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散文詩:曲
※フィクションです。前向きな作品として読んで頂ければ幸いです。
「名所」だと知り
好きな音楽だけを
コートのポケットに入れて
一人この場所にやって来た
真冬の厳しい雪まじりの
海風が崖下から吹き上げる
イヤホンからは
米ロックバンドの
ニルヴァーナの代表曲が
唸る風をBGMにして
激しく流れていた
ギターヴォーカルのカートは
27歳の時に拳銃自殺で
世を去っている
私も鳥になろうと手を広げた時
崖下に寄せた小舟から
地元の老漁師が手を振り
釣った魚を見せてくれている
姿が目に入り
飛ぶことも泳ぐことも
自分はできないのだったと
気づいて私は手を振り返し
降りる階段口を目指し移動した
もうここへは戻ってはならない
そんな思いで
駆け下りる若き日の私であった
Twitter#言葉の添え木[お題]
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