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「ヤカー」コレクション・トルクメニスタンのドレス刺繍

トルクメニスタンの民族衣装を見たことがありますか。コイネック(köýnek)と呼ばれ、男性の場合は白いシャツ、女性の場合は首元に刺繍の入ったワンピースのようなロングドレスを指します。こちらは男性のコイネックです。

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特に女性の場合は種類も豊富で現在でも普段着として、またフォーマルな衣装として着られています。昔早稲田大学に留学していた友人の奥さんはコイネックしか着たことのない人だったので、日本でもコイネックを着て生活していたので、よく警察に声をかけられたそうです(それもおかしな話だが)。それほどトルクメン人の生活になじんでいるということです。

大学の制服にも赤いコイネックが使用されています。

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女性のコイネックは基本的にはヤカー(ýaka)と呼ばれる襟元の刺繍とドレスの布の2つの部分からなっています。ヤカーと布の無限の組み合わせによってトルクメン女性のおしゃれは成り立っているのです。

【ここでワンポントテュルク語解説】
ヤカーとは直訳すると「襟」のことで、トルコ語でも同じようにyaka、カザフ語でもжаға(jağa)、トゥバ語ではчага(čaga)、そしてヤクート語とも呼ばれるサハ語の言語名にもなっているсаха(saha)も同じ語から来ており、テュルク諸語内での音韻体系がきれいに表れている語です。

ヤカーは以前は手縫いでしたが、刺繍というのは膨大な時間がかかります。今では日常使いのドレスのほとんどが人工のヤカー、つまり、全自動のミシンによるものです。このミシンというのに我らがジャノメミシンが使われており、男性ならトヨタ、女性ならジャノメというように、日本の製品はトルクメニスタンでも有名です。

ヤカーと布を選んだら今度はドレスを縫っていくのですが、もともとは家庭で縫っていたものが、今はティキンチ(tikinçi)と呼ばれる裁縫屋さんにお願いするのがスタンダードで、街のいたるところにティキンチがあります。値段も安価で、利用しやすいのですが、期日を守らなかったり、忘れてしまう人が多いので、コントロールするのが大変です。縫うのが上手で、期日を守ってくれる相性のいいティキンチを何人か抱えておく必要があります。

ソ連の名残なのか、特急料金というシステムがあるので、実は短期滞在の旅行中でも作ってもらうことが出来ます。妻の友人がトルクメニスタンに来た時には毎回特急で作ってもらっていました。ヤカーも布もバザールで買えますので、あなたも旅の思い出にコイネックを仕立ててみてはいかがですか。(男性のものは既製品をバザールで購入することができます。)

以下、我が家で所有している(所有していた)のヤカーコレクションの一部です。(細部が見えやすいように大きな写真にしています。)刺繍の意味が分かる人などいましたら教えてくださいね(トルクメニスタンで調べてくればよかった)。

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そしてこれらは自慢の一品。現在なかなか手に入らない手縫いのヤカーです。トルクメン人の月収の3分の1くらいの値段がします。

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手縫いヤカーの一枚を使って仕立ててもらった妻のコイネックがこちら。美しいですね。

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おそろいの記事のバービー人形を見つけたのでこちらも購入しました。うちの玄関にいます(笑)

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