短編小説 『沙代莉のラジオ』 8
安藤光と小林沙代莉は、高校時代に運命的な出会いをした三ヶ月後に付き合い始めた。僕が知る限り二人の関係は良好で、仲睦まじいカップルとは二人のことをを指すのだと本気で感じ、多少羨望する気持ちさえあった。
しかし、二人の中はジェンガの如く突然、いや、もしかすると僕が知らないどこかで傾き、揺らいでいたかもしれないが、沙代莉が妊娠したことで終わりを告げた。
沙代莉は高校三年の夏に妊娠した。同じ学年の生徒は受験勉強に本腰を入れるタイミングで、青春真っ盛りだった子供から、大人の階