見出し画像

ガバ部40ドル統率者通信 ④死に微笑むもの、アリーシャ

1.はじめに

「統率者戦」と聞いたら何を連想するだろうか。

「4人で遊ぶボードゲーム」、「自分の好きなカードの品評会」、「度し難い性癖の発露」などなど、色々な側面があるだろうが、統率者戦にはこのような側面もあることは周知の事実だろう。

画像1

そう、コンボによる勝利である。

特定のカードを「統率者領域」に常駐させることが出来るこの環境では、統率者と相性のいいカードをあらかじめデッキに用意しておき、サーチ手段などの様々な手段で用意し、一気にコンボを決めて勝つという戦法も可能になっている。

コンボ戦略もまた統率者戦の華であることは言うまでもない。今日もまた、統率者と相性のいいコンボパーツを紹介する様々な情報が各サイトや記事で生まれていることだろう。

…ただ、これが40ドル統率者構築だとどうなるだろうか?

画像2

結論から言うと、かなり厳しそうである。例えばコンボパーツを探してくる、いわゆる「教示者」と呼ばれる呪文の値段を見てみると、どれも軒並み20ドル超。下手をすると100ドル以上するものも存在する。こんなんデッキに突っ込んでいるようでは「デッキの価格を40ドル以下に抑える」ということは達成できないだろう。

しかし、「無理そう」と決めつけるとそのハードルを越えてくる輩がいることは、すでに前回の記事で証明済みである。そう、今回もまた、そのハードルを軽々とクリアしてきたガバ部部員が一人現れたのである。

それではご紹介しよう。こちらが彼がこのハードルを越えるために用意した統率者である。

画像3

死に微笑むもの、アリーシャ》(画像クリックで能力の詳細が出ます)

デッキリストは下のリンクから参照願いたい(MTGGoldfishのページへ飛びます)

さて、さっそくどういう構築になっているのか確認したのだが、筆者がそもそもコンボ込々のデッキになれていないのと、あまりにも独特な構築だったので、解説のしようがない。

無理やり変に解説したらフレーバーテキストのごとく「死を迎えよ」と言われるかもしれないので、ここは例のごとく、作った本人に事情を伺った方が一番わかりやすいだろう。

というわけで、このデッキを使った「けんだま」氏にインタビューしようと思う。氏は競技MTGの最前線で活躍されるプレイヤーであり、筆者が知る限りでも数々のグランプリ(現マジックフェスタ)で上位に残るなど華々しい成績を収めている。中でもレガシーに対する造詣が深く、筆者やガバ部部員らをレガシーに誘ったのがこのけんだま氏である。

正直こんな「ガバ部」というとんでもない名前のコミュニティに参加していただいていることに申し訳なさしか感じていない。

それではインタビュー開始だ!

2.なぜこの統率者を選んだんですか?

まず、今回のデッキを組むにあたり、以下のようなデッキを組みたい思いがありました。

・3色の統率者を使いたい
・無限コンボを決めたい

確かに、よく言われるように、一部のコンボパーツやコンボパーツを探すためのサーチカードは高額なものが多いです。しかし、調べてみたところ、クリーチャーを主軸としたコンボパーツは、そこまで値段が高くないことに気が付きました。

そこで今回は、クリーチャーコンボを主軸とした3色の統率者を使用することにしたのです。

画像4

色々調べましたが、この条件に合致するものは上の《死に微笑むもの、アリーシャ》以外にも、《冒涜されたもの、ヤロク》も候補に挙がりました。誘発型能力を追加で誘発させられるため、こちらもクリーチャーコンボを決めに行く上でうってつけの能力を持っています。

しかし、《冒涜されたもの、ヤロク》と相性のいいコンボパーツを探したところ、どれも比較的高額なものが多かったのです。統率者戦において緑と青、そして黒は人気の高い色のため、需要が高く、そのため値段も高くなってしまうのかもしれません。

一方の《死に微笑むもの、アリーシャ》に関しては、コンボパーツが比較的安価で数がそろえられそうでした。更に、コンボパーツを多数搭載しても、デッキとして破綻しないだろうと判断したので、今回はこちらを採用することとしました。機会があれば今後《冒涜されたもの、ヤロク》にもチャレンジしてみたいですね。

3.構築で注意した点はありますか?

死に微笑むもの、アリーシャは自身の能力で攻撃時、墓地からパワーが2以下のカードを戻すことが出来ます。これに注目し、「墓地を利用するカード」および「パワーが2以下のクリーチャー」を主軸としたコンボデッキを組むことにしました。

例えば、上記の条件に一致したコンボはこういうものが考えられるでしょう。

①《悪鬼の狩人》+《霊体の先達》+生贄にささげる手段

画像6

画像7

霊体の先達》を出して墓地にある《悪鬼の狩人》を回収し、戦場にある《霊体の先達》を追放。しかる後に《悪鬼の狩人》を生贄にささげれば、《霊体の先達》が戦場に戻り、墓地に行った《悪鬼の狩人》を回収…と、要は無限生贄コンボが出来る組み合わせです。

画像8

例えば、《狂気の祭壇》が戦場にあれば延々とこの起動型能力を起動し続けて、全員のライブラリーを全て削り切ることが出来るでしょう。

画像12

また、《悪鬼の狩人》の代わりに《目覚ましヒバリ》を用いても同様のコンボが可能となります。

②《残忍なレッドキャップ》+《族樹の精霊、アナフェンザ》+生贄にささげる手段

画像9

画像10

こちらは頑強が誘発する際に乗る‐1/-1カウンターを帳消しにするテクニック、通称「無限頑強」を利用したコンボです。

こちらは上の《悪鬼の狩人》+《霊体の先達》の組み合わせと異なり、《残忍なレッドキャップ》の能力でダメージを飛ばすことが出来るので、生贄手段は勝ちに直結するものでなくていいという利点があります。

また、コンボパーツをどのように安定して供給するか、また、仮にコンボパーツを除去されてもどういう風にリカバリーをするかも考えています。

画像5

例えば《グレイブディガー》、これは墓地のクリーチャーを手札に戻すことが出来るパワー2のクリーチャーです。仮にコンボパーツを除去されたとしても、このカードで墓地から回収することが可能となります。

画像12

他にも《死体の鑑定人》を採用。これは言ってしまえばクリーチャー限定の《納墓》です。先にも述べたように、墓地を経由するコンボが主軸なのと、墓地から《死に微笑むもの、アリーシャ》を経由して戦場に戻せられるので、貴重なサーチ手段と言えるでしょう。安いですし。

4.このデッキの魅力を教えてください

なんといっても、安定してコンボまで到達できるということでしょう。上で紹介した以外にも種々様々なコンボルートを搭載し、かつ、それらが様々な妨害手段を潜り抜けて安定して運用できる構成になっています。

「コンボで勝つ統率者デッキを使ってみたい」と思っている人には格好のスターターデッキなのではないでしょうか?

画像13

また、場に出たときにカードを引けるクリーチャーが一定数搭載されており、見た目以上に経戦能力が高いのも魅力の一つでしょう。統率者に指定した《死に微笑むもの、アリーシャ》のマナが軽いのもポイントです。

画像14

更に、場に出たときにクリーチャーを除去できるクリーチャーも一定数搭載されており、相手の危険なクリーチャーににらみを利かせながらゲームを進めることもできます。パワーが2以下なので、《死に微笑むもの、アリーシャ》で再利用できるのも大きいですね。

画像15

ダメ押しですべてを消し飛ばす《破滅の根本原理》も採用しています。撃てば気持ちいいこの呪文、是非皆様もこの快感を味わってほしいですね。僕はこれで相手の無限コンボを1つ粉砕しました。

5.おわりに

氏は更にこう続ける。

「皆様誤解しているかもしれませんが、40ドルという予算でデッキを組むことはそこまで厳しい縛りではありません。それこそ、様々なカードを利用できるので、デッキを組むのが好きな人にはたまらない環境でしょう。」

「また、40ドル統率者は時価です。昨日あなたが使おうと思っていたカードが、翌朝目を覚ますと値段が高騰し、使用不可になっている可能性も存在します。思い立ったが吉日、組みたいと思ったときにときに組みましょう!僕のデッキも今46ドルですが、組んだ時は40ドルだったのでセーフです。(※ガバ部ハウスルール準拠)」

そう楽しそうに語るけんだま氏。聞けば本人はデッキを組むのが大好きなそうで、40ドル統率者デッキがすでに4つも出来上がっているとのことである。このデッキも、実は氏が2つ目に組んだデッキだったりする。

画面の前の読者の方で興味がある方は、是非挑戦してみてはいかがだろうか。

それでは皆様、よき統率者ライフを!

よかったらサポートして頂けると幸いです。MTGアリーナの活動などに充てたいと思います。