人と拠点と出会いをつなぐブログシリーズその⑤ 「噺館(はなしごや)」
6月になりそろそろ衣替えしないとなーと思いつつ急に寒くなったりするのでまだいいかーなんて思う今日この頃ですが、地域の面白い拠点と出会いを繋ぐブログシリーズ第5弾取材に行ってきました。前回は山形市にあるミンタロハットさんへインタビューしてきましたが、今回はオーナーの佐藤さんから繋いでいただいた山辺町にある噺館(はなしごや)へお伺いしてきました。
ーはじめまして、ミンタロハットの佐藤さんの紹介でお伺いさせていただきました、ハトです。
はじめまして、峰田です。私は、「ホールと宿泊が一緒になった大人の遊び館(こや)」というコンセプトで、“生の芸術・芸能を楽しむ50人ホール”と“一日一組だけのゲストハウス”を構想し、昨年11月にオープンしました。佐藤さんには、噺館オープンの前に何度かお伺いして、ゲストハウスの仕事について教えてもらいました。いわば佐藤さんは、私の師匠です。
ー最近は中々遠くにも出歩きにくいので、地域で草の根的に拠点づくりの活動している方とつながりたくてインタビューしてるんです。よろしくお願いします。
まだまだ駆け出しですが、私でよければ是非どうぞ。
にこやかにインタビューにお答えいただく峰田さん
ーお名前を教えてください
峰田 順一です。
ーご出身はどちらですか
山辺町出身、大学で外へ出て卒業後戻ってきてからはずっと山辺ですね。
ー現在おいくつですか
64歳ですね。
―噺館をはじめたきっかけ
大学生の時に都内に出ており落語研究会に入っていたのですが、大学を卒業し山形に戻ってきたときに、生の落語を聴く機会が全くなくなって寂しかったんです。東京へ毎回行くのも大変なので、こちらに落語家さんを呼べないかなと思っていました。
山辺町に帰ってきてずっと町職員として仕事していたのですが、教育委員会社会教育係に配属された折に、地域の人と一緒に企画してやっていく「Taiken堂」を立ち上げまして、その中に年1回落語を取り入れていくようになりました。
やってみたところ落語は好評で年に1回じゃ物足りないなんてお話しが出てきて、Taiken堂から派生する形で「山辺どんぶり亭」という落語会を立ち上げました。ただ続けていくうちに取り組みが大きくなり、山形のホールとかでしかできなくなってしまって、段取りや調整に追われてしまって中々自分が楽しめなくなっていることに気づきました。そこで、最初にどんぶり亭を立ち上げた時のようにこじんまりとした空間の中で楽しめる空間を作りたい、と思ったのが噺館を始めたきっかけですね。
30年続くやまのべTaiken堂 現在は感染症対策のため休止中
山辺どんぶり亭は引き続き活動中だけれど、
こちらは山形市の方がメイン会場に
―退職を機に取り組みを始めたのですか?
そうですね、町役場の定年退職を機にやろうと考えていたのですが、退職後もあれこれと仕事をしたりしていて、中々踏み切れずにいました。そんな中ようやく昨年の3月に着工して11月にオープンしました。ただちょうどコロナの感染拡大も重なって、中々思い通りには行けていないですね。
―落語に興味を持ったきっかけは
高校は男子校だったので女子がいるサークルに入りたいなーとか考えていました。都内の大学に入ってキャンパスを歩いていて、そんな折新入生勧誘につかまって、英語関係のサークルかと思って行ってみたら、落語研究会で。当時落語なんか全然興味もなかったのですが・・・(笑)
それでご飯おごってもらったりしているうちに仲良くなっちゃってそのまま落語の世界にどっぷりつかりました。当時は私も落語をやったりしていました。
―山形南高校なんですね、(ミンタロハットの佐藤さんと筆者も同じ)
そうですね(笑)
―ちなみに女子とは出会えたんですか
落語研究会にも女の子がいたんですが、少数でした。思い描いてたキャンパスライフとは違ってたかもしれませんね(笑)
ー奥様とはどんな話で始めたんですか?
こんなことをやってみたいんだけどと話した時は、いい年してとんでもないと大反対されましたね。・・・・・。妻は落語には興味がないので、・・・。
ー噺館のコミュニティについて
噺館にもどんぶり亭で一緒に活動してきた仲間が集まってくれます。どんぶり亭は20年以上やっていたので、色んな分野で活躍する方がおり、その繋がりが今の取り組みにつながっていますね。このご時世で、のっけから落語会の開催はできずに、これまでコンサートや映画の上映会を定期的に実施してきました。訪れてくれる方もその時々やる企画によって違って色々ですね。終わった後お酒でも飲んで楽しく密な交流をしたかったのですが、この場を通じたコミュニティが出来てくるのはコロナもあってまだまだこれからですね。でも、ようやく5月から念願の“噺館寄席”をはじめることができました。
外と直接つながる開放的な1階ホール
コンパクトで素敵なステージ
バーカウンターもある会場、密な交流が出来そうな落ち着く空間
米沢市在住のペーパークラフト作家・中村隆行さんの作品も展示
拠点情報 噺館(はなしごや)
ー予約はどこからできますか
HPの申し込みページ、またはお電話でお願いします。最近は昨年クラウドファンディングをやっていった時に応援してくれた方が泊まりに来てくれたりしてますね。
宿泊拠点情報
噺館の公式HP
―噺館の名前の由来
まずは噺という字については落語の「噺」ですが、この字はくちへんに新しいと書きます。この字のごとく、文化の発信をイメージしてネーミングしております。また館についてはやかたですが、そんな大きな建物ではないので、館を「こや」と読ませるようにしました。
―こんな方に来てほしいなど
特にこんな方にというのはないのですが、最近泊った方からテレワークとかワーケーションなんてのが流行っているので、ここでじっくり仕事や創作活動をする方なんかピッタリではなんて話をいただいています。
ー噺館の土地について
元々は神社だった土地ですが、継ぐ人がおらず建屋自体を解体して町へ寄贈された土地でした。一昨年に、この土地が一般競争入札にかけられたので購入しました。そこから噺館のプロジェクトが始まります。実は私の自宅がすぐ後ろで、近くで昔から遊んだりしていました。以前から地域に人が集まれるような場所を作りたいという思いがあって、今の取り組みにつながっています。
ー見どころはなんですか?
景色がいい、開放的な、プライベートな空間を楽しめる。設計については山形で建築家として活動している高校の後輩に頼みました。
ーどんなこだわりがあるんですか?
自然の素材をふんだんに使っています。壁も土壁ですし、庭石は元々の神社に敷いてあったものだったり、随所にこだわりの仕掛けがあります。是非そんなところも楽しんでいただきたいです。年を経るごとに味が出る施設となっていって欲しいとそんな願いを込めて設計いただきました。かなり綿密に打ち合わせしながら設計してもらったので、思い入れがとてもありますね。
ー2泊3日で泊まったらどんな体験できますか?
ゆっくり来ていただくと山辺のいい所をご紹介できます。オリエンタルカーペットさんの見学、城跡巡り、山間部で湧き水が豊富な所があって巡ったり、棚田めぐり等、大きな観光施設はないけれど、良い所がたくさんあるので、希望があればゆっくりしたい方にも魅力を感じてもらいたいですね。クラウドファンディングの際には街歩き券というのも作りました。近くには温泉なんかもあります。食事は、お寿司屋さん、人気のあるお惣菜やさん、ラーメンそばの出前等、ご希望に応じて、ゆくゆくは地元の方に地元の料理を作って出してもらいたいなんてことも考えています。
一日一組限定のラグジュアリーなお部屋
ぴかぴかのお風呂とトイレ
窓からは山辺の町を望めます。外でお酒飲んだりも気持ちよさそう。
庭の敷石も神社の跡に残っていたものをそのまま活用
噺館へ続く道は、境内へ続いていた石段をそのまま活用
オススメいただいた惣菜屋さん「ヤマキチ」のお弁当 864円、手作りのおかずが嬉しい。
山辺町ぶらり街歩きコース
インタビュー
ーこれからやっていきたい事はありますか?
なかなか50人規模のホールというのは少ないので、ここならではの取り組みをつくっていきたいですね。出演者の息遣いも感じられるような身近な距離で、落語を中心に様々な文化や芸能に触れ、多くの方と感動を共有していきたいです。その他にも、ここ噺館はいろいろな可能性を持っていると思っており、地域資源と結びついて様々な取り組みをしていきたいと思っています。現状では、コロナで止まってしまったところもあり、まだまだ実現できていないので、これからですかね。状況を見据え、少しずつ少しずつ前へ進んでいければと思います。
ー人生において一番大事だと思う事はありますか?
繋がりですかねぇ、やっぱり。会った人すべてと繋がり続けるかは分かりませんが出会いは大切にしていきたいですね。
ー最近会ってみたい人はいますか?
会いたい人と会うためにどんぶり亭を始めたという事もあり、色んな噺家の方と出会う事が出来ています。これからもやっぱり色んな人の落語を聞きたい。
―地域の人の関わりについて
まだまだ活動が少なく認知してもらえていないのが現状です。周りが住宅が多いこともあり地域の方と交流は徐々に増やしていきたいですね。先日の地域で特技のある方から登場してもらった「似顔絵パフォーマンス」、地域の方から大変喜ばれました。近くに中央公民館もあり、普段から文化活動も活発なので、様々な面で連携してやっていけないかなーなんて考えています。ちょっとこれまでにない形の拠点なので近隣の方の理解は得ていく必要があると感じています。
ー好きな落語のネタについて
落語には、滑稽噺や人情噺がいっぱいあって、好きなネタを一つというのは難しいですが、あまりのばかばかしさに大笑いしたり、人情にほろりとする落語が大好きです。
ー地域活性化について思う事があれば教えてください
自分達がそこで楽しんでやっている事がまず一番かなと思います。盛り上げるためにこれをやろうというのはあんまりないかもしれません。ただこんなことがあったら楽しいよねという事で自分達が楽しむ世界を広げていく事で最終的には地域の盛り上がりにつながるのではと考えています。
―少し個人的な興味ですが… 町職員として社会教育分野の活動をされてきて「学び」についてお考えがあれば教えてください。
主にTaiken堂の活動ですが、色んな知見に触れる事によって一人一人の人生が豊かになると思って始めました。Taiken堂第1回のテーマは、『「学ぶ人になろう。」~自分が好きな人が常に学んでいる人だと、なんだかうれしいのです。学ぶことはお菓子を食べるみたいに簡単ではないけれど、寒い日にランニングするみたいに辛抱もいるけれど、とても楽しいこと。さあ、あなたも学ぶ人になって下さい。』でした。井の中の蛙大海を知らずとはいいますが、やっぱり外の世界を見てみたいという気持ちはあると思います。
Taiken堂をはじめた時のコンセプトは「知らない世界を見てみよう」という事でした。専門的に何かを突き詰めている人から、その専門的なお話しをしてくださいという事で先生をお呼びしていました。こちらも大きくなりすぎて、もっとこじんまりした雰囲気でという思いが、「噺館」の取り組みにつながったのかもしれませんね。
ー世の中もっとハッピーになりそうなアイディアがあれば教えてください
コロナ感染の影響により、何回も延期を繰り返してきたどんぶり亭の落語会が、最近ようやく1年ぶりに開催することができました。アンケートを見てみると「待ち焦がれてました」とか「笑いというのがなくなっている現状でとても大切な時間でした」等の声があって私も大変励まされました。今は中々制限がありますが、落語の肝はやっぱり「笑い」なので、今のような状況の中で、笑いがよりもとめられてきているのかなーと思っている所です。オンラインとかでもできることは多いのかもしれませんが、その場・その時だけの生ライブを大事にしていきたいですね。
―地方創生という言葉何か考えがあればおしえてください
特に地方創生ということについて考えがあるわけではないけれど、地域それぞれにオリジナルな独自の取り組みがあって、あそこはあれがあるよね、こっちにはこれがあるよね、なんて魅力的な地域が増えていくのはいいななんて思います。地域にあるオリジナルなものを研ぎ澄まし、それを発信していくことが、地方創生につながっていくのではないでしょうか。
ーシリーズで取材していきたいのですが、近くで面白いゲストハウスや拠点はありますか?
私自身は元々ゲストハウスというより落語という興味で動いてきたので、そういう繋がりは少ないのですが・・・、ここをやるにあたって創業支援の方等から紹介されたのが「Agasuke House」さんや「ミンタロハット」さんでした。あと行ったことはないのですが白鷹町の「蔟」さんなんかはチラシを見て素敵だなと思ってみていました。
ーまとめ
という事で今回は噺館(はなしごや)さんへ取材させていただきました。まだまだ本格始動できずにいて中々もどかしい気持ちを感じましたが、これから少しずつ取り組みができるようになってくると、地域のみなさんに愛される拠点になっていくんじゃないかなと思うところでした。万人に向けられたエンターテイメントより、やっぱり誰かが誰かのために作る最高に楽しい世界のほうが魅力的だなーなんて改めて考えます。
次回もまた繋がりをたどって書いてみます。最後まで読んでいただきありがとうございます。
噺館(はなしごや)
TEL:080-1815-0188
E-mail:mineta@hanashigoya.com
公式HP↓
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筆者の情報はこちら
メール:t.cok.hasegawa@gmail.com
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