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哲学ディベート -2023年5月2日(火)

・好きな本を聞かれたときに、必ずと言っていいほど哲学ディベートを紹介している。
・〈倫理〉を〈論理〉する、とサブタイがついてる通り、倫理的な問題を論理的に考えるという本だ。
・テーマに対して、様々な立場の5人の学生と、1人の教授が討論するという設定になっている。
・最終的な結論や、回答が提示されているわけではなく、読者は読みながら自分なりのものを見つけないといけない。

・この本の優れたところは、倫理と論理の両方を意識することができる点だ。
・人間は何らかの問いに向き合うとき、これまでの自身の経験に基づいて回答をしている。
・自身の経験によって、論理を重要視する、情報を重要視する、感情を重要視する、倫理を重要視する、などの要素が様々なバランスで作られている。

・例えば、あるカップルがいて、彼氏が別の女性を好きになった。
・彼氏と女性は元々友達である。
・彼女と女性も元々友達である。
・この時、彼氏から、僕はどうすればいいんだろう?
・と相談されたとき、皆さんはなんと答えるだろうか。

・彼女がいるのに別の女性を好きになるなんてダメだ、誠意をもって彼女と別れて、女性とも離れろ。
・彼女には内緒でこっそり付き合えるように動けないだろうか。
・彼女とはキッパリ別れて、女性にアプローチしなさい。
・彼女たちの友情を傷つけないように心にそっとしまいなさい。
・などと、自身の経験に基づいて回答するだろう。
・これらは、いずれも間違っておらず、選択肢の1つとして機能する。

・この問題を論理的に考えるとどうだろうか。
・何らかの選択肢を選んだとき、彼氏、彼女、女性の繋がりの組み合わせは8パターンある。
・全員が繋がったままであるパターン、全員が離れ離れになるパターン。
・それぞれが片方だけど繋がるパターンなど数えていくと全部で8パターンだ。

・繋がりとは人間関係のことだが、それにも種類は色々とある。恋愛関係だったり、ただの友人だったり。
・ただ、いずれにせよ、論理的にはこの問題が解決した時、3人の人間関係はこの8パターンに収まる。

・この問いを出されたとき、この8パターンを出して、回答する人は稀だと思う。
・一方で、議論が進んでいる問題、例えば死刑制度の是非についてなどでは、論理的な回答をする人が多いのではないかと思う。
・死刑制度を続けることによって、どれくらい経済的にメリットがあるか、犯罪の抑止力がどれくらいあるかなど、データを見て話すことが多いのではないだろうか。

・そういった課題に対して、倫理と論理の両面からアプローチし、読者の脳をほぐしてくれるような本だ。
・ここで触れた男女関係、死刑制度だけでなく、犬食文化、代理出産、売春などなど多種多様な題材を取り上げている。
・ここまでの文章で少しでも気になった人は、間違いなく損しないので、是非読んでみてください。

・ちなみに、作者の高橋昌一郎さんはNoteでも連載されている(ちょっと更新は止まっているが)ので、興味のある方はそちらもご覧ください。
・新刊も出ているようです。


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