明日 ①
これを読んでるあんたが明日も生きてることを願っている。
世界は一変した。
未知のウイルスによって地球上の生き物は大きく別のもになろうとしている。
きっかけは何だったのだろうか。
今ではもう分からない。
遠い国の氷が溶けて、その中に保存されていた太古のウイルスが雨にのってやってきた。
そして、それは地上を覆うウイルスの雨となった。
というのが今のところ通説ではあるけど、誰も正解なんか分からない。
調べようにも有識者も政治家も、それどころか町中の人々がいるのかさえももう分からない。
ウイルスの名は 「Z」
誰がつけたかは分からない。
なんせさっきも言った通り人なんて滅多に見ないからね。
このウイルスは感染と発症に時間がかかる。一気に発症することはなく、
またかかっても死ぬわけではない。
精神が、肉体が少し変わってしまう。
ただ、食欲が全てを支配してそれ以外の感情も欲も疲れも痛みも感じなくなってしまう。
肉体は、というと食べ物が同種のみとなってしまう。
それ以外は消化もできなければ空腹も満たせない。
ただ生命を維持する力だけは強く維持能力と食欲のみで構成されてしゃべることや複雑な運動はできなくなってしまう。
大体イメージがつくと思う。
SFなんかで1度は見たことがあるだろうゾンビだ。
世の中みんなゾンビみたいになってしまった。
と来れば、僕はサバイバル生活に明け暮れてると思う人も多いだろう。
意外とそういうわけでもない。
身体を護ってマスクしてその辺の店を物色し戸締まりをして寝る。
そうやって毎日を過ごしている。現状打破は特に考えていない。
ウイルスとは言えこれはもう人体を変えてしまっているから不可逆的で以前の生き物に戻ることはできないというのが通説だ。
だから別に改善はしない。
こんな世界でも良いこともある。このウイルスはその感染対象の習慣を破壊しない。つまり、元サラリーマンは平日になれば電車に乗って会社に向かうし、その辺のマダムは家事をしたり、話をしたりしながら1日を終える。
ただ言語がなく行動の目的もないため移動のみをしている。そして、空腹になれば、感染者、非感染者関わらず殺し合い食べるだけだ。
また、生き物全てに感染する可能性があるため人だけではなく、その辺の犬にも猫にも蟻にも感染して身体を再構築していく。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?