神として、一見正しいように思えます。
でも、それは使ってこそです。

「もったいないから、とりあえずとっておこう」は、「いつか」使うものに変化していきます。

「もったいない」の語源は、もともと、仏教からきています。

物体(もったい)がない、すべてのものは時間とともに姿形がなくなるものである、だから、ものに執着することは、苦しみをつくることになるから、とらわれてはならない、という教えからきているのです。

度が過ぎるとゴミ屋敷をつくることになり、「もったいないお化け」になるかもしれませんね。

『捨てるほど若返る!人生の「そうじ力」』P.89

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