銀河鉄道の思い出

彼とはもう何度も
銀河鉄道には乗った
一緒に銀河を旅したよ

とても静かな旅だ、いつも

彼とは一緒とは言っても
基本的に同じ車両内で
少し離れて座っている

彼の存在が肩越しに確認できる距離で

最初の頃は
ジョバンニとカンパネルラのように
向かい合って座っていた

でも、彼は僕の方で投げかけた言葉を
返してはくれないんだ
僕の方だけが一生懸命に喋っている感じだ
身振り手振りを交えながらね

彼の生来持った気質もあるかとは思う
ただ、彼の心の内として
話してはいけないような気持になるのも解る気がする

だって彼は
よその乗客たちとは違って
銀河鉄道の持つ本当の意味を握っているのだからね

まあでも僕は、いつも決まって途中の駅で降りて
引き返してしまう訳だから
後の事は
地上に戻って確認するしかないんだ

今度は一体いつ
銀河鉄道は、
と言うよりも
彼の乗った列車は
此処へ迎えに来てくれるのだろうか
さて、さて


拙作 ポエム 2013.9.7 脱稿  新井昌広