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第24回おうちでレガシー カバレージ Round 1 しゅ~いえ(バント石鍛冶)VS夜光(ジャンドサーガ)

「エターナル環境最強のミッドレンジ」と聞いて、皆様は何を想像するだろうか?色々候補はあるにせよ、まず真っ先に候補に挙がるのはこういうデッキだろう。

そう、いわゆる「BG系」と呼ばれる、緑黒を主体としたデッキである。置物以外すべてに触れることができる黒、そして置物を簡単に対応できる緑。これらを組み合わせ、粘り強く戦うことができるデッキが長くエターナル環境のミッドレンジを支配していた。

ハンデスでマウントを取り、出てきた脅威は除去で対応、そして高品質クリーチャーでぶん殴って勝つ。そういった戦法を取るジャンド、アブザンジャンク、チームアメリカ…名前を聞いたことがあるアーキタイプも多いのではないだろうか。

しかし、最近はこのBGのほかに、新たなミッドレンジが台頭してきている。それが黒の代わりに白を基調としたミッドレンジ、およびそれと相性のいいカードをかき集めた「バントミッドレンジ(バントコントロール)」と呼ばれるデッキである。元々昨今人気がある色の組み合わせだったものが「モダンホライゾン2」にて《虹色の終焉》を獲得し事情が一変。あらゆる盤面に対応できるデッキとして人気を集めるようになった。

今回のおうちでレガシー1回戦は、そんなミッドレンジの王道「ジャンドサーガ」を使う夜光、そしてミッドレンジの寵児「バント石鍛冶」を操るしゅ~いえの戦いとなった。

■Game1

先手をもらったのは夜光。まずは《森》から《下賤の教主》を展開。対するしゅ~いえは《島》から《思案》。序盤にマナ数を増やしたいジャンドサーガ側、そしてそんなジャンドサーガ側に対する対応を探しに行きたいしゅ~いえ、双方理想の滑り出しである。

続く2ターン目。夜光は《沼》をセットし《森の知恵》をキャスト。《下賤の教主》で殴りつけてしゅ~いえのライフは19。少しでも相手にアドバンテージ差を生みだす《森の知恵》は、緑系のミッドレンジの肝となるカードである。放っておくだけで手数で負けてしまう。そう思ったしゅ~いえは続く自分のターンで《平地》をセットし《虹色の終焉》を《森の知恵》へ。

そして3ターン目。夜光の攻めはまだ終わらない。《Bayou》をセットして盤面に送り出したのは、《最後の望み、リリアナ》。タフネス1の生物が多いレガシーにおいては、相手の盤面をシャットアウトし、忠誠度による勝利も狙うことができるという、まさにミッドレンジにおける最終兵器である。このターンも《下賤の教主》がしゅ~いえ側のライフを削り残り18点。

しかし、しゅ~いえ側は余裕の表情。返すターンで《Tundra》を設置し、2マナ払ってキャストしたのは《石鍛冶の神秘家》。よりによって《最後の望み、リリアナ》で対応できないクリーチャーが盤面に出てきてしまう。

そして、《石鍛冶の神秘家》でサーチされる装備品は…《カルドラの完成体》。様々な能力がついている細菌兵器だが、夜光側には「破壊不能」の4文字が痛い。BG系、特にジャンドサーガはパーマネントを破壊することに主眼を置くため、この装備品を対処することは不可能に近いのである。

4ターン目。夜光は《新緑の地下墓所》をセット。《石鍛冶の神秘家》を対象に《最後の望み、リリアナ》の+1能力を起動するも除去には至らず、そのままターンをしゅ~いえへ。

続くしゅ~いえのターン。《虹色の眺望》をセットし《石鍛冶の神秘家》の軌道型能力を起動。《カルドラの完成体》を盤面に送り込む。トランプル速攻先制攻撃5/5という暴力が《最後の望み、リリアナ》に襲いかかる。夜光は対応できず、《最後の望み、リリアナ》を墓地へ。そのまま2マナを立てた状態で夜光へターンをパス。

夜光はエンドステップに《新緑の地下墓所》を起動し《Badlands》をサーチし残ライフ19点。そのままターンを迎える。メインフェイズ、《下賤の教主》を絡めた5マナから《闇の腹心》と《ラムナプの採鉱者》をキャスト。墓地の《新緑の地下墓所》をセットしターンを渡す。少しでも相手の《カルドラの完成体》に対応できるカードを探しに行く構え。

続くしゅ~いえのターン。メインフェイズで《渦まく知識》を唱えて手札を整え、《カルドラの完成体》で攻撃。夜光側のライフは残り14。更に《島》《平地》から2マナ払い《虹色の終焉》を《闇の腹心》へ。アドバンテージ差は絶対に産ませない。このまま《カルドラの完成体》の優位を保ちながらぶん殴る。というしゅ~いえ側の意志が伝わってくるかのようである。

しゅ~いえは《霧深い雨林》をセットしターンを渡し、夜光は《新緑の地下墓所》から2枚目の《Badlands》をサーチして残ライフ13点。

6ターン目。夜光がセットした土地は《ウルザの物語》。1枚からパーマネントを3枚も生み出すことができるこの土地は、ミッドレンジやコントロールを相手取る際に極めて重要な土地となる。更に《ラムナプの採鉱者》から再利用も可能となっており、相当のプレッシャーをかけられる。

なのだが、タイミングが悪かった。《ウルザの物語》は機能するのにターンがかかる。オマケに、相手の盤面にはコチラの常識を上回る《カルドラの完成体》が既に暴れまわっているという状況。

そして更なる試練が夜光を襲う。夜光のエンドステップ、しゅ~いえはおもむろに《霧深い雨林》《虹色の眺望》から土地をサーチ。そして《石鍛冶の神秘家》を起動。手札にあった《殴打頭蓋》を盤面へ着地させる。

そしてしゅ~いえのターン。先ほど《殴打頭蓋》と《カルドラの完成体》で夜光を攻め立てる。異なる細菌兵器2体の前に夜光は流石に対応ができず、静かに盤面をたたんだ。

しゅ~いえ1ー夜光0

■Game2

互いにサイドボードを終え迎える2ゲーム目は、先ほどと同じく夜光からスタート。1ターン目、《血染めのぬかるみ》から《Bayou》をサーチ、《下賤の教主》をキャスト。ほぼ1ゲーム目と同じ展開である。対するしゅ~いえは《森》をセットしターンを返す静かな立ち上がりである。

続く2ターン目、夜光は《ウルザの物語》をセットし《森の知恵》をキャスト。《ウルザの物語》と《森の知恵》双方のアドバンテージが狙える最高の立ち上がりだ。その後《下賤の教主》でしゅ~いえを叩きターン終了。しゅ~いえ側のライフは19。

対するしゅ~いえ側は、《溢れかえる岸辺》から《平地》をサーチ。その後《石鍛冶の神秘家》をキャスト。サーチするのは《殴打頭蓋》。そのままターンを返す。

3ターン目。夜光は《森の知恵》の能力でライブラリートップを3枚確認し、4点払い2枚ドロー。残りライフ15点。そして《沼》をセットし《ヴェールのリリアナ》を招聘。相手の盤面と手札双方に圧をかけられる、最高峰のプレインズウォーカーの一角である。

ひとまずは-2能力を起動し、しゅ~いえ側の《石鍛冶の神秘家》を対処。そのまま《下賤の教主》で攻撃ししゅ~いえのライフを17にしターンを渡す。

盤面だけ見れば圧倒的に夜光側有利。しかし、しゅ~いえ側も負けてはいない。しゅ~いえのターン。《霧深い雨林》をセット。即起動し《島》をサーチ。その後《平地》と《島》から2体目の《石鍛冶の神秘家》をキャスト。サーチするのは《カルドラの完成体》。そのままターンを渡す。

4ターン目。こうなると困るのは夜光側だ。なんとしても《石鍛冶の神秘家》を対処するカードが引きたいところ。先ほどと同様《森の知恵》から2ドロー。

そしてメインフェイズ。第三章を迎えた《ウルザの物語》の能力でライブラリーから0マナか1マナの装備品をサーチ。持ってきたアーティファクトは《影槍》。自軍クリーチャーに装備しトランプルと絆魂をつけられ、さらに1マナ払うことで破壊不能を帳消しにすることが可能。事実上《カルドラの完成体》に対する対抗策である。

そして夜光は《死の飢えのタイタン、クロクサ》をキャスト。更にしゅ~いえに対する圧を高めていく。このターンは手札から唱えたので墓地に行くものの、次のターンからは墓地から脱出も視野に入っている。優位な状況をさらに優位にしていく。これこそがジャンドサーガの手法なのだ。しゅ~いえは《死の飢えのタイタン、クロクサ》の能力で《自然の怒りのタイタン、ウーロ》をディスカード。

夜光の攻めはまだ止まらない。《Taiga》をセットし、残していた《Bayou》と併せて《石鍛冶の神秘家》を対象に《突然の衰微》。打ち消し不能の除去であるため、確定で相手の《石鍛冶の神秘家》に対処可能。これで盤面の優位を確定させ、次からは《死の飢えのタイタン、クロクサ》で叩いていく。それが夜光側のプランだったのだろう。

…「だったのだろう」と書いたのは訳がある。結論から言うと、この試みは失敗に終わる。確かに《突然の衰微》は打ち消し不能。以前のレガシーでは対処がほぼ不可能に近く、驚異的な除去となっていたのは事実である。

そう、以前のレガシー環境ならば、である。

夜光の《突然の衰微》に対応。しゅ~いえは残しておいた《森》から緑マナを捻出。そして唱えるは…《夏の帳》。そう、打ち消し不能な《突然の衰微》であっても、呪禁による対象不適正には対応ができないのである。

その後夜光は《ヴェールのリリアナ》の+1能力を起動し、互いに手札を捨てさせてターンを渡す。しゅ~いえのターン、第一メインフェイズで《島》をセット。先のターンで圧倒的なアドバンテージ差を生み出した夜光。しかし、盤面には《石鍛冶の神秘家》が残ってしまう。

そしてこの《石鍛冶の神秘家》から、満を持して《カルドラの完成体》が射出されてしまう。1ゲーム目同様、まず狙うはプレインズウォーカー。《ヴェールのリリアナ》へ攻撃し墓地へと葬り去る。

5ターン目。大きく予定が狂ったものの、夜光側はやることは変わらない。ライフに不安が残るため、《森の知恵》からの追加ドローはなし。並べ替えてドロー。

そしてメインフェイズ。《新緑の地下墓所》を起動して《Bayou》をサーチ。まず《稲妻》で《石鍛冶の神秘家》を対処し、赤赤黒黒を払い、墓地から《死の飢えのタイタン、クロクサ》を脱出コストでキャスト。しゅ~いえは対応して《氷牙のコアトル》をキャストし1ドロー。《基本に帰れ》をディスカード。そのまま夜光はターンをしゅ~いえに渡す。

続くしゅ~いえのターン。メインフェイズでセットするのは《カラカス》。夜光があれだけ必死になってキャストした《死の飢えのタイタン、クロクサ》をあっさりと手札へ戻させる。盤面ががら空きになったところを見計らい、《カルドラの完成体》でパンチ。夜光の残りライフは4点まで追い詰められてしまう。

そしてダメ押しと言わんばかりに、しゅ~いえは《真の名の宿敵》をキャスト。当然指定は夜光。そのまま夜光へターンを渡す。

「相手のパーマネントに対応し、その上で盤面の優位性を築く」。これは言い換えてしまえば「パーマネントが対処しきれないと、なすすべがない」ということである。

夜光が《森の知恵》でめくれたデッキトップ3枚の中に、この無理難題に対する回答は見当たらなかった。

しゅ~いえ2ー夜光0

■実況動画


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