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売上が上がっているのに儲からないD2C(通販)になるのはなぜか?

「数字が読めると本当に儲かるんですか?」を読みました

古屋さん著の「数字が読めると本当に儲かるんですか?」を読みました。
自社の通販事業における現状をしっかりと把握するために、改めて会社の数字について学ぼうと思い、この本を読みました。

このnoteで伝えたいこと

このnoteで伝えたいことは下記の通りです。

・会社の数字の基本的な読み方
・『売上=儲かる』ではないということ
・儲けるためには、限界利益を最大化することが大切であること
・限界利益を最大化するためのポイント
・通販事業で見るべき『数字』について

このnoteを読むことによって、自社の会社の数字をしっかりと把握できる、そして現状の数値から『儲かる会社』にするための戦略立案などに活かしていただければと思っています。

このnoteを読むことで得られること

このnoteを読むことで、下記の内容が得られます。
・儲かるために必要な『限界利益』について理解できる
・儲かる会社にするためのポイントが掴める
・通販事業を運用していく上での見るべき『数字』について理解できる

こんな通販企業は多いはず

「どうすれば儲かる会社になるのかわからない」
「売上が上がっているのになんで儲からないのか・・・?」
「集客に力を入れれば、会社は儲かる」
「もっと会社に利益を残したい!」

それは「売上を上げることで会社が儲かる」と思っていることが理由かもしれません。
ただ、実際のところそこには『落とし穴』があり、儲かるため(目的)には、どんなことを考えてどのような指標を見るべきかを考えなければなりません。
このnoteではその『何を考え』『何をみるべきか』をご紹介してきたいと思っています。

儲かるためには『限界利益』を最大化すること

ここで言う、『儲かる』とは
会社を持続するために手元にお金を残すと定義します。

ズバリ、儲かるためには『限界利益』を最大化することが大切です。
具体的に『限界利益』とは、何を指しているかを説明していきます。

限界利益とは何か?

限界利益とは、売上から変動費を引いた金額を指します。

■変動費
売上が上がることと比例してかかる費用のこと
(例:商品原価、送料、決済手数料 etc)

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費用には『2種類』あり(①固定費 ②変動費)、固定費は事業を運営する上で固定で発生する費用。したがって、利益を最大化するためには、『限界利益を最大化』して、コスト回収を早めると言うことが大切になります。

その他の見るべき項目の紹介

私は、通販事業を運営しており、こちらの本に記載している内容を少しカスタマイズして管理しています。参考にその他のみるべき項目についてご紹介します。

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(1)売上純利益:売上ー商品原価
(2)純粗利:売上ー注文連動費
(3)販売利益:純粗利ー販促費(主に広告費)
*(1)〜(3)のコストを売上から差し引いたもの『限界利益』としています
(4)ABC利益:販売利益ー固定費(人件費etc)
(5)営業利益:ABC利益ー運営費(家賃や間接業務の人件費etc)
*(4)(5)は北の達人/木下さんの本を参考にして取り入れました

売上が上がっても儲からないのは何故か?(メカニズムの紹介)

自社の通販事業や支援先の通販事業を見ていると、こんなことが事象として発生します。

「売上は上がっているけど、手元にお金が残っていない(むしろマイナス)」

なぜ、このような事象が起きるのでしょうか?

結論としては、『売上』しか見ていないからです。

通販事業において、簡単にお客様に商品が購入されるまでのプロセスをまとめます。

■商品購入までのプロセス
(1)商品を知ってもらうためにプロモーションを行う(広告etc)
(2)お客様が商品を知る
(3)(検討・比較して)商品を購入する

お客様に商品を購入してもらうためには、まずは『知ってもらう』ことが必要です。そのためには、コストをかけて販促活動(主に広告運用)します。

つまり、売上に対して広告費率(売上から注文連動費[商品原価、送料負担分、決済手数料、資材費、ピッキング費]を差し引いた金額に対しての比率)が高い状態では、売上は上がっても利益として手元に残らなくなってしまうということです。

・広告を出せば儲かるのか?
 事例の紹介(商品単価:¥1,000、限界利益:¥500、広告費用:¥100,000の場合、広告効果を出すためにはどのくらい商品を販売しなければいけないのか?)

具体的なシチュエーションの中で上記の事象について考えていきたいと思います。

■前提条件
・商品単価:1,000円
・限界利益:500円(売上から[商品原価、送料負担分、決済手数料、資材費、ピッキング費]の和を引いたもの)

上記の商品を販売するために、100,000円の広告費用をかけたときの広告費用を回収するための分岐点は?

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(式)広告費 100,000円 ÷ 限界利益 500円 = 200 (個)

つまり、広告費用を回収するためには
200個以上売らなければならない。

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*定期通販などのサブスクリプション型のサービスの場合は、新規顧客獲得時に売上を超える広告費用で獲得し、2回目以降の継続購入でその獲得した際の広告費用を回収するが、ここではそれを想定としない

市場の1注文あたりの獲得コスト(CPA)の相場を考えたときに、500円/注文(上記の例の場合)で獲得できなければ広告効果が得られない。

これが売上が上がっていても、手元に利益が残らないメカニズムになります。

広告運用で成果を出すために見るべき点は何か?

上記のようなことが起きないように、広告運用で成果を出すために私は下記のポイントを見るようにしています。

・(広告媒体ごとの)CPA
・(広告媒体ごとの)広告費
・(広告媒体ごとの)対象期間の売上
・(1人あたりの)LTV (Life Time Value)
・(1人あたりの)対象期間の購入金額

上記の項目を月ごとの時系列で確認するようにしています。

これらを確認することで、

・対象の広告媒体経由での、毎月の売上が分かる
・対象の広告媒体に対して、どのくらいの期間で投資回収ができるのかが分かる
・(1人あたりの)毎月の購入金額・累計購入金額が分かる
・1人の顧客を獲得するときの広告費用の上限(上限CPA・CPO)が設定できる

などが把握することができます。
もしよろしければ、参考にしていただければと思います。

限界利益を最大化するためのポイント4つ

儲かるためには、限界利益を最大化することがポイントと説明しましたが、限界利益を最大化するための基本戦略は【4つ】あります。

①今よりも販売価格を下げて、(圧倒的に)販売個数を上げる
②販売価格はそのままで、販売個数を上げる
③今よりも販売価格を上げて、販売個数を同じ、または減らす
④販売原価を下げて、販売個数を同じ、または減らす

①今よりも販売価格を下げて、(圧倒的に)販売個数を上げる
限界利益率が低くても、販売個数の母数を増やすことで、限界利益額は増えます。
ざっくりいうと、『薄利多売』ということです。
これは、結構大変です。
なぜかというと、忙しくなると注文連動費(特に販促費)が比例して増える可能性があるからです。

②販売価格はそのままで、販売個数を上げる
2つ目も、①と同様の戦略です。

③今よりも販売価格を上げて、販売個数を同じ、または減らす
つまり『値上げをする』もしくは『(高付加価値によって)販売価格を上げる』という戦略です。

④販売原価を下げて、販売個数を同じ、または減らす
商品原価(仕入れ原価など)を下げることによって、限界利益率を上げる戦略です。

商品単価が1,000円、限界利益が300円(商品原価は300円とする)だった場合の限界利益率は30%です。

同じ商品の商品原価を300円から150円(50%減)にできたときの限界利益は450円となり、厳寒利益率は45%に改善できることが分かります。まさに売上と連動してかかるコストを下げる工夫をしていくことになります。

*正直、今回例であげた商品原価の調整について、オリジナル商品を作ってしまった後では商品原価を調整するのは難しいと思っています。ほとんどの場合、商品を作ってしまったら、後戻りはできないので、作る前に商品減価率や(1注文あたりを想定したときの)注文連動費の比率などは計算して商品開発はしていきましょう。

簡単に「数字が読めると本当に儲かるんですか?」のまとめを記載いたしました。

通販事業の例を交えて考えてみましたので、通販事業をされている方にお役に立てばすごく嬉しいです。

参考文献


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