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『Big Pants ~スケートボード is 素敵~』

これも最高な一冊だった。

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『Big Pants ~スケートボード is 素敵~』柳町唯


『HIDDEN CHAMPION』にて連載していた人気読み切り小説『スケートボードis素敵』の全九編を元に改稿し、新たに書き下ろした一編を加えた青春短編集『ビッグパンツ』待望の書籍化!!)(Amazonより)


思春期の憧れと男子のノリとイカ臭さと、泥臭くて汚くてカッコいいがこれでもかと混じり合っている作品だった。

服でも音楽でもスポーツでも、ストリートカルチャーに少しでも触れてきた男子なら誰しもが一度はやってみたくなるスケボー。俺は結局ちゃんと滑れるようになるまではやらなかったけど、その簡単な見た目でめちゃくちゃ難しい魅惑的な遊びに対する憧れが満杯に表現されている。

そしてその一種悪魔的な魅力に取り憑かれてどっぷりハマってしまい、いい意味で人生を狂わされていく姿もカッコよかった。

また中高男子ノリ的のなシモのゆるさもこの作品の大事な要素だと思う。

『今思えば、俺がスケーターになれた日というのは、初めてオーリーができた日というよりも、初めてオナニーをした日だったような気がする。オナニーを覚える前にオーリーを覚えた子どもは、まだスケーターではなかったのだ。』

スケボーのこと知らないけどこれは心理だと思う。

あと世代的に触れることなかった2000年台前半のクラブの雰囲気や夜遊びの仕方、海岸や街中でのスケボーなど、知らない空気感や匂いだけど想像することができる描写が素晴らしかった。

何かを得るためでも、かといって昔を懐かしがるわけでもなく、一生何かを好きでい続けるために輝いていたワンシーンを再確認して胸を一杯にする、そんな読み方ができる作品だった。

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