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イタリア人が感じた日本語の美しさ

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日本語についての美しさ、言葉遊び、進化のマガジンです。
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訳せない日本語の美しさ

こんにちは、日伊通訳マッシ(@massi3112) 日本語は、少ない文字で深い意味だけではなく細かい情景も出てくる「神の言葉」を感じる。僕にとって、世界一美しい言語だと思う毎日。今まで日本語を勉強した理由は最近、やっとわかってきた。次のステップとして訳さない日本語の「勉強」より、訳さない日本語を「心に感じながら使いこなせる」ようになりたい。わからなくなる時もあるけど、日本語を母国語のように使いこなしたい僕は、わからない単語をまずイタリア語で調べて理解するのではなく、日本語で

日本の包む文化に目が離せなくなる理由とは

日本の文化に外国人が憧れる理由は何だろうか。外国人として、特別なこともなくただ日本で生きているだけで、歴史や伝統を感じている。それだけではなく、神様から生まれた国という理由で、僕の目にはすべての日常が神秘的に見えているのだ。 先日、伊勢丹新宿で開催されたイタリア展を回りながら、美味しいものをたくさん食べたり人々とお喋りしたりしていた。そのなかで、あまり目立たないと言いながらも「深い日本の伝統文化」に改めて気が付いた。 日本人にとっては日常的な感覚で慣れているから「普通」か

日本語の関係性における一人称の多さ

イタリア語では「io」さえ覚えれば、どんな関係でもどんな現場でも一人称は変わらない。 多くの言語でも一人称は一つだけで、深く考える必要がない。 日本語を勉強し始めた頃に一人称の豊富さに驚いた。こんなに使うのか。イタリア語のように一つだけあれば問題ないはずなのに、なぜここまで細かく分けたのか理解できなかった。日本語の勉強を深く進めば進むほど、その不思議な感覚がわかってきた。日本人は相手との関係によって話し方が変わり、相手によって自分にまで影響を与える。 イタリア語でも丁寧語

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略してボカす日本語の春夏秋冬

こんにちは、フードライターマッシ(@massi3112) 日本に来てしばらく住むと、四季に対する感覚が変わった。今まで気がつかなかったニュアンスや雰囲気は、少しずつ五感で楽しめるようになった。 これから秋になるにつれて一番楽しんでいることは、日本語の曖昧さから生まれた「表現」。少ない文字で目に見えない秋の隙間を感じられる。 日本語の特徴ははっきりものを言わないことだ。今まではデメリットだと感じていたけど、四季ごとの言葉を学んで深くまで調べて、知らないうちに「デメリット」は

日本語の「うん」は意外に最強の敵?

こんにちは、日伊通訳マッシ(@massi3112) 日本語を学んでいる外国人は、1回目のレッスンからずっと変わらないことがある。ペラペラ話せるようになっても、日本に暮らして日本人のように動いても、全く通じない会話が必ず出てくる。今日は、その日本語学習者にとっての意外な敵について書こうと思う。 とは言え、会話といってもひらがなの数文字しか出てこない。だけど、源氏物語のように意味深い。日本人なら問題なく理解できると思っていた僕は、日本人に聞いてみたらなんとネイティブ同士でも理

日本語は脳を育てる言語

こんにちは、日伊通訳マッシ(@massi3112) 世界には数えきれない言語がある中で、最も習得が難しいと言われているのが日本語だ。僕が日本語を勉強し始めたのは、2002年の9月。いつの間にかもう20年が経った。人生の半分以上を日本語と付き合っているということだ。大学で日本語を専攻してから現在まで、いい脳トレになっている。 日本語はイタリア語と違って、学校教育での「言語の基本的なレベル」習得に非常に時間をかけなければいけない。今までに聞いた話では、中学生の言語レベルでは新

オノマトペを使うジレンマ

こんにちは、日伊通訳マッシ(@massi3112) ある日、雨という言葉について考えていた時に日本語の「オノマトペ」の面白さに気がついた。例えば「雨が降っている」と「雨がパラパラ降っている」、「雨がザーザー降っている」は全て見えてくる情景は違う。さらには「氷雨が降っている」という表現などもある(これはオノマトペとは違うけど)。 今日は、日本に住んで15年目の僕が日本語を使い日本人のように暮らす中で感じた「日本のオノマトペ」について書いてみた。 日本語の面白さがオノマトペを

「青」という色の意外な美しさ

こんにちは、日伊通訳マッシ(@massi3112) 日本に来て今も時々、青信号を見て「あ、緑だ」と口に出してしまう。イタリアだけでなく海外の共通点として信号機の進めの色は「緑」。日本に来てイタリアの緑より若干青寄りだけど、でも緑と感じて口に出してしまう。日本人には必ず「青だよ!」と言われてた。どこからどう見ても緑なのに青。とても不思議だった。海外に住んだだけで文化の違いは全てわかるわけではないし、そもそもこれが文化の違いなのかも分からない。イタリア人から見た、日本人の信号機

漢字の大切さを語るイタリア人

こんにちは、日伊通訳マッシ(@massi3112) イタリアにない漢字文化を初めて大学で勉強し始めた時にカルチャーショックを受けた。ひらがなとカタカナは覚えれば使えるようになるけど、漢字は勉強すればするほど分からないことが出てくる。 漢字というのは書き順、読み方、意味を考えると勉強の大変さは3倍以上になる。日本人は幼い頃から勉強するから身に付けやすいし慣れも早い。勉強のやり方も染みつく。僕の場合は高校卒業して大学1年生の時から勉強し始めて脳みそが大人になった状態からのスター

日本語の曖昧さこそ、日本的な美しさ

こんにちは、日伊通訳マッシ(@massi3112) 日本語を勉強し始めた僕にとって「曖昧な日本語」に興味があったけど、イタリアの文化と全く違うからわからないことが多いせいで混乱した思い出ばかりだ。諦めず、言葉と文法を勉強しながら日本の社会と歴史の学びに力を入れてたら、十数年かけてやっと気がついてことがあった。今日はその内容を書きたいと思う。 曖昧な日本語というのははっきり話さず、色んな選択肢と意味が出てくることが多い。頭の中でも複数の選択肢と意味を考えるようになる。入って

外国人は日本の褒め方を受け入れる?

こんにちは、日伊通訳マッシ(@massi3112) 初めての自己紹介の時に、相手の日本人にいきなり「鼻が高い」と言われることが多い。日本では「鼻が高い」=褒め言葉だけど、実は海外では鼻が大き過ぎるのをコンプレックスに思っている人が多い。イタリアでは「高い鼻」と言ってしまうと、これは悪口に近いからイタリア人同士であまり使わない言葉だ。ヨーロッパでは鼻の高さを削る整形手術を受ける人がいるほど、鼻は低く小さい方がいいと思われている。顔の中であえて鼻だけをほめるのも、人によっては不

日本語を勉強してよかった理由

こんにちは、日伊通訳マッシ(@massi3112) 日本語は世界一難しい言語だと考えられる。ひらがな、カタカナ、漢字、ローマ字はもちろん、敬語、尊敬語、謙譲語、タメ口、方言、和製英語、子供言葉、女子言葉などの困難が勉強すれば勉強するほど出てくる。日本の文化と社会を学びたいと思ってる人に言えることは一つしかない。日本語とシチュエーションに対する行動を使いこなせないとインプットとアウトプットは止まってしまい、言葉は脱線してしまう。 日本語を勉強してよかった理由は日本という島国に