奏心声音⑭

庭のフジバカマがようやく青々としてきた
フジバカマとは山野草の一種であり
ここ最近人気のある花だ
秋の終わり頃に花をつけ出すこの山野草

なぜ人気なのか
そしてなぜ少女がこの花を好むのか

一昨年の夏に少女にせがまれ
山野草がる店に出向いた

『フジバカマって花ありますか』

恐る恐る聞く僕に店員は
かなりの人気で在庫がないと告げられる

ちょうどその頃少女はとあるアニメに没頭していた
どうやらそのアニメに出てくる蝶々が
この山野草に飛んでくるらしい

アサギマダラ

渡り蝶で暖かい場所に移動するとか
色々調べてみるとかなり面白い

東北の方でこのアサギマダラを見つけた人々は
羽にメッセージを書いて飛ばし

移動した先でそのメッセージを受けっとった人が
届きましたといそんなサイトで
アップするとか

どうやら少女もそれがしたいらしいが
残念ながらその年にフジバカマを見つけることはできず
やっとのおもいで去年友人から分けてもらった

そして
いま庭に青々と生い茂っている

少女が毎日水をやり
笑顔という栄養を与えて育てている

きっと
ことし　少女の待ち望んでいたアサギマダラに
会える　　きっと

僕はそう願ってる　少女がその蝶を
キャンパスに描く日が・・・

茶色・・・少しほろ苦い色
でも深く　余韻に浸れる色　　揃えた色鉛筆に
茶色を添えて
少女と蝶の出会いの物語が始まる