【詩】ご時世

毎朝六時に鳴るお寺の鐘が
たまに聞こえないことがあると
住職は愛人宅にいるのかなと
一応疑ってみるご時世です

近所に住んでるお年寄りの姿を
二、三日見かけなかったら
死んだのではないのかと
自然に思うご時世です

昔からある街の本屋が
何日か休んでいたりしたら
きっと万引きに潰されたんだと
確信してしまうご時世です

毎週読んでいるマンガが
何週間か休載したら
きっと才能が涸れたのだろうと
物知り顔で言うご時世です

何とか大臣の首が
突然すげ替わったりしたら
どういう失言したのだろうかと
ネットで調べてみるご時世です

前を行く車が
ノロノロノロノロ走っていたら
きっとスマホいじってるんだと
素直に思うご時世です

隣を走っている車が
突然割り込んできたら
きっと酒気帯びなんだと
本気に思うご時世です