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第36回おうちでレガシー カバレージ Round2  Nathan Lipetz(The Spy) VS スン(URデルバー)

皆さん、「契約」ということについて真剣に考えたことはあるだろうか?

我々は日々、様々な場面で「契約」を結んでいる。携帯電話の新規契約や、部屋の貸し借りなどなど。スーパーに行ってものを買うことだって、広く見れば売り手と買い手の契約を結んだ結果と言える。いわば現代社会の根幹を成す、地味だが大切な決まり事なのである。

だからこそ、この決まり事を破ったりすると、とんでもない不利益をこうむったりするのだ。適当に携帯電話を解約した結果、違約金が発生したり、適当に部屋を扱った結果、敷金がイカれたり…皆様も身に覚えがある例があるのではないだろうか?

そしてそれは、MTGというカードゲームの世界でも変わらない。

例を見てみよう。今回のフィーチャーテーブルに座っているプレイヤーは「The Spy」を用いるカナダのMTGプレイヤー「Nathan Lipetz(ネイサン)」、そして「URデルバー」を用いる「スン」である。このカバレージでは、この二人の事例を見ながら、MTGにおける契約の重要性について学んでいくとしよう。

■Game 1

先手はスン。ネイサンがダブルマリガンからスタート。1ターン目、スンは《沸騰する小湖》から《Volcanic Island》をセットして《思案》を唱えてターンをネイサンへ。ネイサンは《地下遺跡、アガディーム》をタップインしてゴー。

2ターン目、スンは焦らず《ドラゴンの怒りの媒介者》を展開し《不毛の大地》で《地下遺跡、アガディーム》を処理してゴー。ネイサンはひとまずドローしてターンを返す。

3ターン目、スンは《Volcanic Island》をセットして《渦まく知識》。2体目の《ドラゴンの怒りの媒介者》を展開してコンバットし、ネイサンのライフを19点にしてターン終了。ネイサンは先ほど同様ドローゴー。

4ターン目、スンは2体の《ドラゴンの怒りの媒介者》でコンバットしてネイサンのライフを17点にしてゴー。ネイサンのターン。手札が十分たまったネイサンが動き出す。

まずネイサンは《地下遺跡、アガディーム》をアンタップインし、手札の《猿人の指導霊》を追放し《陰謀団の儀式》をプレイ。それに対しスンは2マナ払い《目くらまし》。だが、ネイサンも対応して《猿人の指導霊》を追放して要求されたマナを払う。更にスンは《Volcanic Island》を手札に戻して2枚目の《目くらまし》をプレイ。《陰謀団の儀式》を徹底して打ち消しにかかる。

これに対しネイサンはしばらく悩んだ後、0マナで《召喚士の契約》をプレイ。ライブラリーから緑のクリーチャーであり、《目くらまし》のマナを供給できる《Elvish Spirit Guide》をサーチしてこようとする。

これに対し、スンは《濁浪の執政》を切って《意志の力》…を撃ったところでふとあることに気づく。そう、《召喚士の契約》に書かれた一文である。

「この呪文を撃った者は、次の自身のアップキープで2(緑)(緑)を払わなくてはならない」

スンは打消しの対象を《陰謀団の儀式》に指定。あえて《召喚の契約》を解決させる。ネイサンは投了を選択。MTGの契約は非常に重く、契約不履行などのペナルティは罰金でも何でもなく、どんな状況でも死が与えられるためである。

ネイサン0ースン1

▲契約金を用意できない者は死あるのみである。

■Game 2

ネイサン先手でスタート。1ターン目、ネイサンは《睡蓮の花びら》から《暗黒の儀式》を唱え、さらに追加の《睡蓮の花びら》を展開しクラック。4マナ払って《欄干のスパイ》をプレイ。

これが通るとスンはまず間違いなく死ぬ。対応してスンは《厚かましい借り手》を切って《意志の力》。だが、ネイサンは0マナで《否定の契約》で対応。対応が無くなったスンはここで投了。あっという間の出来事だった。

なお、当然だが《否定の契約》にもマナの支払い義務はある。が、支払いが発生するのはあくまで次のアップキープ。つまり、支払いが来る前にゲームを終わらせ、契約をなかったことにしてしまえばいいのだ。

ネイサン1ースン1

▲要は支払いまでに勝てばいいのだ。

■Game 3

最終ゲームはスンが先手。1ターン目、スンは《Volcanic Island》をセットしてゴー。ネイサンはドロー後、クリンナップで《黄泉からの橋》をディスカードしてターン終了。

2ターン目、スンは《島》をセットしてターン終了。ネイサンはターンをもらうと《うねる森、変わり樹》をアンタップインし、《睡蓮の花びら》を2枚セット。その後、《睡蓮の花びら》から黒マナを出し《暗黒の儀式》をプレイ。更に追加の《睡蓮の花びら》を置きクラック。4マナ払って《欄干のスパイ》を展開する。

スンはこれに対し《厚かましい借り手》を切って《意志の力》。対するネイサンは《否定の契約》で打ち消そうとするが、スンはさらに《意志の力》を切って《意志の力》。打ち消す対象は《欄干のスパイ》。

ネイサンは盤面をたたんだ。1ゲーム目同様、契約した分のマナが支払えないためである。

ネイサン1ースン2

▲真面目な話をすると、The Spyは仕掛けるタイミングが難しい。
《意志の力》1枚を乗り越える手札で仕掛けるのか?2枚乗り越えられるようになるまで待つか?
その選択は、この手のデッキに常に付きまとう。

■対戦動画

■デッキリスト

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