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時々、秋の雨を浴びたくなる『幻影の風花』


十七の頃、僕はセミナーに勧誘された
そこで何を得たわけでもないが
大人たちはみんな優しかった
僕にとって、それだけだった

もっと人を信じれればよかった
正確に言えば他人を好きになれる
利他の精神ってやつを
兼ね備えるべきだったんだ

だけど長い雨に打たれた僕は
いつの間にか人間不信になって
全てのものを懐疑的に見て
挙げ句の果てに全否定する男になった

ああ、ひどいひどい、ほんとにひどい
物の怪すらも驚愕する男

十七の頃、僕は上の舞台を見た
ロシア文学を題材にしているコメディで
とても面白かったことだけ覚えてる
あの俳優さん、今も元気かな?

もっと人を愛せればよかった
正直に言えば他人に心を開ける
オープンマインドってやつを
抱えているべきなんだろう

だけど長い雨と歌った僕は
いつの間にか人間不信になって
全てのものを斜に構えて見て
救いようもない我が儘な男になった

ああ、失意失意、ほんとに湿っぽい
東京すら霞んでしまう男

時々、秋の雨を浴びたくなる
そしたら綺麗になれるのかしら?
いやいや、もはや性根が腐ってるから
無駄無駄、なのはわかっているけど

秋の雨を浴びたら、冬の雪を食べれるかな?
どうだか、それは神も仏も知らぬだろうが
せめてもう少しだけまともでありたかったよ
二十七になる僕は、どんな顔をしている?

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