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私とアラビア語

言語学習は私の趣味であり、言語学の勉強にもなるというライフワークのようなものですが、これほど何度も挑戦して続かなかった言語はありません。大学生のころから何度もかじっては止め、かじっては止めを繰り返してきました。

最初は大学のころ、必ずトルコ語と併せて操れるようになりたいと思っていた言語でした。アラビア語はトルコ語(オスマン語)に大きな影響を与えた言語ですから、トルコ語の勉強にもなると思いました。次はトルコ留学中、同居人がシリア人であったことから再燃し、日本よりもアラビア語教材が豊富なトルコでたくさんの教材を買いあさりました。その次は留学から帰国した後にまた別のシリア人の友人ができてやる気を出すも、長続きしませんでした(悲しい)。最後は大学院でもシーシャ仲間のエジプト人ができて、今度こそと思いましたが習得せず今に至ります(上達法募集)。

アラビア文字の習得にはそれほど時間はかかりませんでした。初めて触れたアラビア文字の言語は新ウイグル語でしたが、母音を全て書くというシステムを除けば基本は同じようにできています。

しかし早く読むのはなかなか難しいのです。大学の4年生のときに副専攻のネイティブの授業を週に二時間取っていたのですが、日本語も英語もあまりできないカイロ大学の先生でした。訳はあらかじめ英語で書いてあるプリントを配布してくださったのですが、授業の中心は超高速音読でした。カウベルのような楽器を特定のリズムで叩きながらひたすら文を暗記するのです。私にとってはその授業が苦痛で、先生ともコミュニケーションも取れなかったので半期でやめてしまいました。それでもあの時に覚えた文は今でも覚えているので、続けていればよかったのかもしれません。

発音は母音が少ない代わりに子音は日本語にないものが多く、喉の後ろの方まで広く使って発音しなければなりません。もし将来子どもが生まれたら子音代表のメジャー言語として、アラビア語かコーカサスの言語でも聞かせて育てようと思っています。

アラビア語はよく難しい言語だと称されますが、多くの人の母語と異なる特徴を持っているという点では共感できます。文字を覚えても単語を覚えなければ母音記号(ハラカ)なしでは読めませんし、活用や曲用も途中の母音が変わったり、姓や数も多く複雑です。やはり昔の言語であるフスハー(標準アラビア語)を最初に学ぼうとするから文法が複雑で続かないのだと考え、思い切ってCDエクスプレスでエジプト方言を学ぼうとしたことさえもあります(その時も続きませんでしたが)。

共感してくださる方もいらっしゃるかと思うのですが、文字が違うとなぜだか単語も覚えにくいのです。これはロシア語を学ぶときにも同じことを感じました。アラビア文字が私の中で完全に消化されていないせいかもしれません。

イスタンブール留学中(2008年)に、バスで2000円でダマスカスまで行けると聞いて、ふらっと2週間ほど行ったことがあります。妻が乗り物酔いをするという話の時にも書きましたが、私は長距離バスでも飛行機でもどこでも寝れるやつなので、ダマスカスまでの32時間もほとんど寝て過ごしました。起きていたのは降りてトイレに行ったときくらいです。

そんなアラビア語を全く身に付けられなかった私ですが、シリアではトルコ語の知識で結構サバイバル会話が通じました。あいさつではselam、会計の時にはhesap、街の中心地に行きたければmerkezとアラビア語っぽく言い、さまざまな場所で活かすことができました。トルコ語でアラビア語の語彙と言えば概念的な語彙も多いため、突然やたら難しい語を知っていたりして友人たちを驚かせています。

身に付いていないのに紹介するのもおこがましいですが、私が使ってきた学習書中で一番よかったものはアラビア書道で有名な本田孝一先生の教材でした。アラビア語は辞書を引くのに時間がかかると言われますので、その前にこちらで扱われている基礎的な語を覚えれば良いと思います。

もちろん外大のこちらの教材も所有しています。それぞれの文法はやはり上の者よりも詳しいです。高校の英語の参考書のノリで勉強できます。

最近阪大で出版されたアラビア語の教材は評判が良さそうなので、気になっていますがまだ手にはできていません。

今回はイスラム圏のテュルク語とは切っても切り離せないアラビア語のお話でした。私と一緒に抜け出せないアラビア語スパイラルに入っては見ませんか(笑)