僕とルークとミアと、マーケットに行った話し②
「うちのママ、ここのマーケットの二階でハーブティーのお店屋さんを手伝っているんだよ!」
「そうなんだ!なんだか観光客や大人ばかりで緊張しちゃうよ。それにさ、普段見たことが無いものばっかり!」
古めかしい道具や食器が並ぶアンティーク市には、パパと一回だけ行ったことがあるけど、ひどく臭くて薄暗かったから怖かったんだ。
そこと比べると、コベントガーデンは明るくてちょっと大人っぽいマーケットだ。
「大きなガラス!ドーム屋根も素敵!」
ミアが両手を広げオーバーに、あぁ美しい空だわ!とふざけるもんだから、アジア人ぽい観光客がぷぷっと笑って何かを言って通り過ぎて行った。
「かわいいって!」
ミアのおばあちゃんは日本人なんだ。
だからミアも少しだけ日本語がわかるみたいだけど、そういうの、なんか憧れるなぁ。
「ねえ、ミア、ふざけてないで案内してよ。」
ミアがキラキラ楽しそうなのは面白いし好きだけど、ルークがつられてはしゃぎ始めちゃうんだよな。
「ほら!あれだよ!グレーの窓枠とグリーンのドアのお店。キャンドルヒューゴってお店だよ。」
へ、へぇ。なんだか大人っぽ過ぎて、おしゃれ過ぎて、恥ずかしくなってきた。
中央階段を一気に駆け上がるミアに、喜んで走り出すルークに強く引っ張られながら階段を一段飛ばしで上りきった。
「ミア!待って!」
「ヘンリー!はやく!ルークも!ここ!ねえ見て!素敵!」
息を切らしながらようやく追い付いた。
窓から中を覗くと、大小様々な薬瓶みたいなガラスにドライフラワーが入っていたり、小さな雫の様なガラスに花びらが入ったペンダント、絹を被せた様な淡いグリーンのキャンドルスタンドに革の小物が飾ってあったり。
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