見出し画像

日記「鍋」

ドム(私の配偶者)は鍋料理が大好きです。
この冬は何回鍋をしたかわからないくらい。
毎日鍋でも喜ぶし、スープの味を変えたものなら毎度新鮮にびっくりして美味いと言ってくれます。


とはいえ流石に最近はあったかいのであまり作っていません。
そんなこんなで、2〜3ヶ月ほど鍋断ちをしているドムが、最近不思議なことを言うように…


ある日、キャベツと豚肉の炒め物を晩ごはんに出したんです。
本当にもなんの捻りもなく、ニンニクと生姜と塩胡椒くらいの味付けで、炒めたやつ。
小さい時、祖母が春キャベツで作ってくれた、なもなき家庭料理です。

時を経て、我が家の食卓に初登場したその豚キャベツ炒めを見てドムが一言

「鍋だ!」


??
聞き間違いではなく。
私こだわりのちょいおこげをつけた豚とキャベツが平皿に盛られた様子をみて彼が放った言葉は、まるで薬物を断ち幻覚が見えてしまった人が発するそれのようでした。


鍋じゃないよ
と、一応言ってみたけれど。「やったー、鍋だ!」の一点張り。
どうやら、喜んでいる様子。料理への褒め言葉として使っているようです。


そこでふと思い出したんですが。
私はこの冬、あまりにも鍋をリクエストされていたので作るのにも飽きてしまい
この際どこまで適当な鍋を出したらがっかりするのか、ドムの鍋限界点を探っていた節がありました。

一つずつ具を減らして、最終的に「肉+葉物+キノコ」まで減らしたのですがそれでもドムは喜んでいて、ついに私の方が、これ以上シンプルな晩ごはんは嫌だと根負けしまして。
2月ごろは、そんな3具の超シンプル鍋に落ち着き、何度も何度も食べていました。

そろそろお察しだと思います。
そうです。
キャベツと豚(としめじ)の入ったしょうが鍋を何度か作ったんです。

もちろん、その時も、ドムは喜んで食べていて。おそらくその時の記憶と繋がって、今日の「(これは実質)鍋だ!」発言が生まれたんだと理解しました。

そんなことが起きてからよくよく観察してみると
・適当に野菜と肉などを入れたパスタ
・具が多い味噌汁
・冷蔵庫にあるものを適当に炒めたやつ
などなど、他の料理にも「鍋だ!」発言が見受けられ、日に日にその言葉は広義に拡張されていく模様。
(上記の条件を満たしていても、トマトパスタとか、回鍋肉とかなんとなく料理名が明らかな時には出ないので、目の前にある料理の料理名がわからない時に出るのかも)


鍋への気持ちが抑えきれないのか、はたまた料理に関する語彙が終わっているのかは判断しかねますが
とにかく、家のご飯を喜んで食べてくれているのは確かなはず。

どんなに適当な料理でもなんとなく喜んで食べてくれるドムの家庭料理へのハードルの低さには
今日もこれからも感謝していこうと思いました。

いただいたサポートは、写真集や画集などの資料購入に宛てさせていただきます。