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第39回おうちでレガシー カバレージ Round2  Nathan Lipetz(Death and Taxes) VS けんだま(エスパー石鍛冶)

ここに《石鍛冶の神秘家》というカードがある。レガシープレイヤーにとってはおなじみのカードだろう。場に出たときに装備品をサーチ、2マナ払うとコストを踏み倒して手札の装備品を場に出すことができるというクリーチャーである。

かつては《梅澤の十手》《殴打頭蓋》などとタッグを組み、レガシーを暴れまわっていたことでおなじみだと思う。最近ではさらに《カルドラの完成体》という相方も増え、いよいよその存在感を増している。

その使いやすさ、汎用性の高さから、非常に多くのデッキで採用されているのも《石鍛冶の神秘家》の特徴である。例を挙げてみよう。

今回のフィーチャーマッチの席に着いた「Nathan Lipetz(ネイサン)」が持ち込んだ「Death and Taxes」。1回戦の記事にも書いたが、これはゴリゴリのアグロデッキであり、《石鍛冶の神秘家》は強力なクロックの一部であるという位置づけである。

対する「けんだま」が持ち込んだ「エスパー石鍛冶」。デッキ名にもある通り《石鍛冶の神秘家》を軸としたデッキなのだが、これはアグロデッキとは異なり、相手の盤面をしっかりと制圧したうえで勝つコントロールデッキである。この中で《石鍛冶の神秘家》は、フィニッシャーである《殴打頭蓋》や《カルドラの完成体》のサーチ手段、および《渦まく知識》のためのシャッフル手段として用いられている。

同じカードを使いながら、向いている方向は真逆。一体どのような試合展開を見せてくれるのだろうか。

■Game 1

先手はネイサン。1ターン目、ネイサンは《平地》から《ルーンの母》をプレイするが、これはけんだまが《渦まく知識》を切って《意志の力》で対処する。けんだまはターンをもらうと《Tundra》をセットし《思案》を唱えてターンを渡していく。

2ターン目、ネイサンは《平地》を置くと《ルーンの母》を展開。これは無事着地し、けんだまへとターンが移る。けんだまのターン、《溢れかえる岸辺》をセットしてターンをネイサンへ返す。

3ターン目、ネイサンは《リシャーダの港》をセットしてゴー。けんだまのアップキープに《Tundra》を縛る。けんだまはドロー後《溢れかえる岸辺》から《島》をサーチ。《渦まく知識》を唱えて手札を整えると《湿地の干潟》から《沼》をサーチ。《思考囲い》を唱えてネイサンの手札を確認する。

ネイサンの手札は《カルドラの完成体》《剣を鍬に》《平地》2枚。当然捨てられるのは《カルドラの完成体》。そのままターンをネイサンへ渡す。

4ターン目、ネイサンは《平地》をセットしてゴー。けんだまのアップキープに再度《Tundra》を縛ろうとするが、けんだまは対応して《瞬唱の魔導士》をプレイ。《思案》にフラッシュバックを付与する。そのままメインフェイズ、先ほどの《思案》をフラッシュバックするが、対応でネイサンが《剣を鍬に》で《瞬唱の魔導士》を処理していく。けんだまは《Scrublands》をセットしてターンを返す。

5ターン目、ネイサンは《平地》をセットし、5マナ払うと《殴打頭蓋》を唱える。4/4警戒絆魂という強力なクロックが盤面に躍り出る。

が、けんだまも対処手段はあった。ターンをもらい、4マナ払って唱えた呪文は《至高の評決》。ネイサンの盤面のクリーチャーをきれいさっぱり洗い流し、《Underground Sea》をセットしてターンを返す。

6ターン目、ネイサンがプレイしたカードは《石鍛冶の神秘家》。サーチしてくるカードは《獅子の緒飾》。そのまま2マナ払いプレイ。さらに《霊気の薬瓶》も展開し、けんだまへ圧をかけていく。

これに対しけんだまはターンをもらうと、《剣を鍬に》で《石鍛冶の神秘家》を処理。さらに《瞬唱の魔導士》を唱え、先ほど唱えた《剣を鍬に》を再利用し、《獅子の緒飾》も対処していく。

7ターン目、ネイサンは《リシャーダの港》をセットしてゴー。アップキープにけんだまの《Tundra》をタップしていく。けんだまはまずコンバットし、ネイサンのライフを20点にすると、2マナ払い、今度はこちらの番といわんばかりに《石鍛冶の神秘家》を展開。《カルドラの完成体》をサーチしてターンをネイサンへ返す。

エンドステップ、ネイサンは3マナ払い《殴打頭蓋》を手札に戻す。そして8ターン目、ネイサンは平地をセットし再度《殴打頭蓋》を展開していく。

けんだまのターン、ネイサンに《Tundra》を縛られそうになるが、対応して《石鍛冶の神秘家》を起動。先ほどサーチした《カルドラの完成体》を叩きつける。さらに1マナ払い《虹色の終焉》で細菌トークンを処理すると、《カルドラの完成体》《瞬唱の魔導士》でコンバットしていく。ネイサンのライフは13点に。

9ターン目、ネイサンは2マナ払い《スレイベンの守護者、サリア》をプレイ。さらに5マナ払い《殴打頭蓋》を装備。6/5先制攻撃絆魂警戒というクリーチャーが大地に立つ。そのままターン終了。

これに対しけんだまは、まず《カルドラの完成体》で殴りつけてネイサンのライフを8点まで削ると、7マナ払い《カルドラの完成体》を《瞬唱の魔導士》へ装備。都合「7/6先制攻撃トランプル速攻破壊不能ダメージを与えたクリーチャーは戦闘後追放される」という能力を持ったクリーチャーを作り出すことで対抗していく。

これにはネイサンも苦笑い。《殴打頭蓋》を装備した《スレイベンの守護者、サリア》でも殴りに行くことができず、ターンをもらうがそのままパス。けんだまはターンをもらうと、2マナで《虹色の終焉》を《スレイベンの守護者、サリア》へ。

パイロットを失った《殴打頭蓋》は機能停止。がら空きになった盤面に対し、けんだまのクロックが一斉射撃、すべてを刈り取っていった。

▲デンドロビウムVSノイエジールみたいで
かっこいいとおもう

ネイサン0ーけんだま1

■Game 2

再度ネイサンからゲームスタート。1ターン目、ネイサンは《平地》から《ルーンの母》を展開してターンをけんだまへ。

けんだまのターン。けんだまは《沼》をセットし《思考囲い》をプレイ。ネイサンの手札は《流刑への道》《剣を鍬に》《迷宮の霊魂》2枚と《平地》。けんだまは《迷宮の霊魂》を選びターンを返す。

2ターン目、ネイサンは《平地》をセットし、《迷宮の霊魂》をプレイ。これでけんだまの《渦まく知識》や《思案》を封じ込めることができるため、一気にイニチアチブをとることができる。

また、《ルーンの母》がいるため《剣を鍬に》や《虹色の終焉》にも対処されず、《ルーンの母》と《迷宮の霊魂》はクリーチャータイプが異なるため、黒いデッキのサイドボードでよく見かける《疫病を仕組むもの》でも個々に対処するのは難しい。ネイサンはこう考えてけんだま相手にこの手札をキープし、こうプレイしたのだろう。

だが、この後けんだまがとった行動は、ネイサンの予想の範疇を超えていた。

けんだまのターン。《Tundra》をセットし《沼》をタップ。盤面に出したカードは《夜の戦慄》。「すべての白のクリーチャーを‐1/-1修正する」と書かれた、Death and Taxesに対する最終兵器である。

かつて、《死儀礼のシャーマン》が使えたころ、これを擁するグリクシスデルバーに対するメタデッキとして成立していたDeath and Taxesに対し、グリクシスデルバー側が採用していたことで有名なカードではあった。が、その後グリクシスデルバーの衰退、《疫病を仕組むもの》の登場を経て歴史の表舞台から姿を消したカードである。

ゆえに、ネイサンの計算にこのカードが入っていなかったのは当然である。だが、置かれたものは仕方ない。蒸発するネイサンのクリーチャーを斜に眺めながら、けんだまは満足げにターンをネイサンへ返す。

ネイサンのターン、何とかあのエンチャントを処理したいのだが、《平地》を置くにとどまる。けんだまはターンをもらうと、《Tundra》をセットし《瞬唱の魔導士》をプレイ。フラッシュバック付与は《思考囲い》。

…余談だが、ネイサンが住む場所はカナダ。このイベントは日本時間の夜10時から行われているが、これはカナダの時間に直すと朝の6時。彼はこのイベントに参加するために朝の5時半から準備をしていた。

「徹夜していたからちょっとしんどいね。でもこれ終わったら寝るよ!」

彼はイベントに出る前、筆者にそう言っていたような気がする。

けんだまの放った無慈悲な《思考囲い》は、そんな限界状態のネイサンの心を砕くには十分だった。

▲「OP played an evil card」(ネイサン談)

ネイサン0ーけんだま2

■対戦動画

■デッキリスト

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