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散文詩:星の王子

この世から皆いなくなればいい
そう願うほど寒くて
孤独な夜だった

叶ったその世界で
一人残された私は
星の王子様になり
しばらくすると今度は
誰かこの星に寄ってくれないか
そんな勝手を願うだろう
そしてついに空から
誰かが降りて来て
差し伸べる手を掴み夜空に舞う
その時が王子の最期となる

私はこんなさみしい物語の
主人公にしかなれない
そんな悲しみに浸る最中にも
朝はやって来るのだった
窓の外では
日課の雪掻きをしながら
ご近所さんが
今年も宜しくお願いします
と挨拶を交わしている

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