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奏心声音㉒

夏休みが終わり
彼女の希望に満ちる笑顔が戻る

僕は相変わらず仕事
昼間 ずっと留守番をしてくれていた

初めは手直しをしていた
洗濯たたみも
近頃  店に並べれるのではないかと思える程
綺麗にたためているが
変なこだわりが目立つ
色分けをしたり 裏返しのままのものに関しては
『自分でたたみなさい』
の手紙が添えられている

そんなこだわりも
成長だと捉え 僕は彼女の言うとおりに
はにかみながら 後始末をしている

そして
彼女は今も 色鉛筆を揃えている
何かある度に ご褒美として
1本の色鉛筆を

僕は夏らしく 暖色系のものを選ぶが
彼女の選ぶ色は必ず寒色系

特に青色が多い

通っている画材屋には青だけでも100色以上の色が

海の色 水の色 空の色 風の色

僕には同じにしか見えないこの色に彼女は何を感じているんだろうか

そしてなぜ青なのか

『空が好きなの』
彼女は言う

『空の色で一日が決まるの』
そう続ける

元気 喜び 辛さ 悲しみ 寂しさ
空の色は毎日違うらしい

そんなふうに感じたことが僕にはなかった

そして今  僕は空を見上げて思う

『ご機嫌なようだな』と
照りつける太陽と 澄んだ青い空は
今日も僕にほほ笑みかけてくれている

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