第35回おうちでレガシー カバレージ Round2 Kiyoaggro (URデルバー) VS マッツ(ヨーリオンアルーレン)
おうちでレガシーの運営をしていると、様々なコミュニティの溶け合いが発生する様を目の当たりにすることがある。元々はごくごく小規模でやっていたこのイベントも、回を重ねるにつれて、東海地区の猛者たちであったり、レガシーDiscordサーバーのプレイヤーだったり、果てはミドルスクールやインベイジョン限定構築の仕掛け人だったりと、実に多様なメンバーが入り乱れるようになった。
今回フィーチャーマッチで対戦する「Kiyoaggro」と「マッツ」。両者の間にはこれと言って接点はない。「Kiyoaggro」氏は東海地区を基盤とする競技プレイヤー。使用デッキは今や環境最高峰と名高い「URデルバー」であり、デッキのパワーとテクニックで「多くのレガシープレイヤーを三河湾に沈めた」と豪語する強豪プレイヤーである。
片や「マッツ」は東海地区に縁のない筆者の10年来の友人である。競技プレイヤーではないのだが、MTGのプレイの質は高く、特にクリーチャーを経由したコンボ・ミッドレンジデッキを好む。彼が初めて握った、そして今でも愛用するデッキが「アブザンカンパニー」と言えば頷けるだろう。今回の使用デッキはそれを反映してか「ヨーリオンアルーレン」。《魔の魅惑》による即死コンボを内蔵した骨太のミッドレンジである。
普通なら絶対に実現しないであろう、そして実現してしまったこの戦い、どういう展開を見せるのだろうか。
■Game 1
先手はマッツ。1ターン目、《冠雪の森》から《貴族の教主》を展開してゴー。対するKiyoaggroは《沸騰する小湖》から《Volcanic Island》をサーチして《秘密を掘り下げる者》をプレイ。両者順調な滑り出しである。
2ターン目、マッツは《霧深い雨林》をセットしゴー。Kiyoaggroのターン、アップキープのデルバーチェックは不発に終わるが、《思案》をプレイ。並べ替えた後に《沸騰する小湖》をセットし、《秘密を掘り下げる者》でコンバット。
だが、マッツはこれに対し《氷河のコアトル》を瞬速でプレイ。ドローしながらブロックにかかる。Kiyoaggroは対応し《沸騰する小湖》から《Volcanic Island》をサーチして《稲妻》を《氷牙のコアトル》へ撃ち込み処理。マッツのライフを19点にしターン終了。
3ターン目、アップキープに《霧深い雨林》から《冠雪の島》をサーチしてドロー。まずは《思案》を唱えライブラリートップを確認。並べ替えてドローし、《Tropical Island》をセットして《自然の怒りのタイタン、ウーロ》をプレイ。これに対しKiyoaggroは《Volcanic Island》を手札に戻しつつ《目くらまし》で打ち消す。
Kiyoaggroのターン。ライブラリートップは《表現の反復》。《秘密を掘り下げる者》が変身する。まず《昆虫の逸脱者》でコンバットし、マッツのライフを15点に削る。その後、《Volcanic Island》を再展開し、墓地をすべて追放して《濁浪の執政》を6/6で展開。一気に圧を高めていく。
4ターン目、マッツは《吹きさらしの荒野》をセットし、《剣を鋤に》を唱えて《濁浪の執政》を処理。更に《吹きさらしの荒野》から《冠雪の森》をサーチ。墓地から脱出コスト込みで《自然の怒りのタイタン、ウーロ》を唱えるが、これはKiyoaggroが《表現の反復》を追放し《意志の力》を撃つことで対処される。
Kiyoaggroのターン。《昆虫の逸脱者》でマッツのライフを11点まで削り、《不毛の大地》で《Tropical Island》を処理、さらに《二股の稲妻》で《貴族の教主》を処理しつつマッツのライフを10点まで詰める。
5ターン目、マッツが唱えたのは《生ける願い》。サイドボードからこの状況を乗り越えるために《忍耐》をサーチする。その後、1マナ払い《貴族の教主》ターン終了。Kiyoaggroは《昆虫の逸脱者》でコンバットし、マッツのライフが7点に追い込まれる。
6ターン目、マッツは《思案》をプレイ。その後、《冠雪の沼》をセットし、3マナ払い《忍耐》をプレイ。Kiyoaggroの墓地をライブラリーに戻させてゴー。Kiyoaggroはターンをもらうが、3/4到達の前に身動きが取れず、このままターンを渡す。
7ターン目、マッツは4マナ払い、満を持して《魔の魅惑》をプレイ。ノーコストで《護衛募集員》をプレイし、《北極マーフォーク》をサーチ。更にキッカーコストで《護衛募集員》をバウンスし《北極マーフォーク》を唱えつつ、《護衛募集員》を再展開。ライブラリーから《洞窟のハーピー》をサーチしたところでKiyoaggroが投了。1ゲーム目は見事カウンターを消費させてコンボパーツを通したマッツに軍配が上がった。
Kiyoaggro0ーマッツ1
■Game 2
先手はKiyoaggro。1ターン目、Kiyoaggroは《Volcanic Island》から《秘密を掘り下げる者》を展開してゴー。マッツは《虹色の眺望》から《冠雪の平地》をサーチ。《虹色の終焉》をX=0で唱えて《秘密を掘り下げる者》を処理していく。
2ターン目、Kiyoaggroは《思案》をキャスト。ライブラリートップが気にくわなかったのか、ここはシャッフルを選択。その後、《ミシュラのガラクタ》をプレイ。ライブラリートップを確認した後に《汚染された三角州》をセット。ここは起動せずにターンを渡す。マッツは《冠雪の森》をセットしてゴー。
3ターン目、Kiyoaggroは《渦まく知識》をプレイ。手札を整えた後、《溢れかえる岸辺》をセットしてゴー。マッツは《Bayou》をセットしてターンを返す。互いに静かなターンが続く。
4ターン目、アップキープにKiyoaggroは《溢れかえる岸辺》から《Volcanic Island》をサーチ。その後ターンを渡す。エンドステップにマッツは《忍耐》をプレイ。だが、これはKiyoaggroが《Volcanic Island》を手札に戻して《目くらまし》を撃つことで処理される。マッツのターン、ドローが恵まれなかったのか、土地をセットせずに3マナ払い、相棒指定していた《空を放浪するもの、ヨーリオン》を手札に加えてターンを返す。
5ターン目、Kiyoaggroは《Volcanic Island》を再展開してゴー。対するマッツは《花の絨毯》を展開。その後、第2メインフェイズに《花の絨毯》から青マナを2個供給し、《思案》をキャスト。ここはシャッフルを選択し、さらに余った青マナで《渦まく知識》をキャスト。その後、《虹色の眺望》から《冠雪の島》をサーチし、《護衛募集員》をプレイし《氷牙のコアトル》をサーチ。一気に盤面を自身に傾けていく。
6ターン目、Kiyoaggroは《霧深い雨林》をセットしてターン終了。マッツのターン、まず《花の絨毯》から青2マナを供給し、先ほどサーチした《氷牙のコアトル》を展開。《新緑の地下墓地》をセットしてターン終了。
7ターン目、Kiyoaggroは《思案》をキャスト。その後、《ドラゴンの怒りの媒介者》を展開するも、これはマッツの《剣を鋤に》で処理されてしまう。マッツのターン、アップキープに《新緑の地下墓地》から《冠雪の森》をサーチ。その後、《花の絨毯》からマナを供給し、《霧深い雨林》をセットして《空を放浪するもの、ヨーリオン》を展開するが、これはKiyoaggroが《霧深い雨林》から《Volcanic Island》をサーチしたのち、《紅蓮破》されてしまう。マッツは自軍のクリーチャーでコンバットし、Kiyoaggroのライフを18点にした上でターン終了。
8ターン目、Kiyoaggroは《表現の反復》をキャスト。その後、追放した《渦まく知識》をプレイして《表現の反復》と勘違いして処理しかけるという危うい場面はあったもののターン終了。マッツはアップキープに《霧深い雨林》から《冠雪の島》をサーチ。《極楽鳥》を展開し、クリーチャーでコンバットしKiyoaggroのライフを16点にしてターン終了。
9ターン目、Kiyoaggroは《汚染された三角州》から《Volcanic Island》をサーチ。2マナ払い、墓地の《渦まく知識》《目くらまし》《汚染された三角州》《霧深い雨林》《溢れかえる岸辺》を追放し、5/5の状態で《濁浪の執政》を展開する。マッツはこれに《剣を鋤に》を当てながらターンをもらう。マッツのターン、《虹色の眺望》をセットしコンバット。Kiyoaggroのライフは18点に。
10ターン目、Kiyoaggroは《渦まく知識》を唱え、《ドラゴンの怒りの媒介者》《秘密を掘り下げる者》を展開しターン終了。マッツは《虹色の眺望》から《冠雪の沼》をサーチし、《洞窟のハーピー》を展開するが、これも《紅蓮破》される。その後、《虹色の終焉》を《ドラゴンの怒りの媒介者》を撃ち込み、《護衛募集員》でコンバット。Kiyoaggroのライフは17点に。
11ターン目、《樹木茂る山麓》をセットし、1マナ払い《祭典壊し》をプレイ。タフネス1しかいないマッツの盤面をキレイに掃除する。《秘密を掘り下げる者》でコンバットしてマッツのライフを13点に追い込む。そして、2マナ払い、《祭典壊し》《稲妻》《紅蓮破》《渦まく知識》《思案》を追放し、8/8サイズの《濁浪の執政》を展開。状況を逆転させターンを渡す。マッツのターン、ひとまずは《剣を鋤に》で《濁浪の執政》を処理しターン終了。
12ターン目、アップキープに《秘密を掘り下げる者》でライブラリートップを確認したのち、《樹木茂る山麓》から《山》をサーチ。《秘密を掘り下げる者》でマッツを殴りつけた後、そして更に3マナ払い、《渦まく知識》《紅蓮破》《表現の反復》《思案》を追放し、7/7の《濁浪の執政》を展開する。対処が尽きたマッツはここで投了。2ゲーム目は《濁浪の執政》を連打したKiyoaggroが勝利をつかんだ。
Kiyoaggro1ーマッツ1
■Game 3
マッツ先手で最終ゲームスタート。まず1ターン目、マッツは《冠雪の森》から《花の絨毯》を展開。流石にこれはKiyoaggroが《渦まく知識》を追放し《意志の力》で対応する。Kiyoaggroのターン、《沸騰する小湖》から《Volcanic Island》をサーチして《秘密を掘り下げる者》を展開してターン終了。
2ターン目、マッツは《冠雪の島》をセットしてターン終了。Kiyoaggroのターン、《秘密を掘り下げる者》はひっくり返らず《沸騰する小湖》をセットして《秘密を掘り下げる者》でコンバット。これに対しマッツは《氷牙のコアトル》を展開するが、これは《稲妻》で処理される。マッツのライフが19点に。その後、《沸騰する小湖》から《Volcanic Island》をサーチし、2体目の《秘密を掘り下げる者》を展開してターン終了。
3ターン目、マッツは《吹きさらしの荒野》から《冠雪の森》をサーチし《忍耐》を展開。Kiyoaggroの墓地を吹き飛ばしてゴー。Kiyoaggroのターン、ライブラリートップは《意志の力》。2体の《秘密を掘り下げる者》が《昆虫の逸脱者》へと変身するが、3/4到達を持つ《忍耐》に手も足も出ず、ここはターンを回す。
4ターン目、マッツはまず《渦まく知識》をキャスト。その後、《霧深い雨林》をセットしてターン終了。Kiyoaggroのターン、《表現の反復》を唱えるが、身動きが取れず、ターンを終了する。
5ターン目、マッツは《冠雪の平地》をセットし、《護衛募集員》をプレイ。《氷牙のコアトル》をサーチ。そのまま《霧深い雨林》から《冠雪の島》をサーチし、《思案》を唱える。ライブラリートップを確認した後にシャッフルしてゴー。Kiyoaggroのターン、再度《表現の反復》を唱え、追放した《霧深い雨林》をセット。更に《ミシュラのガラクタ》でライブラリートップを確認し、《霧深い雨林》から《Volcanic Island》をサーチしてターン終了。
6ターン目、マッツは《新緑の地下墓地》をセットし、即時起動して《冠雪の沼》をサーチ。そのあと《生ける願い》から《トレストの使者、レオヴォルド》を持ってきてそのまま展開。Kiyoaggroは対応して《渦まく知識》をキャストしたのち、《目くらまし》を追放し《意志の力》で対処。Kiyoaggroは自身のターンに3マナ払い《狂乱の呪詛》を展開。これに対応ししマッツは《剣を鋤に》で《昆虫の逸脱者》を処理していく。
7ターン目、マッツは《花の絨毯》を展開するが、これに《狂乱の呪詛》が反応。サイコロの目は2。その後、マナを一気に供給し、《氷牙のコアトル》を展開してライブラリーを掘り進めていく。更に余ったマナを使い《空を放浪するもの、ヨーリオン》を手札に加えてターン終了。
Kiyoaggroのターン、《ドラゴンの怒りの媒介者》を展開し、《思案》をキャスト。ライブラリートップの《溢れかえる岸辺》を諜報で切削し、ライブラリートップを並べ替えてドロー。更にもう一度《思案》を唱え、ライブラリートップの《渦まく知識》を切削し、シャッフルしてドロー。
8ターン目、マッツは手札に加えた《空を放浪するもの、ヨーリオン》を展開。場にいるクリーチャーをブリンクしていく。《氷牙のコアトル》でドローし、《護衛募集員》で《氷牙のコアトル》をサーチし、さらに《忍耐》でKiyoaggroの墓地を吹き飛ばし、ターンをKiyoaggroへ。Kiyoaggroのターン、《表現の反復》を唱え、2体目の《ドラゴンの怒りの媒介者》を展開してマッツにターンを返す。エンドステップにマッツは2体目の《氷牙のコアトル》を展開しドロー。
9ターン目、マッツはそのままターンを返す。Kiyoaggroのターン、なんと2枚目の《狂乱の呪詛》を展開。一気にマッツに圧をかけていく。マッツは対応して《渦まく知識》を撃つが、1枚目の《狂乱の呪詛》が誘発し、マッツに6点のダメージを与えていく。マッツのライフは8点に。更にKiyoaggroは《ミシュラのガラクタ》を展開。諜報でライブラリートップの《祭典壊し》を墓地に落とし、ターン終了。
そして10ターン目、マッツは4マナ払い、《魔の魅惑》をプレイ。だが、ここに容赦なく2枚の《狂乱の呪詛》が突き刺さる。運命のダイスロール。出目は…「1」と「2」。ライフを5点に減らしながらも、キーパーツが盤面に着地する。更に、《自然の怒りのタイタン、ウーロ》を展開。先ほど失ったライフを取り戻し、きれいに持ち直す。
ここで、「アルーレン」デッキの勝ち筋について詳しく説明しよう。このままだと《自然の怒りのタイタン、ウーロ》は自壊してしまい墓地に行ってしまうのだが、そこにスタックし《魔の魅惑》の能力で瞬速がついた《洞窟のハーピー》を展開。自身の能力で《自然の怒りのタイタン、ウーロ》を手札に戻し、再度手札から展開。更に自壊能力にスタックして《洞窟のハーピー》自身を能力で手札に戻して再度展開し…というループを構築。ありったけのライフと手札を稼ぎ、残りのコンボパーツを探してトドメという流れである。
つまり、マッツの脳裏にはこういう考えがあったはずである。
「インスタントタイミングで《洞窟のハーピー》を唱える必要がある。手札に《洞窟のハーピー》がない場合は、《自然の怒りのタイタン、ウーロ》の能力にスタックして何かドロースペルを唱える必要がある。」
実は自壊させたのち、脱出コストで再度《自然の怒りのタイタン、ウーロ》を唱えてライフを安全圏に持ち込むという選択肢もあるのだが、この時点で時間切れであり、追加の最終ターンをやっていたということも、彼の焦りを駆り立ててしまったのだろう。
マッツは《自然の怒りのタイタン、ウーロ》の自壊能力にスタックして《渦まく知識》をキャスト。対応して《狂乱の呪詛》が誘発。マッツのライフは8、死ぬ確率は40%ほど。先の賭けではうまく切り抜けてた。今回も大丈夫だろう。そういう思いがあったのだろうか。
…だが、「柳の下のドジョウ」という言葉があるように、1度おいしい思いをしたからと言って、それが2度あるとは限らない。
サイコロの出目は「4」と「6」。大きな賭けに出たマッツは、大きな火に焼かれることとなった。
Kiyoaggro2ーマッツ1
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