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『毒島刑事最後の事件』

この中毒性と快感を待っていた。

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『毒島刑事最後の事件』中山七里


刑事・毒島は警視庁随一の検挙率を誇るが、出世には興味がない。一を話せば二十を返す饒舌で、仲間内でも煙たがられている。そんな異色の名刑事が、今日も巧みな心理戦で犯人を追い詰める。大手町の連続殺人、出版社の連続爆破、女性を狙った硫酸攻撃…。捜査の中で見え隠れする“教授”とは一体何者なのか?動機は怨恨か、享楽か?かつてない強敵との勝負の行方は―。どんでん返しの帝王が送る、ノンストップミステリ!(Amazonより)


著書の中で一番好きな作品の待望の続編というか前日譚。

犯人たちの尊大さや傲慢さと、それを笑いながらネチネチと追い詰め、化けの皮を剥がしていく爽快感は相変わらず。

そして犯人の人間としての汚さや恥を指摘された時には、「もしかしたら自分にもこういうところあるかもな…」と一種の寒気を覚える。

黒幕に同属嫌悪を覚える毒島も新鮮だったけど、途中で「あれ?結末こんな感じ?」と少し肩透かしを食らうも、そこからがさすがの中山七里。

殺人教唆の教唆という展開は見事だったし、その黒幕に対しても一枚一枚剥がしていくように迫っていく描写は捲る手を止めてくれない。

ラストでの潔さと薄気味悪さがしっかり前作に繋がってくる回収の仕方も完璧だった。

個人的なブラックユーモア?の最高峰としてこの二冊はずっと本棚に置いておきたい。

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