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名古屋でのタクシー乗車拒否約款の認可


マスク未着用での「タクシー乗車拒否」をめぐって、10月19日にAbema Primeさんに出演させて頂き、私は乗車拒否反対の立場から意見を述べました。

当初、変更申請を行っていた首都圏のタクシー会社のマスク乗車拒否約款が11月に認可されたのに続いて、大阪・名古屋のタクシー会社が横並びで追随し認可されることになりました。今一度、交通機関でのマスク未着用者の利用制限について反対を表明します。

見解は以下の通りです。

・私は、タクシーのマスク乗車拒否の約款についてはあくまでも反対の立場

理由としては、
・タクシーも、公共性のある乗り物だから乗車拒否すべきでない。
・タクシーでないと行けない場所や、タクシーでないと移動できない人もいる。他の交通手段に対する「補完的役割」が大きく、社会的に重要な役割を担っている
・義務化するならば、例外規定を広く遍く認めて未着用者に配慮すべき。
・「正当な理由」の有無で判断する場合、その運用を現場任せにせず、事業者(タクシー会社)が責任を持つべき。
・理由の提示の際は、十分にプライバシーに配慮すべき。運転手側の理解も大切。
・現在のように、大多数の不安解消(例えば、マスク未着用者の後の車に乗りたくないクレーム等)のために、少数の個人の権利や自由を制限してよいとする風潮には慎重であるべき。

・なぜ問題が生じたのかについての私見
タクシーではなぜ「お願いベース」で上手くいかなかったのか?これにはタクシー特有の事情があると思う。

お願いが「事実上の義務」として作用するのは、周囲の目と同調圧力が潜在的に存在してこそ。事業者も、義務にして制度化のコストと責任を負うよりも、「お願い」として提示して周囲の同調圧力を使って要請を貫徹する方が低コストだった。
タクシーの場合は、多数からの同調圧力が働きにくいため(周りの目がなく個人又は小グループで乗る)この類の「お願い」が作用せず。
事業者が今まで曖昧にしてきたマスク規定をある程度制度化し規定を整えるのはアリだと思うが、乗車拒否のような過剰な対応は混乱を生むだけで、強く反対。

・国の認可についての意見
タクシー会社の約款申請を国が認可。「一律に乗車拒否を認めるものでない」ことから認可したとのこと。
しかし、理由の提示等をめぐって現場で混乱が生じる可能性がある。マスク未着用をもって「排除」の可能性が生じることになることは遺憾。現場で正しい運用が行われることを望む。
国交省がこれまでの法体系と整合しない例外的乗車拒否を認めることになったのは、法治主義との関係でも問題。成文法との解釈の整合性よりもアドホックな国民感情に靡くことは、長期的には行政機関への信頼性の低下につながる。今回の認可は非常に残念に思う。
今後、大都市圏以外の他のタクシー会社や交通機関に広がる可能性を指摘するものもあるが、交通手段の利用は「移動の自由」の観点からも基本的な社会インフラであることに鑑み、乗車拒否規定の適用には抑制的であるべき。

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