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おうちでレガシー開催レポート⑤ ~界隈にはばたくおうち勢力~

自宅で遊べるリモート式のレガシーイベント「おうちでレガシー」。筆者がこのイベントを主催し始めて、40回目の開催である。前回レポートしたときから比べ、さらに変化を見せてきているので、今回もどういう感じで運営されていったのか、そしてどのようなデッキがあったのか、少し紹介させていただこうと思う。

1.参加者の推移

第33回から40回までの参加者の推移を見てみると以下のようになる。

第33回 8人
第34回 9人
第35回 8人
第36回 11人
第37回 17人
第38回 10人
第39回 16人
第40回 17人

17人…17人?FNM規模のレガシーイベントでこの人数はすごい多くない?と感じたが、事実そのようで、実際の店舗のイベントよりもはるかに多い人数が参加しているとのことである。ここまで集まっていただいて本当にありがたい限りである。

余談だが、最近はMTG Meleeの機能でデッキ登録ができず、参加者すべてのデッキリストを個別に提出いただき、それを筆者が別途登録するという形をとっている。つまり参加者が増えれば増えるほどにデッキリスト登録の手間が発生するといううれしい悲鳴も上がっている。

なおこの不具合については、MTG Meleeに問い合わせたところ「バグ」というシンプル極まりない答えが返ってきたので、はやく対応していただきたいところだ。

また、参加者推移とは少し異なる話題かもしれないが、黎明期から参加していただいていた二人のプレイヤーが大型大会で結果を残している。

まず、去る5/4に行われたEternal Party 2022 in Tokyoにて、「今岡」氏がURデルバーで200名を超えるレガシープレイヤーの中を泳ぎ切り優勝。プロフィールに「おうちでレガシー」と書かれていたり、おうちでレガシー立ち上げの時を思い出して少し泣いた記憶がある。

続く5/15、今度はレガシー東海王決定戦にてわれらがおうちのアイドル「しゅ~いえ」氏が優勝。70人余りの猛者たちを青単親和でなぎ倒していった。なお、この前日に彼はThe Spy相手にボコボコにされたのだが、その反省を活かしつつ、決勝でThe Spyを倒したとのことである。よかったね。

2.メタの推移

とまあ、そんなこんなでイベントは大盛況を迎えているのだが、肝心のメタゲームはどうなっているのだろうか?中を見てみよう。(太字が3-0したデッキ)

第33回:ダイスファクトリー/白単スタックス/Ozzy Con/URデルバー/ジャンド/誘導路ヨーリオン/URデルバー/Death and Taxes
第34回:Ozzy Con/アルーレン/バント石鍛冶/URデルバー/URデルバー/ジェスカイメンター/リアニメイト/URデルバー/ジャンド
第35回:URデルバー/エルフ/エスパー石鍛冶/青単親和/アルーレン/UR双子/BUGカンパニー/URデルバー
第36回:URデルバー/Death and Taxes/URデルバー/The Spy/青単親和/エスパー石鍛冶/ジャンド/アグロローム/ホロウワン/赤単フェニックス/ターボApex
第37回:Death and Taxes/URデルバー/4Cヨーリオン/リアニメイト/ベルチャー/エルフ/URデルバー/ヨーリオンデスタク/URデルバー/エンチャントレス/《創造の歌》コンボ/マーベリック/Doomsday/土地単/白単スタックス/ANT/ジャンド
第38回:4Cヨーリオン/Death and Taxes/白単スタックス/ナヤデプス/BUGカンパニー/URデルバー/ANT/土地単/忍者/ジャンド
第39回:4Cヨーリオン/Death and Taxes/エスパー石鍛冶/ヨーリオンデスタク/アルーレン/黒単デプス/Death and Taxes/スニークショー/Show and Tell/ルビーストーム/赤単プリズン/エルフ/ANT/URデルバー/黒単デプス/Delver Blade
第40回:アルーレン/URドラゴン/Death and Taxes/ANT/リアニメイト/Doomsday/Canadian Threshold/4Cヨーリオン/青単デルバー/黒単デプス/ジャンド/URデルバー/URデルバー/テゼレッター/Delver Blade/ANT/ヨーリオンデスタク

毎度毎度様々なデッキがあるが、やはり群を抜いて使用頻度が高いのはURデルバーだろう。この間筆者も紙で遊んでみたのだが、序盤中盤終盤と隙がなく、アグロ、ミッドレンジ、コントロール、そしてコンボと対等以上に渡り合える。今一番レガシーで人気であるのも理解できる。

そうなると、上位デッキはおのずと「URデルバーに有利がとれるかどうか?」というところに焦点が当たっていくだろう。例えば3週連続入賞を繰り返した「4Cヨーリオン」だが、これはメインボードから《夏の帳》《花の絨毯》といった強烈に青いデッキを意識するカードが入っていたり、URデルバーに対して一方的に優位がとれる《自然の怒りのタイタン、ウーロ》も投入されていたりする。生き残りをかけるという意味では、まずはURデルバーを意識する必要があるというのが今のメタゲームである。

一方で、好き勝手いろいろなデッキを持ち込めるというのもこのイベントのいいところであると筆者は思っている。オリジナルデッキを持ち込むもよし、カナスレのような古代兵器を持ち込むもよし、そこは各々の好きなデッキを持ち込んで遊んでいただけられればと思う。

なお、37回だけ異様にアンフェアデッキが多く感じるが、これはたまたま筆者の誕生日に被ったというのもあり、おうちでレガシーに参加するプレイヤーがこぞって花火を打ち上げに来たというのが実情である。定期的にこんなメタゲームになるおうちでレガシー。こんな環境でも生き残れるように武装するか、自分も祭囃子に加わるか、そこはプレイヤー次第である。

3.イベントで使用されたデッキ紹介

せっかくなので、ここではおうちでレガシーで使われたデッキの中でも「これは面白い!」と思われるデッキを紹介していこうと思う。

■誘導路ヨーリオン

突然だが皆様、《誘導路》というカードをご存じだろうか?ざっくり説明すると、「ライブラリーから土地とクリーチャーと非クリーチャーを3枚相手に選ばせて、それを手札に加える」というカードである。早い話が限定的だが3マナ3ドローが可能という強烈なカードである。

で、この《誘導路》から様々なカードを持ってきたいと考えてデッキを組んだ結果、デッキの枠が60枚に収まらず、あれよあれよという間に80枚を超えたらしく、《空を放浪するもの、ヨーリオン》を突っ込んでデッキにした…というのがこのデッキらしい。

従ってこのデッキ、プレイヤーが使いたいカードをこれでもかというくらいに投入している。1枚挿しされた《停滞》なんかはもはや個人の性癖の域だろう。

奇しくもタイミングよく「ダブルマスターズ2022」で《誘導路》が採録される。WotCがおうちでレガシーを見て再録に踏み切った可能性も否定はできいだろう。気になった人は組んでみてはいかがだろうか。

▲リモート対戦における《誘導路》の処理の一例

なおこの《誘導路》、対面ならライブラリーを直接手渡しすればいいのだが、これがリモートだと処理が難しくなってしまう。そのため、おうちでレガシーで遊ぶためには少し工夫がいる。例えば上の画像のように、事前にデッキのすべてのカードを印刷した紙かなにかを用意して、それを見せながら解決すればいいのではないだろうか。なんかこう、ピザの注文を彷彿とさせる絵面ではあるのだが…。

■Ozzy Con

今の環境を定義しているデッキはURデルバーである。このことについては先ほど述べた通りではあるが、URデルバーの弱点とはいったい何だろうか?と考えた際に、真っ先に目が向くのが墓地である。

実は今のURデルバーは、大いに墓地に依存した構成となっている。昂揚により大幅に性能が引きあがる《ドラゴンの怒りの媒介者》、墓地のカードを追加コストとして追放して場に出る《濁浪の執政》といったカードが中核をなしていることから、これは明らかである。

また、そのほかのデッキを見ても、《自然の怒りのタイタン、ウーロ》を擁するバントコントロール、《湖に潜む物、エムリー》で墓地からアーティファクトを回収する青単親和など、現在のレガシーでよく見かけるデッキは以外にも墓地を利用することが多い。ならば、こうも言えるわけである。

メインから墓地対策をしてもいいだろう。と。

という思想のもとに爆誕したコントロールデッキがこの「Ozzy Con」である。最強クラスの墓地対策である《安らかなる眠り》を軸として、この恩恵を最大限活かすことができるカードで脇が固められている。フィニッシャーは《Helm of Obedience》を絡めたヘルムピースコンボという徹底ぶりだ。

これを《大いなる創造者、カーン》で持ってくるため、サイドボードには《開闢機関、勝利械》や《マイコシンスの格子》といった強力なアーティファクトも搭載されている。状況に応じて必要なアーティファクトを持ってきて、相手に圧をかけていこう。

個人的にナイスチョイスの《エネルギー・フィールド》。ダメージをすべて軽減してくれるが、カードが墓地に送られると生贄にささげられるというデメリットも併せ持つ。が、《安らかなる眠り》があればあら不思議。未来永劫墓地にカードが送られることはないので、ほぼ永久的にこれを維持できる。

■Show and Tell

以前、なんかのカバレージ記事で「MTG世界の契約は重い」という話をした。無理もない。MTGの契約サイクルと呼ばれる呪文は0マナで撃つことができる代わりに、次のターンのアップキープにマナの支払いを要求し、払えなければ死である。なので、通常は契約を撃ったそのターンに勝負を決めるか、ちゃんと払うことができるマナを用意しておくかのどちらかが必要となる。

しかし、実はこの契約、悪用方法がある。「マナが払えなければ死」というところを逆手に取り、相手に無理やり唱えさせて契約のマナ払いを要求するということもできるのである。具体的には、契約をコピーして相手に押し付ければOKである。

その時に用いられるカードがこの《集団意識》。唱えたインスタント呪文やソーサリー呪文をコピーして相手に押し付けられるソーサリーだが、これを場に出してから契約呪文を唱えるとあら不思議、相手に払えるマナがなければ相手の死が確定する。

唯一の懸念事項はそのマナコスト。ピッチカウンターが飛び交うレガシーという環境において6マナは重い。これを踏み倒すべく用いられるのが、みんな大好き《実物提示教育》である。一気にこれをたたきつけ、相手に無理な支払いを強いて破産させていこう。

4.終わりに

というわけで、ここまでのイベントの概要をまとめたが、いかがだっただろうか。

おうちでレガシーは毎週土曜日22時から定期的に開催している。次回開催は7月を予定しているので、詳細は筆者のTwitterを確認してほしい。受付自体はコチラのMTG Meleeで参加受付をしているので、興味があれば参加して頂きたい。


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