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幻影の風花



気がついたときには 
すでに降っていた
秋の空から 白い風花
ああ 世も末かな
呆気なく梟が死んで
婆さんが呟いた言葉を思い出す

「我々人間の価値を破壊するためだ。
それから、創生が始まる。
あの月が望む
新時代の在り方に沿って」

僕らはたまたまそれに立ち会う
希望もしないが それが運命
あらゆる物事が整理されていく
そして更地とされていく
やがて一つの新芽が生えるとき
新時代の創生を目撃できるのだろう

それにしても こんなに寒いのか
僕らが生きるべき世界は
もっと温かさが欲しいと願うが
風花は止む気配を見せない
むしろこれからが本番だと言うように
僕らの世界を白く染める

烙印を押された人間が元気になり
栄光を掴んだ人間が死んでいく
その瞬間を 僕は傍観する
終わりも始まりも この目に焼き付ける
もはや明日を生きることが奇跡だと
しっかり胸に刻みながら

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