ダブルスクール その2
私が叩いた門は、「デザイン科」だった。
所謂、Illustratorやphotoshopなんかを扱う学科で、映画ビジネスと並行する形でフライヤーの作り方や映画プロモーションをデザインの視点から学んだ。
結論から言ってしまえば、専門での日々は、別に楽しくはなかったりする。
ここで、「専門に行けて理想とした日々を歩めて幸せでした…」なんて言えてしまえば、ドラマにでもなるのかもしれないけれど、現実はそう上手くはいかない。
なんて言ったって、覚悟はしていたけれど自分に投資する時間がなくなった。
働く上では、時間がなくなれば、お金が増えるというシステムが確率されるけれど、残念ながら私が歩んだ道は時間とともにお金もなくなった。
そりゃあ、そうだ。
新しいことを始めたのだから、学びと引き換えにお金がなくなる。
当たり前のことだ。
ただ、それを考慮すればするほどに、私の経験は決して楽しいものだったとは言えないであろう。
特に、photoshopなんてものは仲良くなるのに時間がかかった。
指示通りに作業しているはずなのに、まるでうまくいかない。
もう卒業して2年も立つから、今photoshopで作業をしろと言われても、正直忘れてしまっている部分も多い。
そうだ。そういうものなのだ。
残念ながら、あんなに努力して学んでも多くのことを学べば学ぶほどに忘れてしまう。
ダブルスクールというもののデメリットは、ある種そこにあるのかもしれない。
双方で学ぶことが全く違うと、どちらも中途半端になりかねないということ。
ただ、少なからず言えることがひとつ。
それは、別に私はダブルスクールに貯めていたアルバイト代を投資したことに後悔したことは全くなかった。
大変な中でも、学びたいことを学べるだけで変に達成感があった。
私は時間とお金を引き換えに、失っていた自分らしさを取り返したようだった。
その3へ続く…。