散文詩:月と雨の日の憂鬱
冬の雨は重たい
初冬のある日の雨の夜
見えるはずのない月を
見たことがある
反抗期の娘が家出をし
傘も持たずに探し歩き
寒雨が滲みたコートは重く
途方に暮れて見上げた雲天に
なぜか月が浮いていた
産まれた私の命と入れ替わり
天に昇った母だろう
なぜかその時想ったのだ
帰った部屋の曇りガラスに
指を丸く走らせて満月を描き
覗いていると
娘が戻って来る姿が見えた
不思議な曇り空の夜月を
娘も見たそして
ママの悲しみを知った気がして
帰ったのだと泣きながら話す
重たい雨が地面を打つ夜だった
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