20160219村上隆の五百羅漢図展
森美術館で開催中の、「村上隆の五百羅漢図展」に行った。
平日の昼に関わらず、チケット受付に行列が伸びていて驚いた。
(でも同時開催中のフェルメールとレンブラントの展覧会のお客もその中には何割かいたっぽい)
村上隆の展示を見るのは初めてだった。キャプションに書かれたコンセプトはどれもおもしろかったし、作品自体も完成度が高く、圧倒的な力を持っていた。
むしろ現代アートにおいては、作品はコンセプトに説得力を持たせるためのプレゼンボードのようなもの。
「ニッポン絵合せ」のアイディア合戦はどれもおもしろかった。
歴史を参照しながら、現代の言語(アート)に翻訳していく。
芸術は簡単に例えるなら、「しりとり」みたいなものかもしれない。
ルールはふたつだけ。
「流れを汲むこと」と「重複禁止」。
ラスコーの壁画から脈絡と続く、絵画・アートの歴史の流れを読み、
その中で一度も発せられていない、新しいことばを発言すること。
それが現代のアートなのかもしれない。
でも、その「しりとり」のテンポはどんどん遅くなっていて、
もう「ことば」が出尽くしてしまってゲームが終わってしまうような、そんな閉塞感が漂っている。
それでも、まだ「ん」を言ってしまったわけではない(はずだ)から、
新しいことばを生み出そうと、もがく。
「ひとりの人間」というものが最も強力な、アイデンティティーであり、揺るぎない個性を持っている。
でも自分自身の確固たる本当の個性を自覚することは、自分自身を骨の髄まで見つめることに他ならなくて、虚勢で嘯くことができない相手だけに並大抵のことではないのだ。
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