自由詩:ツツジと嫁入り
ツツジが咲く頃雨が降る
姉の結婚相手は
私の初恋の人
数年前
可愛らしい山娘の姿で
小雨降る中
姉と躑躅の蜜を
吸って遊んでいると
都会から越してきた
お兄さんが傘を差し出し
山路の入口まで送ってくれた
その後何度も彼に逢いに
私たちは郷に降りたのだ
古き風習の残る人里で今日
姉と彼の婚礼の行列が
青空から降る天気雨の下
白色の躑躅が連なる
山堤を粛々と進んでいた
ツツジが咲く頃雨が降る
私は本来の姿のままに
山陰から“コンコン”と鳴き
祝福している
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