2020年のIT業界で働く人に読んでほしい10冊
Twitterでは定期的に読んだ本を紹介している。
そこでnoteでも2020年のIT業界で働く方々におすすめしたい本をまとめてみた。
Twitterや他のnoteはふざけた内容だが、マスク・ド・アナライズの運営方針は「書評だけはガチ」である(ノアファンではないが)。
ここ1年で読んだ中で「役に立つ」「面白い」「仕事に活かせる」「ITに関わる人間に読んでほしい」と思った本であることを保証する。
書評の後にAmazonリンクもあるので、役に立たないAI・データサイエンス本にエサを与えずに、きちんとした書籍にお金を出すことで出版業界に貢献してほしい。
ここからオススメの10冊紹介する。
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誰が音楽をタダにした
音楽業界におけるMP3の誕生というテクノロジー視点、違法アップロードするアングラサイト運営者の視点、既存のCD販売を手掛ける音楽業界の視点を丁寧に追ったルポ。
意外なのがMP3の業界標準をめぐる政治闘争であり、エンジニアであろうとも人間が関わると洋の東西を問わず揉めごとになる避けられない。
今でこそ音楽といえばネット配信やストリーミングが主流だが、MP3の誕生によるデジタル化がいかに業界への影響を与えて、既存のCD販売というビジネスが技術の変化に抗えなかったかがよくわかる。
音楽産業は変わっても、音楽は変わらずに残る本質について考えさせされる。
もっとも本国では倒産したタワーレコードが渋谷の一等地で元気に営業しており、握手券・投票券がセットになったCDがそれなりに売れている日本は状況も変わってくるのだが。
データ戦略と法律 攻めのビジネスQ&A
2019年ではリクルートが新卒内定辞退における不適切なデータ利用が話題になったが、それ以前から様々な企業や事例で指摘されているのが現実である。
データを金に変える方法はいくらでもあるが、法律や倫理や世論が整備されていないので萎縮する面もある。
それを言い訳にデータを集めるばかりで、有効活用に至らず金儲けが出来なければ、チームや部署が解散という憂き目に遭う(2019年のよくある光景)。
世間で言われる「GAFAに負けないリアルデータ」も、戦略と法律を考慮しているのか、あるいはコンサルの入れ知恵による猿真似かはわからないが。
本書だけでなく様々な形でデータの取り扱いを学んでほしいものである。
ピクサー流 創造するちから
産業界においてAI人材の確保は叫ばれるものの、人集めばかりで、能力を発揮する環境づくりは軽視されている。
ソフトウェア開発で重要なのは各々の能力をいかに発揮させるかであり、ピクサーのような創造性を発揮できる環境づくりが参考になる。
社員の才能を見つけて、伸ばして、活かすために何をしてきたのかを参考にしてほしい。
製造業における品質・納期・数を管理する「マネジメント」をそのままIT業界にコピペしている組織は、本書を256回読んで何も言わずにエンジニアのメモリを増やしてほしい。
好きなことをやっている人間は信じられないぐらい能力を発揮するはずなのに、なぜITエンジニアが死んだ魚みたいな目で働いているかを考えるべきだ。
技術者たちの敗戦
今回紹介する中で唯一、現代のIT業界ではなく太平洋戦争末期の旧日本軍における技術者を扱った書籍である。
敵であるアメリカには質量ともに劣り、同盟国であるドイツからの技術供与にも限界がある。
資源もない、人もいない、技術も足りないという絶望的な状況で技術者達は奮闘するが、本当の敵は身内だった。
戦局を変えるべく生み出された技術は、理解のない軍上層部によってその価値を失っていく。
そして戦争末期では技術を活かす兵器を製造することもままならかった。
こうした技術が戦後において民間に転用されたことが、唯一の救いだろうか。
現代でも、経営者がDXにおける現場軽視と楽観論に明け暮れて、現場のエンジニアが頭を抱えているのだが、多分気のせいだと思いたい。
NOKIA 復活の軌跡
携帯電話において、世界を席巻した「NOKIA」は絶対的なブランドであった。
そしてスマートフォンの登場により、NOKIAは時代の寵児から過去の遺物に成り果てた。
幹部が見た社内はスマホの脅威を軽視し、既存のビジネスにしがみつき、恐竜的な進化を遂げた組織は変化に気付かず変化を拒んでいた。
スマホに対抗すべく発表された新製品も、既存製品におけるソフトウェアの負の遺産によって完成度は低く、まともな製品をリリースした頃には僅かなシェアしか残っていなかった。
短期間での凋落から、ネットワーク機器による復活と転身のストーリーは対岸の火事ではない。
同様に既存技術を別分野に展開して成功した富士フィルムと、既存製品に固執して失敗したシャープを比較するのも面白いだろう。
NETFLIX コンテンツ帝国の野望
いまや動画配信サービスの先駆けなイメージの同社だが、創業事業はオンラインレンタルDVDであった。
当時全米に展開していた店舗型レンタルビデオのブロックバスターを、Netflixがあっという間に駆逐……したわけではない。
何度も資金ショート寸前になりながら、首の皮一枚で生き延びてきた。
豊富な資金と店舗網により、ブロックバスターをオンラインレンタル事業で真っ向勝負を挑めば、スタートアップのNetflixが勝てる見込みなどなかった。
絶望的な状況でNetflixが勝ち残った理由は、ある男の存在だった。
その行く末を本書で見届けてほしい。
NEVER LOST AGAIN グーグルマップ誕生
NOKIAとNetflixに続いて、なぜかNの本が続いているが、ただの偶然である(そういえばNECのリストラ本は見なかった)。
天才プログラマーによる起業、何度も迎えた倒産危機、エンジニアたちの奮闘とベンチャーキャピタルや取引先とのやり取りが事細かに描写される。
ムーンショットと地図事業は買収を経て「グーグルマップ」として世に広まった。
そのGoogleで繰り広げられたのは、マリッサ・メイヤー(後のYahoo!CEO)を中心とした傲慢な社内政治であったことは興味深い。
辟易した彼らが選んだのは新たな挑戦であり、誕生したのはナイアンテックである。
あの「ポケモンGO」を開発した会社だ。
システムインテグレーション再生の戦略
何年も前から言われる「SIer崩壊」だが、2020年になっても崩壊する兆しは一向に見えてこない。
産業としてのSIerが廃れることは無いが、職業としていつまでSIerで働くつもりだろうか?
定年まで御用聞きと人の手配で稼ぐ覚悟がない人は、本書を読んで逃げる準備をおすすめしたい。
ユーザー視点でも、従来のように業務システムを1から開発して改修から運用まで丸投げするのは限界に近づいているので、早々に考えを改めたほうがいい。
ソフトウェア・ファースト
IT業界ではなくITに関わる人に読んでほしい。
つまりはあらゆるビジネスに従事する人々が該当するので、いまやソフトウェアを抜きにして仕事ができないことを認識してほしい。
その上で仕事にソフトウェアをどう活かすのか?ソフトウェアの重要性がどれだけ高まっているかを本書を読んで知るべきである。
従来の「システムは外注周任せ」「プログラムは誰が開発しても同じ」という思想がとっくに時代遅れになっていることを産業人が理解しなければ、我々は永遠に電話とFAXと書類の呪縛から逃れられない。
【まとめ】2020年で絶対に読むべき1冊とは?
ここまで9冊の2020年に読むべき本を紹介した。
では最後に2020年に絶対読むべき1冊を挙げたい。
栄えある1冊は「これからのデータサイエンスビジネス」に決定!
Amaz0nレビューでも大絶賛の嵐!
これは迷わず購入!買わない奴は2020年のAI失業は避けられない!
購入者には、マスク・ド・アナライズによるサインとツーショット写真をプレゼントするので、イベントなどでご持参ください。
なお、「2019年に読んだ役に立たないAI本10選」は大人の事情で闇に葬られました。
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