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雨降る夜の甘い飴 『alternative world』


しとしとと降る雨 止むことはなく
僕と君二人で 部屋の片隅にいる
何をするわけじゃなく 無言で雨音聞いて
ゆっくりと過ごすんだ 甘い飴口に入れ

こんなとき「好き」と言えたらいいのに
でも僕はちょいと恥ずかしがり屋で
口の中の飴は甘酸っぱく
君はベッドに転がった

雨音がだんだんと 激しくなっていく
僕と君はまだ 激しさを知らない
罪深き欲望 そんなものとは無縁で
穏やかに過ごしたい 飴はまだ口の中

こんなとき 君を抱きしめてあげたい
でも僕にはそんなことはできない
口の中の飴は小さくなって
君はベッドの上で退屈そうだ

恋愛を語る作品は数多とある
大概のフィクションは行為をする
男女の関係なんてそんなものだと言うように
僕は興醒めして 口の中の飴を転がす

こんなとき 普通はラブソングを聴くのかな
安易なチョイスは滑稽かな
口の中の飴はなくなりそうだ
君は部屋から出ていってしまった

降り続く雨の音 無くなった口の中の飴
何をするわけでもなく 僕は寂しく窓の外を眺める

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