#連続小説【アオハル】〜第七章・地獄のバンク 1 〜
俺達チャリ部の練習は、週6で行っていた。月曜日が休養日となっているのだが、それは土日の練習は地獄の合宿が組まれていたからである。
「5限目は明日のバンク合宿の準備に入る。とりあえず飯食っとけよ!」
「バンクってなんすか?」
俺は聴き慣れない言葉に頭の中はハテナがいっぱいだ。
「バンクってのはアレの事。競輪場で競輪選手がレースを行う競争路のことだ。茶碗の中を自転車で走るようなイメージだな。」
竹之内さんは部室の壁に飾ってある写真を指差してそう答えた。俺、健太、義和は同じような感想を持っていたと思う。
(茶碗の中を走る...?全く想像できん...?)
まぁ感想を口にするなんて野暮な事はしないのだが。とにかく百聞は一見に如かず。当日になればわかる話である。
「おし!まずはピストのポジション調整するぞ。ロード持ってこい。」
『うっす!!!』
「基本ロードもピストもにサイズは同じ物を使うようにするんだが、ピストフレームは全部お下がりの物ばかりだ。全く同じとはいかないからな!」
自転車競技はハッキリ言って金が凄まじく掛かる。気軽に始められるような競技ではない。だから壊れてなければ貰うようにするのは当然で、ワガママは言ってられない。
「お前ら三人は、それなりにデカいからフレームには困らないとは思う。プロ選手はデカい人の方が多いからな。親に感謝しろよ!」
『うす!!!』
「義和のサイズだと...このPanasonicのフレームがベストだな。健太はこっちのブリジストンだろうな。鬼木は三連勝のフレームだな。」
『あざっっっっす!!!』
「まずは組んでくぞ!試合でも調整は自分でやらないとダメだしな。それに自分の事は自分が良く知る事になっていくだろうからよ。俺の真似をしながらやってみろ。」
『はい!!!』
ピストの組み方だが、大まかに言えば、ハンドルとシートを取り付けたら、ひっくり返して車輪を取り付けると言った順番だ。細かい所だと、ボルトを締める順番。チェーンの張り具合やカット。ハンドル、シート、ホイールのセンター調整。スポーク調整などがある。慣れない俺たちは5時限目の鐘が鳴っても終わる事はできなかった。ただ、作成してるモノが完成していってる実感は相当嬉しいものだった。
トライアンドエラーってヤツかな(笑)
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