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【詩風】第1号

白いボールは風に乗り、
どこまでもどこまでも
飛んでいった。
その行方を目で追いながら、
ダイヤモンドを必死にぼくは、
駆けた、駆けた、駆けた。

一塁を回り、二塁を回る。
このまま一気にホームを駆け抜けろ。
と思っていたら、
三塁にかかったところで、
外野がボールに追いついた。
どこまでも飛んだはずの白いボールは、
スタンドまでは届いてなかった。
外野はホームに向かって投げ返した。
素人とはいえ強肩男。
間に合うかどうかわからない。
だけどたかが草野球、
えーい行っちゃえ。

ぼくはホームを目指した。
捕手は行く手を塞いだ。
ボールが返ってきた。
ベースが見えた。
足がもつれた。
前にのめった。
そのまま倒れた。
捕手がタッチ…。
万事休す。
と思っていたら、
セーフ、セーフの大コール。

足のもつれがラッキーで、
のめったのがラッキーで、
倒れた場所がラッキーで、
ラッキーの三位一体が、
捕手のタッチをかいくぐり、
第1号のホームラン。
後にも先にもこれだけだった。
生涯唯一のホームランだ。

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